邂逅①
初投稿になります。一回の投稿量は少なめでペースもムラがあると思いますがよろしくお願いします。
雲一つない、快晴の空。誰かを祝うかのような綺麗な蒼い空だった。しかし少年にはそれが嫌味にしか思えなかった。
高校3年目の夏。
私立高校に通っているため夏休みでも毎日午前中は授業がある。公立の連中が家でのびのびと遅い朝を迎えていると思うと、それだけでムカッ腹が立つというものだ。とはいえ、少年には休みだからと言って特に何かをするアテはない。
少年にとっては授業を受けることももちろん一つの厄ではあるが、それよりも朝早く起きるという方が地獄のように辛い。というのも、とにかく少年にはすることが無いのだ。
クラスの天才共と付き合いを共にしてやる義理はないし、したところで奴らは勉強のことしか頭にない。趣味を持つわけでもなく、一般の高校生が楽しむゲームやマンガさえ、それを楽しもうと思うことが面倒くさい。
そんな少年は放課後決まって街の高台に来ていた。ここにこうして寝そべっているだけで、ただひたすら時間を無駄に浪費していくことの、なんと清々しいことか。将来の決まる受験にさえ、取り組む姿勢にどうしてもなることのできない少年は、ここでこうして寝そべっていることが何よりの快楽であった。
今日だって、何も変わらない日常が過ぎるだけ。少年にとってはそれだけが毎日の生きがいなのかもしれない。しかし、少年は知らない。
平穏な日常は得てして脆く崩れて行くということを。
今まさに何もなかった日常が非日常になるということを。