6話
眠いです。
もしかしたら誤字や変な言葉使いになっているかもしれません。
「藤岡明雄だよな?」
珍しく彼が教室いたので、俺は声を掛ける。
先日、藤岡の勧誘を最優先と決めたこともあったので、機会を逃したくはなかった。
俯いていた彼はガバッと顔をこちらへと動かし、愛想笑いを浮かべながら
「あ、ああ。俺は藤岡だよ」
と返す。
彼の表情は少し焦りながら笑っているが、目だけはしっかりとこちらを観察している。
こういう行動から、彼が情報屋を自称している理由が分かる。
彼は目利きなのだ。
聞き込みで情報を仕入れたり、人を観察して情報を得たりしているのだろう。
俺は早速勧誘を始めた。
「なぁ、廉涯って今まで制覇されたことが無いって本当か?」
まずは当たり障りの無い話題から。
藤岡にとっても喋りやすい話題のはずだ。
「そうだよ。僕ならいろいろと説明できるけど聞きたい?」
乗ってきた。
情報屋といっても所詮は物知りに毛の生えた程度だ。
学生にプロの情報屋がいる訳がない。
制約が大きすぎるからだ。
だから、アマチュアの彼らは情報を売るというよりも、ひけらかして優越感を得る方が重要なのだ。
「ああ。凄く聞きたい」
藤岡は単純そうだったから、連れない態度を取って相手に言わせるよりも、純粋に彼を立てて聞くほうがいい。
既に得意げな藤岡は咳払いをして、話始めた。
「理解するには廉涯の歴史を知る必要があるんだよ。廉涯が中部地方でも屈指の不良高校だってことは知ってるよね?」
「ああ」
「廉涯は第二次世界大戦後に出来たんだよ。最初は普通の高校だったんだけど、何度か暴力事件が起こって、悪い評判が目立つようになってきたんだ。でも当時はまだ、今程の悪評はなかったけど……」
「何かあったのか?」
俺が絶妙なタイミングで合いの手を入れると、藤岡は頷いて説明を再開した。
「廉涯の生徒とここら辺のヤクザが暴力沙汰になってさ、ヤクザが本気になって学校に討ち入ったんだよ」「は?討ち入る前に捕まるだろそれ」
流石廉涯。俺の想像以上だった。
「今はそれほどでもないけど昔はヤクザってのは自分達の土地では無法状態でやりたい放題やってて、警察とかは手出し出来ずに放置してたんだよ。
だから、普通に学校に討ち入った。そこそこ不良が入るようになった廉涯は逃げずに応戦したんだ。教師や普通の生徒は逃げたけどね」
「どうなった?」
「ヤクザは弾きやどすとかつまり、銃やら刀を持ち込んで暴れ放題。廉涯の生徒は机や椅子を投げたり、金属バットで滅多殴りしたりして反撃。血みどろの戦いになって沢山の負傷者と何人もの死者を出した」
「警察は?」
「廉涯が阿鼻叫喚の地獄絵図になってからやっと制圧を開始したよ。んで、やっとこさ鎮静化したらいつの間にか一週間経ってたらしい。
これにちなんでこの事件を七日間抗争なんて言われたりする」
七日間抗争なら聞いたことがある。
ただ、廉涯が舞台とは知らなかった。
「廉涯はこの事実を表沙汰にしたくなかったけど、死者まで出たから流石に隠せなかったね。全国報道されて、日本中に広まったよ。アメリカやイギリスでも報道されたらしい。
まぁ、この事件を切っ掛けに警察がヤクザの撲滅に本腰をいれて、今じゃヤクザは日陰者だよ」
「それが廉涯の歴史か」
藤岡に俺が期待していることを含めて言う。
「お、なになに?俺は大概のことなら答えられるよ」「今の廉涯の状況って分かるか?」
藤岡の勧誘のついでに俺個人が聞きたいことも聞いておく。
藤岡は待ってましたとばかりにしゃべりだす。
「君、やっぱり廉涯制覇に興味があるんだね。いいよ、説明する。
まず廉涯は各学年百五十人以上いて、合計五百人近くの生徒がいるんだ。校舎は南館、北館の三階建て二つがあって南館二階と三階は三年生の教室と職員室。北館一階と二階は二年生の教室。南館一階に一年生って配置になってる。保健室も南館一階にあって、会議室とか多目的室とかは北館三階にある。
んじゃ、勢力紹介といこうか。
まずは、生徒会長刈谷総一率いる廉涯生徒会。みんな刈谷組って言ってるけどね。刈谷組は三年生が中心で本拠地は南館の三階で勢力範囲は南館の一年の教室と保健室、職員室以外全て。人数は百人くらい。今一番力があるけど、リーダーの会長が好戦主義じゃないから最近は勢力の規模は変わらない」
俺は今の説明で納得した。
(南館のほとんどが刈谷組の勢力範囲だから、一階なのに三年生の溜まり場があったのか)
「次は二年生が主力の桐島派。二年生の桐島兄弟が仕切ってる勢力なんだ。本拠地は北館二階。勢力範囲は北館全域。人数は七十人くらい。そこそこ行動的で、メンバー増やしたり一年生の引き抜きもしてるみたい。廉涯じゃ刈谷組に次ぐ勢力だね」
どうやらまだ続きがあるらしい。
勢力の強い順に言ってるから、次は三番目の勢力だろう。
「三番目なんだけど、滅殺委員会っていう連中なんだ。誰がリーダーか不明。本拠地も不明も勢力範囲も人数すら不明。存在を疑うけどあることは確かなんだ。ただ、他の二つの勢力の中にもメンバーがいるらしくて、ガセ情報が広まっていて、僕も把握出来てない状況なんだ。
もう一つ分かっていることは、連中は名前から解るように超好戦的なんだ。
薬の売買をやってるって噂もあるから、ある意味一番危険かも」
(滅殺委員会怖いな。不気味すぎる。)
「んで、一年はまだ群雄割拠状態。まとまってきたら、説明するよ」
ようやく、藤岡の説明が終わった。
長かったが、廉涯の状況がよくわかった。
これで、無闇にどこかの勢力とぶつかることがなくなった。
満足していた俺だったが
(あ、勧誘しなきゃな)
「なぁ、藤岡。提案があるんだが」
と切り出した。
「ん、何?」
「俺達の仲間にならないか?自分で言うのもなんだが、俺達は強い。二年になる前にある程度の勢力を作ることも可能だ。お前の情報さえあればな。どうだ?」
藤岡は数秒悩んだ後、手を差し出した。
「いいよ、目利きの勘が君が大物だっていってる。僕の情報をうまく活用してくれよ」
「おう、よろしく明雄」
「よろしく。というか、君の名前何?」
「坂倉和麻だ。よく覚えておけよ、廉涯の歴史に残る名前だからな」
こうして、俺達は情報屋藤岡明雄を仲間に加えたのだった。
情報屋(笑)に廉涯のことを説明させました。
また、思い出すように一部を説明するかもしれませんが、ここで一度理解したと思って書くので、分からないことがあったら、ここに戻ってみてください。
なんか、参考書の説明みたいな後書きになりましたね。