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トケン出張所!1

あれから2週間。

政府非公認特殊環境研究設地下4F 対裏世界対策室絶級特殊部隊管理区域

麗華は知らせを受け、任務を放棄し、2週間ぶりにこの施設を訪れていた。

ここは化け物たちが暮らす場所、世界で一番近寄りたくないこの場所に、

どうしても来なければいけない理由ができた。

2週間前、あの男は朝日と共に消えた黒い塊とともにその姿を消していた。

跡形もなく一切の痕跡もなく。

灯でさえ、その理由を想像できなかった。

魂だけが食われるならまだしもその肉体ごとなくなっている。

散々調べた挙句、手がかりを掴めないため灯は助言を請うため、実家の京都に一度帰省し、今日にでも選抜部隊を率いて戻ってこうとした矢先。

「待ちガイルですか、てか、或葉さんタイガーショットの連打うますぎでしょ」

「君が持ち込んだ割には、君はヘタだな。」

「というか3人がうますぎるんですよ。漆真さん以外初めてですよね。」

「……」

「あぁ、チョコですか、いいですよ。」

「それじゃ、僕は抹茶で」

「しかし、アイス買ってこいと言って2週間かかるとは思わなかったぞ。」

「事情は話したでしょうが、気が付いたら2週間経ってて意味が分かりませんよ。」

「自覚はなし、か。どこまで覚えている?」

「黒いのに飲み込まれるくらいまで、ですか。」

「おおよその事情は聴いている。ヒステリックババアが正式な事案としてあげたからな。」

「誰ですかそれ、もしかして麗華さんの事ですか、怒りますよ。」

「外見の話じゃない、思考が既に固着しているんだ。おい、下っ端、全部乳酸系飲料ばかりじゃないか、炭酸は、人工甘味料の味」

「買ってきましたよ、ってあ、漆真さん、それ或葉さんのですよ。」

「しかし、見事にやられたね。」

凰綬は、勇騎が持ってきた燃えた雑誌の切れ端をゴミ箱に捨てる。

「それがなかったら死んでましたけど、それ防げませんでしたよ。」

「まぁ、神様相手とは聞いていなかったからね。それようにしてないからね。」

「あれ、凰綬さんより強いでしょ。」

その言葉を発した瞬間、舐めプをしていた凰綬はワンサイドゲームで、勇騎をぶちのめし、小ばかにするようにコントローラーで頭を叩く、

「神飼い、」

「は?」

「僕の二つ名、それでそっちが神狩り、神殺し、逆だったけまぁ、どっちでもいいけど、つまり僕が言いたいのはここにいる人間は神様よりも強い、だから恐れられる。そういう事だよ。本来君は僕らとは並びもしない、っとそこは理解しているか」

「えぇ、もちろん。」

「だから君は面白い。」

「何ですかそれ、」

「君は彼女を自分似ているといったね。でも僕からしてみれば、君と彼女は別物さ、彼女敗北を知らなかった、負けを認める事が出来なかった。

でも彼女は僕を前にし、敗北を知った、完全なる服従に支配されることで満たされた。

別にそれは珍しいことじゃないさ、真の強者の前には当然の理。」

「神を信じる事で救われる、とでも」

「同じことさ、目の前に僕がいる分、神様よりも分かりやすい。でも、君は違った。

一度の敗北で千の敗北を想像した、そうして次の手を考えた。

君は僕に神様の方が強いと聞いたね。その言葉の真意はこうだ。

あなたなら神様にだって勝てるんでしょ。

だったら、あなたを超えれば俺も神様を殺せますか、だ。

君は決して可能性を閉ざさない。だから君は特別なんだ。」

「褒め言葉と取っておきますよ、でも、今回は少し危なかったかもしれませんね。

よく分からないけど、何とかなったみたいですけど」

「君が何者なのか、今回の件で少しはあたりがついたな。」

「本当ですか教えてください。」

「祟り、災い、妖、怪異、怪談、いずれも惹かれあう性質を持っている。うちの実家はあらゆるそういうものを収集することで、あらゆるものを引き寄せ、研究研鑽し、力を蓄えてきた、君は何者なのか、正確には君は何になったのかだけど、今回の憎悪の帰結が君にたどり着いているところから察するに、

君はどうやら憎悪を引き受ける言うなれば身代わりのようだな。」

「身代わり、ですか、お守りでしたし、」

「お守り、ひな人形、本来受けるべき災いを代わりに受ける存在。

君の魂はいたって普通、だが、君の魂の奥には人ではありえない程黒く禍々しいものが感じ取れる。それは到底一人の物ではない、複数の憎悪が入り混じっている。

君は僕の護符だけじゃなく呪符も平然と触れるが普通であれば、魂が穢されただ事では済まない。」

「そんな危ないもの貸してくれてたんですか」

「だが、そうはならなかった。つまりは耐性を持っていると、思ったが」

「同化だな、お前は憎悪や怒り、負の力を受け入れている。闇を照らす光ではなく、闇を飲み込む闇。」

「漆真さん、しゃべらないキャラづくりじゃなかったんですか。」

「そういうものがないわけじゃないが、こいつ人間だぞ、少なくとも物質的には」

「そうなんだよね、そこがね、似た所では大昔にあった雛巫女。神仏の厄災をも受け入れた巫女がそれにあたるけど、彼は男だし、そもそも心が壊れていない。」

「得体のしれない化物でいいじゃないのか?どうせそのうち分かるだろ、何ならバラして調べようか」

「勘弁してくださいよ。せっかく拾った命なのに」

「現時点では、確定的なことは言えないけど、君はその身に憎悪や怒りや呪い、負の感情のエネルギーを引き寄せ、受け入れる体質だ。

そしてその上限はないが、一定量を超えると君は時間を飛ばされている。」

「短時間に一定のダメージを食らうとリスポーンするみたいなものですか?」

「便利な機能だな、何ならキノコを食べれば一機増えるのか?」

「……何ですかその顔、言いたい頃があるなら行ってくださいよ。」

「水神が、神様が身の自由を奪われる程の怨念を引き受けて1週間程度で済んでいる。」

「ですね。」

「20年、」

「はい?」

「20年、君は何の身代わりになった。」

凰綬はコントローラーを置き、勇騎の目が覗き込み

「君は本当に人か?君は何者だ?」

「……」

「市井勇騎!」

沈黙を破るように息を荒らげながら、麗華が彼らの領域に入ってくる。

本来であればこの階に来るだけでめまいを起こすほどの威圧感に押されるのだが、今はそれを感じる余裕もない。

「た、隊長。お、お久しぶりです。俺的には数時間の問題だけど。」

「何をヘラヘラした顔をしている!どれだけ心配をかけたのか分かっているのか!」

「なんかすみません。でもですね。俺は、」

「口答えをするな!本当に、本人なの!」

礼から勇騎の体を触りまくり、本人であることを確認する。

手のひらの怪我も消え、健康体そのものだ。

「君がここに来るなんて珍しい、僕に会いに来たのかい。」

安心して油断した瞬間、麗華は我に戻った。

そして感じ取ってしまったこの部屋に満ち満ちる狂気を、

その上で凰綬と目が合ってしまった、麗華は身を守るために自らの意識を落とした


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