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退魔(物理)師 ブレイブ ワン!9

『つまんないね、姫瑠は、まぁ、いいけど』

それは姫瑠が五十嵐凜の名で必ず一番最初に思い出す言葉

「いいですね。その表情。あなたにはそれがよく似合う、」

「オーディションの事を言っているのかしら、あれは私が凛を押して」

「一人じゃ受けたくないっていう事を言うのが分かっていたから、彼女を誘ったそうでしょ。そりゃそうですよね。あなたの性格上、自薦なんてできませんよね。

あなたは常に人に求められ、尊敬される存在だ。

小学校の社会の授業の余談で資料に乗っていた世界三大美女の話をした時、普段物静かなあなたは珍しく手を上げ質問したそうですね。

『どうしてこの人たちが世界三大美女なんですか』とそしてさも当然の顔で、

『だって少しも私に似ていない』と。」

姫瑠の顔は星明りでもわかる程紅潮した。

「幼い頃のたわいのないこと。でも、あなたの本質です。

そしてそれは今も変わらない。あなたの友人はあなたを引き立たせるためにいるもの。

あなたを崇め奉る事でそれにふさわしい寵愛を与える。

そうあるべきであり、そうあるはずだった。

でもそれが徐々に変わってきた。

小さな世界は広がり、無条件に注がれる愛は減り、義務と責任が発生した。

中学の時、あなたは初めてテストで100点以外を取って抗議したそうですね。

本当は分かっている、少し間違えただけだ、そんなありえない抗議をね。」

「……」

「それから、あなたは本気を出さないという予防線を張った。

自分は本気を出していないだけ、本気を出す必要はないって、」

「あなた何、私のストーカー?そういうのマジで勘弁してほしいんですけど。

それにあなたにはわからないでしょうね、私の気持ちなんて」

「でしょうね。俺は今までで百点以外取ったことありませんから。一つ聞きたいんですがどうすればケアレスミスなんてできるんですか、正解を書くだけでいいんですよ」

「……本当にムカつく。」

「冗談ですよ。冗談。たぶんね。いちいちテストの点なんて覚えてないですよ。どうでもいいからですから。

でも、あなたが何もしなくても当たり前にできるのは結局中学の1年まであなたはそうやって広がる世界で、自分の限界を知った。

でもだからと言ってそれを受け入れる事が出来ない、だから、自分の居場所を求めて友達に依存するようになった。聞いていますよ。当時携帯のアドレス帳に中学の半分以上入っていたんですってね。俺なんて持っていませんが1画面で事足りる自信があります。」

その言葉に姫瑠の口元がゆがむ。

「探すの大変なだけでしょ。あれですが、俺で言うところのカードダスコンプしたい的な」

「必要なだけよ。それに私からそうしたわけじゃない。」

「登録してくれって言われたら全部登録するんですか、非効率ですね。それで何かなりました?どういう効果が」

「友達ってそういうものじゃないでしょ。」

「あなたが言うと嘘っぽく聞こえますね。知ってました?友達ってしもべの事でも信者の事でもないんですよ。」

「当たり前でしょ。あなたやっぱりバカなの?」

「自分より下を見る事で安心できる。だからあなたは今の高校も選んでいる。」

「高校は、ただ単に近いから。それだけの事よ。どこで学ぼうが、高校程度の内容であれば大差ないわ。」

「なるほど、そういう事にしておきましょう」

(ほんといちいち癇に障る言い方)

「そんなあなたの『友達』の中で特にあなたと仲良かったのが照葉紅葉と五十嵐凜。

紅葉さんは、いまさら説明するまでもないでしょう。

今でも彼女の中ではあなたは唯一無二の親友だ。

今回俺が話したいのは五十嵐凜さん。彼女はあなたに似て自信家だと聞いています。

そして向上心も強く、何より努力家だと、」

「えぇ、その通りよ。」

「その上であなたに何一つ敵わない。そういう子だった。

それでもあなたに勝負を挑みいつも負けて、それでも諦めない。そんな彼女を見て滑稽でしたか?それとも優越感に浸っていましたか?」

「別にそんなつもりはないわ。」

「果たして本当にそうでしょうか、聞いていますよ。あの日以降、あなたは彼女にロクに連絡をしていないんでしょ。オーディションの二次審査に落ちてからは、」

勇騎は橋を渡り、逆に姫瑠は橋まで歩を進める。


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