【55】
ライトがこっそり打ち明けてくれた名前の持ち主を調べた後、トイがガードしている。
シヴァは側室達の見張り兼盗聴するべく剥製の梟と化している。
後宮の階にある洋子の部屋を訪れたオズ皇子と話し合おうとしたのだか、背後から抱きしめられた。
『あの?オズ皇子?』
そのまま強引にベッドへ押し倒された。
「俺のキスは最高だったろ?なぁ〜ジュリ?男っていうのは想う相手がいても身体を寄せれば反応するんだ」
『貴方様みたいな素敵な、ご身分も頂点の殿方に触れて頂けるだけで感激ですわ。どういたしましょう?ドキドキしてきましたわ』
オズ皇子はニヤリと笑って洋子のスルリと着ていた寝間着を足元に落とした。
「おいで。一晩中可愛がってやろう」
『光栄ですっ』
洋子はハラハラと嬉し涙を流した。
………バッ!!
勢い良く扉が開いた。
いつの間にか防御魔法は解除されている。
「リュハートフルよ、そこまでだ!」
騎士達を引き連れたオズ皇子が登場した。
「ハートよ、私を騙り浮世の名を流していたのは真実だったか。詐欺の罪で捕えよ」
項垂れるハートを拘束し慌ただしく皆出て行った。
再び扉が閉まったのを確認すると、オズ皇子は、疲労感を滲ませてベッドに横たわった。
「ハートの奴、ヨーコの裸を見たんだよな?役得過ぎる!」
洋子はベッドの端に腰掛けて軽く睨んだ。
『オズ皇子、あれは幻惑の術ですよ?私は窓側で見ていましたから』
「ふうん。じゃ昼間のキスは?唇の感触はホンモノだったが?」
唇が弧を描きながら艶やかに光った。さすが俺様皇子のオーラだと感心しながら認めた。
『キスをするフリだと思いましたから』
「っあはははは!」
爆笑しながら飛び起きて洋子の肩を抱いて、身体の線をなぞるように動かし、
「ヨーコが城にいるなら、側室でも魔導師でも料理人でも何でも構わない」
オズ皇子は洋子の銀髪を梳くように指を入れて、身体をより密着させ、色気混じりの声で囁いた。
「俺は魔族のルシアより経験も技巧も上だが?」
『あのぉ〜〜背後を振り返ってから仰るのが良いかと?』
メデューサ以上の大迫力でオズ皇子を睨むアマテラスがいた。
ーーオズ皇子撃沈。
翌朝、アマテラスと二人での朝食の席は、彼女の怒り炸裂となった。
「オズってばヨーコにまで手を出そうとは!側室達は実家との兼ね合いもあるし、私も王族に嫁ぐ身、覚悟はできてるのよ?んもぉおっ!男って理性と身体がバラバラなのよっ!」
『いやぁ〜ウブな私をからかったのよ』
アマテラスは果汁をゴクリ飲み込み
「アレは本気だったわ」
と、真顔でヨーコを見据えた。
>>ぅわあーん。コワイよー。
『オズ皇子、どうします?』
「ヨーコは薄情だな。ちゃんと感じてたくせに」
『百戦錬磨の貴方様とは違いますから』
「愛しく想う気持ちを身体で表現するのは、男の魅力だと思うんだが?」
『それは姫様達が判断するんです』
「もしかして、ヨーコの居た世界では愛情表現が異なるのか?」
『お、な、じ、で、す』
洋子は側室としての自室に戻った。




