二番目
私は二番目。
彼には忘れられない人がいる。
私には絶対勝てない人。
だって彼の忘れられない人は
もうこの世にはいないから。
彼の忘れられない人は
彼の心も一緒に連れて行った。
彼は何年経っても忘れない。
私は二番目。
それでも彼の隣に居続ける。
いつか一番目になるために。
ある日、彼は私に言った。
「ずっと待たせてごめん」
私は、彼がなぜ謝るのか分からなかった。
私が戸惑っているのに気付いて彼は一つ一つ話してくれた。
「俺が忘れられなかった人は幼なじみの女の子。
彼女は俺のせいで亡くなったとずっと思ってた。
でも今日、彼女の親から言われたんだ」
“君があの子を連れ出したからじゃないのよ。
あの子が自分で選んで決めたことなの。
あなたは何も悪くないのよ。
だからいつも一緒にいるあの女の子とちゃんと向き合ってあげて”
「俺は彼女がいなくなってから今までのことを思い出してみたんだ。
するといつも君が隣にいた。
やっと目が覚めた」
今日、彼はやっと私をちゃんと見てくれた。
「俺は君が好きだ。
今まで俺を支えてくれてありがとう。
次は俺が君を支えるから」
私は二番目。
彼が二番目に好きになった女の子。
「やっと一番目になれた」
「一番目?」
「あなたは彼女が好きで忘れられなかったんでしょ?」
「彼女は俺の友達だ」
「友達?」
「俺は初めて一番好きな人に出会えたんだ。
気付くのに時間がかかったけど」
彼はそう言って申し訳なさそうに笑った。
私は二番目
……だと思ってた。
私は一番目。
彼と手を繋ぐのも。
彼と些細なことでケンカするのも。
彼と笑い合いながら歩くのも。
彼とデートをするのも。
彼とキスをするのも。
私は一番目。
彼の彼女として生きていくのも。
やっぱり二番目より
一番目が一番いい。