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退魔(物理)師 ブレイブ ワン!3

「で、ファミレス。」

「給料は700円、実働時間のみ、たかが知れてるわ。」

公園から徒歩5分、24時間営業のファミレス

スーツ姿の麗華に、カジュアルファッションの烈火ときらら、巫女服の灯。

そしてトイレを借りて、迷彩柄にブーツ、手には指だしグローブをつけた格好で勇騎が出てきた。さっきの方がよっぽど一般人の風体だ。

「最低時給以下で、命の危険あり。超絶ブラックじゃじゃないですか。」

「何頼みます?何でもいいですよ。」

「……ドリンクバー。」

「私もそれで、」

あまりに気の毒で烈火と灯は遠慮する。

「一番高いの、」

「何にもないですわね。紅茶は?ティーパック冗談でしょ」

「それじゃ俺が選びますよ、ストロベリーパフェで。」

「ふん、いい事、女性が甘いものが好きなんてものは男が夢見て押し付けた女性像よ。

そんなものでこの私を図るとは、恥を知りなさい!」

「でも、甘いもの好きでしょ。」

「好きじゃないわ。」

「嘘ですよ。この間捨ててたコンビニのレシートでめっちゃ買ってたじゃないですか、」

「な、なに勝手に見てるよ!」

顔が紅潮し、麗華は取り乱す。

「君は凄いな、その洞察力に、判断能力も一流。

だから君にはそう言う事でどうなるかも分かっているのに、その才能を無駄遣いし、人を怒らせることばかりを選ぶ才能の無駄遣い。さては君はMだな。]

「強いという事は罪なことです。対等なんかあり得ない。俺はいつだって暴力になる。

腕力で、言葉で、精神で、痛みを感じないからいつも一方的です。

俺は傷つけるのと同じくらい、傷つけられるのもの好きですよ。」

「これは中々、訂正しよう、本物ドSだね。相性はよさそうだね。好みではないけど」

「ですがそれは俺に悪意を向ける意相手に対して、美人なお姉さんにはギャップ萌え、かわいいじゃないですか!あとなんか麗華さんはいじめたくなります。かわいいから!」

「真顔で言うな、あと変な言葉は覚えなくていいから、無駄に順応性が高いな。」

麗華に頭に一撃を食らい、痛みは感じていないがパフォーマンス上、沈んだのち

気を取り直して、その楽しんだお詫びにと麗華に懐柔を試みる。

「実は俺が食べてみたいんです。でも、俺はこっちのセットメニューも食べたくて、流石に炭水化物取りすぎになりますので、」

「な、なるほど、それじゃしょうがないわね。」

注文が届くまで、話でもしようと考えたが、

間髪入れず、きららと勇騎が、速攻でドリンクバーにいなくなる。

きららと烈火は外食をしない。その為内心ドリンクバーというものに心惹かれていた。

そしてそれは勇騎も同じ、こんな低価格でジュースが飲み放題。しかもカルピスがある。

結局、二人は初手からキメラの飲料をウキウキで持って戻ってきた。

その後も機械で自分で注ぐというのが楽しいのがきららは全員分の注文を代行し、結局、料理が届くまで何も話ができなかった。

「烈火先輩、今正直、きららちゃんの事可愛いと思ってるでしょ。いいですよね、あぁいう事で喜んでくれる女の子、好きになるなって方が無理ですよね。どうですか、そろそろ今夜あたりくだらない貞操観念は捨ててみては、」

嬉しそうに耳打ちする灯りを手のひらで押しのける。

「それで話をしようか、」

「えっとどこまで話したかしら、あぁ、そうね。向う側のトラブルで移送が遅れたのだけれど、一昨日、メールが届いたわ。返ってきた回答は、

『保管管理対処外。双方の秩序の為に貴国にて管理されたし。』だそうよ。……はい、」

麗華は横にあったケースから、物欲しそうにタイミングを見ていた勇騎にフォークを渡す。

その光景を見て一動騒然とする。

「何?」

「いえ、何も、」

「麗華さんも食べます?」

「いいわよ、そんな脂っこい物。」

「油分量なら、アイスとかと変わんないと思いますけど、こっちの方がいいですよ、タンパク質取れますし、あ、ちなみに後から届いたらちゃんと一口ください。」

「イチゴあげるわ。」

「……わざと言ってるでしょ。俺は人工的な甘さが好きなんです。」

麗華は拒絶もせずに、僅かに口元を緩め、嫌味を言う。

その光景に、あたりは凍り付く、あの麗華がまともに男と会話している。

長年付き合いのある烈火ですら仕事以外の会話などないのに

というかよくよく考えれば横の席に男が座っていること自体が異常事態だ。

「え、なに二人付き合ってるの?」

きららは空気を読まず、少しムッとしながら口を出す。

勇騎に好意などないが、今や嫌いでもない、少なくとも心配してきてみれば、この様では何のために来たのかわからない。

「なんでそうなるの、ただ、この子は良くも悪くも他の男とは違う。

性別がどうこう考えるのが馬鹿馬鹿しい、言うなれば、都合のいい捨て駒、忠犬ね。

主に忠実な犬には雄であれ、かわいがるものでしょう。」

「イエス、マスター。」

「君にプライドはないのか、」

「生活できる環境と、望んだ世界を提供してくれるんです。何の問題がありますか。

それに16年間滞納扱いになっていた国民年金を特例で追納可能にしていただいています。十分な特例措置これ以上望むのは強欲というものです。

イエス、自立、ノー居候ですよ。食う分は自分で稼がないと精神衛生上よくありません。」

「君に精神を気にする心があったとは。」

「菌一匹許さない。無菌室です。」

あー、なるほどときららは納得する。

「あなたがいると本当に話が進まないわ。」

「大丈夫です、俺暫くご飯食べるので大人しく黙っておきますから。」

言ったとおりに黙々と食べながら勇騎は一言もしゃべらない、その様子を麗華は少し笑ってみているようにさえ思える。

そのことが何より烈火たちの心に戦慄を走らせる。

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