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境界線の向こう側  作者: 柚子
8/74

【8】

カイルさんから譲って貰った漆黒の魔法書【魔法陣術読解書】は想像以上だった。


魔法書に宿りし者[シヴァ]は精霊に近い存在。名付けではなくお互いの真名を依代に契約を結んだ。

今ではシヴァは洋子の魔法陣術の師である。


《ねぇ、シヴァ?想像することで創造される。Weatherを使うには具体的に想像し具現化させる。魔方陣を使う媒体でもあるのね?》

[あぁ。洋子はまるで想像力の権化だな。一瞬でイメージを膨らませて表現できる者に初めて会ったぞ?Weatherを制御するには魔法陣術が不可欠なんだ]

今まで(異世界で)経験してきたことが活かされてるのかも》

[あらゆる事柄を漢字とやらに置き換えて“鍵”にする方法は、この世界の者は考えも及ばない]


洋子プチ情報②漢字検定一級取得。四文字熟語や諺や和歌も好きで熟読している。


魔方陣の知識は既に習得済みだが奥深い。新たな術式を組んだりする時はシヴァの監視の元で行っている。

今後魔導書を持ち歩きたいが、これ以上目立ちたくない。姿を変えて貰えるか尋ねると快く承諾してくれたのだが…


《梟?八咫烏(ヤタガラス)?》

[八咫烏とは?ただの黒い鴉だ]

左右の目が金銀だなんて鴉は、魔獣図鑑に掲載されていないけど、皆に見られても大丈夫だろうか?

[安心しろ。儂が視えるのは魔力量が多い敏感な奴だけだ]

《周りの人にシヴァを認識して欲しい場合は?》

[儂の意思で可能だが、あまり必要ないだろうな]


双龍やシヴァとは夢を行き来できる。今夜もベッドに潜り込むと体はスヤスヤ眠りつつ、夢の中で魔法陣を勉強したが、大半はお喋りだと付け加えておこう。



カイルさんとの依頼契約を円滑にできるよう基盤を安定させようと宿舎【ヤドリギ】に長期滞在する契約をした。毎日、朝食前の洗濯を手伝うことが条件で破格の“30日45000ギル”を前払いで支払うことになった。

洋子が申出しない限り自動更新するようにしたが、将来には住処を確保しなければならないだろう。


薬草採取が功をなしてDランクになった。(アイリスは肩を竦めていたっけ)

ここだけの話、独特な双龍の気配を感じるのか、魔獣は一目散に逃げていくか採取が終わるのをジッとして待ってくれる。まるで洋子は虎の威を借りる狐だ。

しかし魔獣の討伐も必須なのが冒険者。薬草採取だけでは金銭的にも危うい。



ギルド講習で剣術があるので申し込んだ。ギルド専属のベテラン冒険者達が交代で指導している。私の先生は…

「よっ!ヨーコ。直々に俺が指導する」

トイが剣片手に私の前に立った。

『よろしくお願いします!』

洋子プチ情報③中高校は剣道部で主将でした。


「筋は悪くない。朝か晩に鍛練して基礎体力つければ、もっと安定するさ」


初めは竹刀ならぬ聖樹の枝だったが遊びではない。中盤となると本物の剣で行うため重さが格段に違うし全身への負担もハンパない。

剣を持っていない私はギルドからのレンタルのため自分が持つべきサイズより大き過ぎるらしい。

朝に自主鍛練することと、剣を購入することを頭に刻みつけた。


『ありがとうございました』

「さっ、今から飲みに行こうぜ。もちろんヨーコの奢りな?」

『ぅうー。わかった!いいお店教えて?』



講習の御礼をするべきだと思っていた。

実際に会計で私がギルを取り出すと、トイは全力で私を否して自分が支払った。


「バーカ。ベテランが奢るって決まりなんだよ。新人に奢らせるなら講習費貰うわボケ」

『…返す言葉がございません』

「こらっ、棒読みになってるぞ」

『トイ、ありがとう。ごちそうさまでした』



後日、洋子は無駄な殺生を嫌い命を頂戴するなら魔獣討伐では一撃で相手を倒したいと話したら、トイは魔獣の急所を教えてくれた。


洋子のマイ辞典を見て、

「ヨーコ、何だ?この変な文字は?」

『私の母国語よ。この国の言葉で書くより早いし頭に入るの』

「ふーん。文字っていうより暗号だな、こりゃ」


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