子供の世界5
5分後
「って、本当に爆弾付けますか、」
「男に二言はない。でしょ、はいこれ付けて起きなさい、首輪を隠すチョーカー、残念だったわね、そんな安い挑発に乗る程私は馬鹿じゃないわ」
「ピンク、これ女の人がつけるものですよね。なんかリボンついてますよ。」
「私の私物。」
「……意外にかわいい趣味なんですね。」
「麗華の私物そんなんばっかりだよ。」
戻ってきたきららは状況の説明を受け、落ち着きを取り戻している。
が、目を腫らしており、勇騎はなけなしの良心で罪悪感を覚える。
「で、どうなの、この子の話だと、事の真相まで、たどり着きそうだってことだけど、」
きららは、カバンからシールだらけのパソコンを取り出し、麗華に見せる。
「いい線までは来てる。過去の履歴から情報の発信源になっている物を調べて、この噂の犯人だと思われるのはこの10人、後は虱潰しに、」
「どうしてこの10人だと分かるの?」
「アカウントは変えているけどIPは一緒。全部が一緒じゃないけど、後は学校のMACアドレスを見れるから見た感じ、学校のPCを使っている。それに自分の端末で学校のWi-Fiに繋いでいる痕跡もある。学校の登録の無い物だから私物。
普通はパスワードを知らないはずだから、犯人はパスワードを知っている可能性のある人間。後は端末を確認するなり、何らかの方法で所有者を見つければ、」
麗華と話をするきららの後ろで勇騎は頭の中を整理する様にSIMなし携帯を確認しながら、保田に借りたホワイトボードに読めないへたくそな字と、線と書き情報を整理する。
そして沈黙中20分後、一同の注目の中、マジックのキャップを閉じ口を開いた
「この10人が犯人である可能性は?」
「疑うの、私は絶対と思っている」
「……だとしたらこの人です。」
「どうして分かるの?」
「俺の方でも何人か話をしてみました、言葉の反応、挙動から、確実に白なのはこの2人。
そして俺が見ている中で、ちょうど書き込みがあったこの人は除外。
残りは7人。その中で、各クラスの時間割で体育の授業に書き込みがあるとは考えにくい。
となると可能性があるのは3年3組。候補生はこの2人。
そして体育の見学、そして学校自体の欠席。合致にするのは彼女です。」
「時間割やら出欠表やらどうしたの?」
「時間割は各教室を回れば分かりますよ。出欠表は森川先生に見せてもらいました。
全部じゃないですけど、今回は十分でしたね。」
「この子どういう子なの?」
麗華は画面を見ながら、きららに尋ねる。
「如何にもって感じのファッションメンヘラ。ホラー映画は好きそうね。本人は目立たないつもりだけど独自の世界すぎて逆に目立っている。」
「メンヘラ?メンヘラってどんな格好何ですか」
空気を読まない勇騎の質問に二人は睨みつける
「グーグル先生か、ウィキ先生に頭と垂れて教授願いなさい。」
「誰ですかそれは?」
「世界中の誰よりも知識を持ち、世界中に英知を授けた偉大な二人よ。片一方はもう間もなく、人間様を効率よく支配する自我を持つ有力候補よ。」
「そんな人が俺の知らない間に、ちなみにどこの人ですか?」
「アメリカだけど。」
「USA!USA!」
「……後にしてもらえる?これだから不良は嫌いなのよ。馬鹿が馬鹿のフリなくても十分馬鹿なのに、これじゃ烈火の方が幾分マシよ。」
今度は麗華から避けなければ刺さっていたナイフを投げられる。
「方は方角をさす言葉で、人には使いませんよ。」
さらに速度を上げて2本目が飛んでくる。
これが避けられたのは運がいいだけだ、本当に殺そうとしている。
「一緒にしないでよ。」
「まぁ、異論はないわ。人の揚げ足をふざけてとることほど不快なことはないわ、
特に明確な格下から、自分の事を棚に上げて上から物を言われるなんて、」
「保田さん、ホワイトボードありがとうございました。マジックの方はどこに置いたらいいですか?あ、すみません、聞いてなくて、なんか言いました。」
「わざとやってるわね」
「わざとじゃなかったら尊敬するわ。まぁいいわ、どっちにしろ、あと一日。」
「本当に連れて行くつもりなの?」
「きららも余計なお荷物が消えてよかったでしょ。何よ、その顔。
別にあなたを責めているわけじゃないわ。
人には向き不向きがあるの。人に報告もせずに勝手に置いて言って、私が怒っているのは烈火に対してよ。烈火が戻ってきたら言っておきなさい。
文句があるならいつでも来なさい、と」
「……」
不満そうな顔をするきららだが、麗華に何を言っても無駄なことは十分に分かっている。
「はぁ、烈火が、あなたに失望するとでも思っているの?その程度のつまらない男なの?」
「そんなんじゃない!」
「だったら、そんな顔はやめなさい。いいわね。」