表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
境界線の向こう側  作者: 柚子
66/74

【64】

トイの腕の中で眠ると、幼子が揺りかごに揺られている安心感に似た心地良さに、目を閉じたまま、うっとりしてしまう。



ーーー


ーーーーー


ーーーーーーー


………あれっ!?


ソファでうたた寝してたんだ。


無意識にスマホをチェックして、寝起きの頭で目の前に差し出された冷蔵庫の麦茶を飲む。


ーーんん?冷蔵庫?


キッチンにお母さんが立っている。麦茶のポットを冷蔵庫に入れて振り返った。


「洋子、元気?*****に行ってから、ちっとも連絡寄越さないんだから、もぉっ!心配するでしょう?」

『ええぇっ!?お母さん?どうして?』

「ふふふ。さすが私の娘よね?五色を纏う黒魔女だなんてね?」

ーー!!

『………お母さん』

戸惑う洋子に、母は優しく両手を握ってくれる。


「私ね、*****から地球の日本に渡った“異世界渡り”なの。やはり時は廻るのね?」

『お母さん。一体何者なの?』

「ふふふ。貴女らしい言葉ね。お父さんと貴洋も会いたがってるわ。今度は彼氏も連れて来なさいね?」

『ど、どういう意味?」

「洋子、繋がっている縁は決して切れない。決して…」

『お母さん!待って?』

「洋子、*****」


ーーーーーーー


ーーーーー


ーーー



先入観とは恐ろしい。オズ皇子の“異世界渡りは戻れない”という言葉に縛られてたのだ。洋子は次元の狭間に現る時空の黒魔女。月影が刻が各国の門が繋がった時と同じなんだと、夢現の中で母に出逢うまで気づかなかった。



見守るトイの前で朝焼けの空を見上げて、


《The owl of Minerva first begins her flight with the onset of dusk. (ミネルヴァの梟は暮れ染める黄昏とともに飛翔する )シルヴィア・フィロソフォス・プレシャス》


博識の白梟が舞い降りて来る。


《シヴァ、留守を頼むわ。必ず戻ります。桜翠、紅蓮、琥珀、紫雲、瑠璃、玄丞、私と共に…刀威、一緒に来てくれますか?》


「ヨウコ、手を」

指を絡めるように手を繋いだ。

「誰に訊いてるんだ?俺はヨウコの側にいる」

『ありがとう』


《Weather…》


二人の姿が忽然と消えた。


シヴァは目を閉じてつぶやいた。

[洋子、儂が心を傾ける唯一無二の主だ]

契約以来初めて喚ばれた真名が音楽を奏でたように聴こえた余韻を楽しんでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ