学校へ行こう9
トケン前、迷いの道
招かれざる者の勇騎を、きららは億劫な顔をして、プリッツを食べながら迎えに来た。
「何?あんた泊まってこなかったの?その無駄に鍛えた体で慰めるんじゃなかったの?」
「何ですか。やめてくださいよ下ネタ、それにしてもかわいいにゃんにゃんですね。」
猫のフードの着ぐるみのような寝巻を纏ったきららに思わず賛辞を贈る。
「あの、すこし触らせてもらっていいですか?」
「嫌よ。あんたに褒められてもうれしくない。ていうか何、今までと違って結構マジテンション何だけど、あんたロリなの」
「う、さっきの事もあってその言葉が身につまされますが、かわいいのは本当です。
ご自分でおロリという発言にその恰好、ご自分の武器を理解しておられる。
他意はなく純粋に可愛いですよ。本当に頭をなでなでしたくなります。」
さらっと冗談めかすでもなく、かわいいと面と向かって言われたため、きららは思わず、猫のフードを手に持ち顔を隠すようにぎゅっと下す。
その様子を見て、勇騎は今までになかった性癖が開いていく。
「というかきららさん、またお菓子ですか、」
「あんたが帰ってくるのが遅いのが悪い。ほら、早く作りなさい。」
「はいはい、仰せのままにお姫様。」
「ねぇ、あんたときどき私の事、お姫様っていうわね。なんなのそれ」
「このトケンのお姫様ですから、お姫様です。嫌ですか?」
「気持ち悪い、お姫様って何よ。」
「え、だって烈火さんの扱いが他の人と違うから、」
「え、うそ、本当にそう?」
「見てればわかりますよ。手を出したら殺すオーラが、2割増しです。っていうかそんなに喜ばないでくださいよ。俺の目がなくなるじゃないですか」
「あんたの目なんか最初からないわよ、何度も言わせないで、私の身も心も魂も、烈火の物だって言っているでしょ。」
「どこがいいんですか、無口であんなやる気のない人の、」
「全部」
「何ですかそれ、ほら俺の方が、筋肉ありますよ、あれですかやっぱり顔ですか?」
「全部」
「だから全部って何ですか、」
同居人に嫌がられ、家にも拒絶され、それでもここトケンは、勇騎望んだ居場所だ。
ここにずっといられないことは分かっている、それでも今はこの瞬間を心から楽しいと感じている。