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退魔(物理)師 ブレイブ ワン!

1週間後 繁華街下 暗渠

日常では耳にすることのない音と閃光が反響する中、水面を蹴る音と咆哮は喧騒を抜け、人の光を求め、正確に暗渠の外へと向かっていた。

「隊長!最終防衛ライン抜かれました。あの速度ではあと数分で地上へ」

「そうはさせません、任せてください。想定内です。」

「その声、ブレイブワン。どうして君がここに!」

「仕事が早く片付きましたので一応。大丈夫地上には出させません。」

『油断しないの!ブレイブ、緊張感を持ちなさい。後また勝手な行動を、』

「そうだ、君はこの作戦への参加を認められていない。」

「でも、それに頼らざる得なくなった。でしょ。被害を出さないのが最優先違いますか?」

「っく、分かった。まともに戦おうと思うな、時間を稼いでくれればいい!」

「鎮圧します。物理で殴れれば倒せる。問題ない!」

『一人でなんとかなる物じゃないでしょ!2H地点まで後退しなさい!そうすれば、私が』

「問題ないですよ。一人なら周りの遠慮はいらない、だからここを選んだ。それに目も慣れてきた。それにこいつは借りがある。噛まれた借りは返してやる!ブッ」

「通信が切れました!目標と接触したものと思われます。」

『行動可能なエージェントはフォローに入って!護符と呪縛符は余分に持たせてあるから、しばらくは持つと思うけど、決め手がないわ。浄化弾はどれくらい残っている!』

「あの、隊長!すみません。彼は護符も呪縛符も持っていません。」

『はぁ!なんで!』

「わ、私が作戦中に落としてしまい、そのまま使わないからと」

『なんで作戦に参加していたことを報告しない!いやそれより、一番近くにいるのは誰!』

暗渠の上と下で言葉が錯綜する。だが、その収束よりも先に事の主の言葉が届く。

「あー、あの、すんません。盛り上がってるところ悪いですけど、聞こえますか、落として壊れたかな、水没したし。」

『ブレイブ、無事なの!』

「当たり前でしょ、初見じゃないんですし、ダメージをあれだけ受けてたら余裕ですよ。

対象は沈黙。後は封印していただければこれでしまいです。封印ヨロです。

今回は逃げられませんからそんなに急がなくても大丈夫ですよ。あ、来た早いな。」

「ブレイブ、あなた何を考えているの!勝手な行動、無事だったからよかったものを」

加熱する麗華に対し、通信相手はあからさまな嘘の通信不良を訴え、一方的に通信を切った。

その行動に興奮状態の麗華はさらにイラッと来るが、結果的には犠牲者も出さず、作戦を終えたことに安心し、公園の雑木に背中を預け、一息つく。

人食い白虎。人を罰する白く輝く毛を持つ虎。妖怪ではなく、都市伝説の中から生まれた妖。暗渠を根城とし、人を傷つける。決して殺すことはないがその傷口から人の精神を蝕み、やがて魂を闇に飲まれる。そして空虚になったその肉体に、裏世界の住民の魂を迎え入れさせる。神出鬼没に現れる最近の最も活発に活動している妖だ。

過去に何度もその姿を補足するもその警戒心の高さ、何よりその爪に傷けられる事は人としての死を意味する相手に対し、接近戦を挑むことは敵わず、仕留める事が出来なかった。

それを思わぬ拾いものとなった彼によっていとも簡単に。

あの時気づくべきだった。彼の力に使い方に、麗華は悦に浸り思わず口元を歪める。

「麗華!」

「帰って来たの。何それ、何とかならなかったの?法律違反よ」

ママチャリの荷台にきららを乗せ、烈火は息荒く、近寄ってくる。

「帰って来たの、じゃない!勇騎をどこにやった!そっちの本部に行っても禁固室は、もぬけの殻だ!移送記録にも残っていない、まさかあの時みたいに、」

「また勝手に入らせてあのバカ、勘違いしないの、それより私へのお土産はないのかしら、」

「お土産ならここに、ただいま麗華さん。」

背後からやって来た灯が、背後からハグをし、どこにでもある饅頭を麗華に渡す。

「灯、いつから、」

「5分くらい前から、だから言ったでしょ絶対にタクシーの方が早いって、感情で行動しても何も得は、っと得はあったようだね。」

きららは満足そうな顔で呆けている。

「そんなことはいい、あいつをどこにやった!」

「スイッチ入りかけてるわね。全く、ホント面倒な男ね。」

麗華はインカムのスイッチを入れる。

「ブレイブ、完了報告に来なさい。」

『報告なら、さっきしたでしょ、むしろ、討伐確認にそっちから来てください。ちゃんと封印できているか確認しないと』

「素人のあなたが何を偉そうに、私のチームは優秀よ、問題ない、いいから来なさい。」

2分後、

ガコンっと、公園の橋の欄干に金属が当たる音がすると、ぬっと人の手が出てくる

暗がりから現れたその顔、見慣れた顔だ。

「隊長、ブレイブワン、任務完了しました。白虎は沈黙、現在封印中、以上です。」

「あなたには白虎の討伐任務は与えてないでしょ。私マジでイラって来てるから」

「……思いのほか元気だな」

現れたのはトレッキングサンダルに上下ジャージ姿、左手にファミ通をダクトテープで巻き、右手には先ほど欄干にひっかけた赤色のバールを持った姿で現れた。

「うっす。久しぶりっす」


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