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敵は、秀長  作者: 御厨 つかさ(TSUKASA・T)


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1/1

序 闇夜


竹阿弥という。


何故、その名が歴史に残されているのかを知るものはいまはない。

歴史の風に吹き消えた幾つもの真実を微かにその名に潜ませて、

竹阿弥という名は残されている。


秀長という。


のちの世に、秀長という名で知られた人物があった。

世に有名な太閤殿下秀吉の弟として知られた真面目な御仁。

あるいは、太閤秀吉が殆ど唯一その信頼を置いたといわれる人物の名は、

地味ではあるが歴史の中に一応は消えずに留められている。

さて、その父は竹阿弥であるという。

いわゆる、秀吉とは異父兄弟であるという話だ。

実父は同じであるともいうが、歴史の闇に紛れてそれはいまだ定かではない。

故に、謎は残されている。


何故、秀長の父は竹阿弥として伝わっているのか、と―――――。


そう、単なる武士ともあるいは野にある人ともつかぬ奇妙な名だ。

武士階級に使えるおとぎ衆のようなものではなかったか、とは伝わっている。

しかし、秀吉の母が農村の出だとはっきりしているのとは別に、こちらの方は曖昧である。

とにかくも、秀長の父が秀吉の父とは異なるともいわれており、

その異なる父の名は竹阿弥という――本名というよりは、芸名であるような名を持つものである、

とは一応知られてはいるのだ。

何故、ではそのような名を持つものが父であると伝わっているのか?

それに解答はない。

唯、単に父であるとして伝わる名であるというだけのことだ。

歴史の闇は深く、その闇に紛れて庶民であるものの出自など、いくらも消えていこうというものである。

故に、唯、名は伝わっている。

―――竹阿弥、と。

それが何故のことであるのか。


いまだ、確実な答えはみつかっていない。

その歴史の闇夜に消えた答えを、その解答を紐解くことはいまではもうむずかしい。

解答は、ない。

唯、闇が深く横たわるだけだ。

その闇の夜深くに。

少しばかり、垂れた糸。

つながりを探すには頼りなく、辿るにはすでに切れた糸。

ほんのすこし、闇夜に白くほそく糸を辿れば何処に着くのか。

誰も知りはしない物語の始まりを、闇夜に消えた物語を。

その始まりを、すこしばかり追ってみることとしよう。


何故、竹阿弥なのか。


なにゆえに、―――



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