【71】
ラファエルは恭しく部屋の扉を開けた。部屋全体が神々しく光に満ち溢れている。奥にはベッドがあり、誰かが身動きもせず静かに眠っている様子が微かに見えた。
「ミカエル様を眠りの森に誘ったのは私です」
ラファエルが涙目で言った。
>>キャーッ!目の縁を朱色に染めてメチャメチャ色っぽい。あ、不謹慎だった。
隣にいるトイがジト目で洋子を見た。
左側に控えていたガブリエルが言った。
「ラファエルがミカエル様にこう告げたのです。“黒魔女洋子様が黒狗と御婚姻された”と…」
>>ええっ!?私達が関係してるの!?
思わずトイと顔を見合わせた。
右側のウリエルは真摯に洋子へ訴えた。
「貴女が呼びかければ起きるかもしれません」
ウリエルの言葉にラファエルとガブリエルは頷き合った。3人同時に一礼して洋子達を奥へ行くよう促した。
>>ミカエル様はどうして私達の事を聞いて眠ってしまわれたの?
トイと並んでベッドの傍に立ち、ミカエル様をジッと見つめた。
………!!!!!
>>いつも光を纏う時に気付けたはず!一体私はこの世界で何をしてたの?
懸命に説得する3人の言葉にやっと納得できた。責任を持って起こさなければならないと、寝ているミカエル様の耳元で声をかけた。
『早く起きてっ!ちゃんと説明してよ、お父さん!!』
「おっ、お父さんんんっ!?」
隣でトイが大声で叫んだら、目を閉じたまま露骨に眉をひそめる父ミカエル。
〈イヤだもーん。洋ちゃんが黒狗とばーっかイチャイチャしてるから、パパは拗ねてるんだもんっ!〉
「「「ミカエル様のイメージが…」」」
フリーズする3人。
「ヨウコの父親が大天使で母親が悪魔?どうなってるんだ?」
トイが最も重要な点を述べた。
『んもぉ!お父さんってば、この世界に来た時にすぐ迎えに来てくれたら良かったのに?』
父ミカエルは口元をふにゃり緩めた。
〈だってぇ〜洋ちゃんは五色を纏う黒魔女だったしぃ優美な姿を見たかったんだもぉんっ!やっぱり洋ちゃんは綺麗で〜強くて〜優しくて〜可愛いなぁ〜フフン〜♪〉
父の軽快さにため息を落とした。
『はぁ〜、歌い出したよ、このオッサン』
「よっよっ洋ちゃんがグレたぁ〜!」
反射的にむっくり起き上がるミカエル。父にはため息ではなく爆弾投下だったようだ。
「「「ミカエル様っ!!」」」
「あっ、起きちゃった☆テヘペロ」
洋子が無言で帰ろうとすると、
「洋ちゃん!待って?」
父は慌てて洋子を引き止めた。
洋子の前に光の粒子が踊る。ヒラヒラと純白の布が空からゆっくり降ってくる。近付くとウエディングブーケだとわかった。
父は洋子の肩を優しく抱いた。
「母さんも貴洋もな、洋子の花嫁姿が見たいって我儘言うんだよ。家族で洋子の門出を祝いたいんだが。ダメかな?」
洋子はウエディングブーケを抱きしめて父の胸に飛び込んだ。
『ありがとう!!お父さんっ大好きっ!』




