表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/45

狂と凶と興と今日3

注視すべきは3つ、頭、姫瑠、そしてきららだ。

今彼女の毒に蝕まれている中で、烈火をはじめ、灯、麗華はその道のプロだ。

プロである以上、いかなる自体でも覚悟がある。

彼女の毒で一番最初にやられるのはきららだ。彼女の様子に注視すればいい。

少なくとも彼女は今も戦っている。彼女が闘っているのに、プロである彼らが先にやられることはあってはならない。仮にそれで死んだとしても、納得はいく。仕方なかったと、

だが、きららが死んでしまうのは別の話だ。

己の無能が招いた結果であれば納得がいく、だが己の怠慢が招いた結果であれば我慢ならない。きららは耐えられるそう判断しての行動。

最善を導くための洞察、焦らず、確実に、冷静に事態を見極めろ

この目の前の化け物は人外にふさわしい再生能力を持っている。が、それ以外は脅威になりえない。この化け物は『再現』しているだけだ。

存在しない警官をつまりは人間を再現している。それだけであれば、フィジカル、戦闘経験共に勇騎の方が圧倒的に上、いつもの喧嘩と何も変わらない。

「それに、これは吉報でしょうか、彼を殺すたびに、あなたは弱っているように見えますが、その力無限ではないのでしょう」

勇騎は彼女を焦らせるように余裕を演じ、口にする。全てを理解している。支配しているのは自分だと

「!」

それに騙され彼女は反応し、勇騎は確証する。

「あの何回殺せば、あなたはその力を失いますか?失えば最後、このバールの牙はあなたののど元を躊躇いなく貫きますよ。」

「む、無駄よ。そんな事をしても、私だって何度も蘇る。私の体の半分は既に彼女の物!

お守りがある限り、私の体は何度だって蘇る。あなたに勝ち目はない。」

「なるほど、それは困りましたね。」

「そうよ、あなたに勝ち目はない!私は死なない。勝つのは私よ。誰も私には逆らえない。」

「だったらそのお守りを奪って壊せばいいだけの事では?」

「それも無駄よ。お守りを壊せば、水神様はあなたを許さない。例え私が死ぬことになっても、水神様はあなたを死ぬまで追いかける。あなたの血を持って償うしかないの!それに!」

姫瑠は勇騎が時間稼ぎの為に遠くに飛ばした頭部めがけて走り出す。

「私の範囲に入れば!あなたに勝ち目はない!」

勇騎も走り出すが、距離、移動速度ともに彼女の方が優勢、勇騎はバールを投げて、再生途中の頭を吹き飛ばそうとするが、彼女が身を挺してバールを防ごうとする。

その俊火血の化け物は高速修復し、彼女を守るが再生が追いつかず、僅かに姫瑠に手に傷を負わせる。

「!」

「あなたを殺せるならこれくらいどうってことないわ!」

「姫瑠さん、あなた何を!」

「動揺したわね、どうせ本気で私を傷つける気なんてなかったんでしょ。

見え見えなのよ。その脅し、いくらすごんだところで、あなたは人間を殺せない。」

姫瑠は、そのバールで怪我をしたその手で、勇騎の顔に触れようとする。

勇騎はとっさにそれを回避するが、飛沫の血がゴーグルの視界を覆う。

勇騎は、ゴーグルの血を拭こうとするが血が広まるだけで、視界は奪われたままだ。

血の隙間から見える人影は1ではなく2すでに再生が完了している。

そしてその血の視覚から、さらなる血が飛びゴーグルの視界を完全に奪う。

「それがないと見えないんでしょ、武丸も、あの子たちも、皮肉ね、

見える故にあの子たちの血も見えてしまう。血で覆われた視界か、姿の見えない視界か」

「そんなの決まっているでしょ、少なくともあなたは見える。」

勇騎はゴーグルを外す。ゴーグルを外すと音さえ聞こえはしない。

殺気を持たない操り人形の赤い化物に何ができる。

それにバールもさっき投げてしまった。赤い怪物相手に武器さえもない。

「形勢逆転ね。」

勝誇る姫瑠。だが、その彼女の思惑と反対に、勇騎は腕に巻いた雑誌で、見事にその刃を受け止める。

「そんな、見えてないはず!」

「相手は見えなくても、あなたのその闇夜に光る蛇の目線は見て取れる、ここだ!」

勇騎は雑誌の位置を前にずらし裏拳の要領で雑誌を相手に当て、その馬鹿力で相手を吹き飛ばす。凰綬特性の最強の盾は最強の武器となり、相手を遠くに吹き飛ばす。

どれくらいのダメージがあったかは分からないが手ごたえは十分、と、

勇騎は意を決し雑誌を前面に押し出し、姫瑠に突っ込んでいく

「無駄だって言っているでしょ!」

「やってみなくちゃわからないでしょうが!!」

勇騎の叫びはむなしく、勇騎の拳は姫瑠に届くことなく、衝撃と共に勇騎を貫き、その猛進を止めた。

「だから無駄だって言ったのよ、馬鹿ね。でもとっさに急所を庇って手を出すのはさすがと言っておこうかしら、でも、その手、もう使い物にならないでしょ!武丸!!っ!!」

化物に止めを命令しようとする姫瑠はその変化に気づく、どうした、いや。何をされた。

勇騎には触れられていない。だが、胸を掴まれたようなこの痛み、

血の怪物もまた姫瑠に呼応するかのように苦しみだし、のたうち回る

「な、何をしたの!」

「その感じ、効果あり、賭けは俺の勝ちですか、ちょっとマジで痛かったですが、死にはしていない。」

「何をしたの!」

そう言われ、勇騎は刀に貫かれた血まみれの手の平を開き、何かを姫瑠に投げる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ