【41】
ファイア国のギルド“鳳凰の翼”で情報収集をして、ウェンディ国の森に帰って来た。
パーティで動かず休む時は、納屋にある扉から洋子の元に来るようになったトイが出迎えてくれた。
「お帰り、ヨウコ」
優しく包み込むトイの温もりにホッとした。
『ただいま…ぅんんっ…』
熱いキスの雨を降らせるので、思わず吐息が漏れてしまう。
「ヨウコ、会いたかった」
トイは唇を首筋を伝わせつつ、器用に洋子を抱き寄せたままお風呂へ向かった。優しく指で撫でながら舌を這わせる。
肩先から腕へ。
腕から腰へ。
腰から太腿、膝、足先へ。
甘く触れながら、さりげなく服を脱がせていく…
着ていていた服が足先に引っかかるのを感じる頃には、一糸纏わぬ姿になっていることに気づく。
『あのっ、ト、ト、トイ?何してるのぉ!?』
真っ赤になりながらも慌てて聞くけど、
「ん?疲れた恋人を癒したいんだけど?」
妖しく微笑むトイは、キラーーン☆と目を光らせた。
「ヨウコ?猫臭いけど?」
『猫?ペクにゃんのこと?』
「ペクにゃん!?」
スペクトルとの件を答えようとしても、トイの瞳は愛の灯火を熱く点したまま。
実際に話すのは夜明け前のピロトーク頃になりそうだったーー
『トイは炎蝶を見たことある?』
「あるさ、一度だけな。伝承の歌があるんだ。
嗚呼 可愛いあの娘の幻か
朧気に視える妖か
魅せておくれ炎蝶よ
嗚呼 愛しきあの娘の面影か
微かに聞こゆる化の声か
伝えておくれ水蝶よ
嗚呼 優しいあの娘の微笑みか
仄かに匂うあの香か
教えておくれ風蝶よ
妖蝶は見る者の欲望を現す時と、精霊達からの言霊を伝える使者として現す時がある。前者は悪への体裁を、後者は善への感謝を現すからと言われてる」
トイは洋子の額に口づけをした。
「俺は若かりし頃、自分の力を過信して崖から落ちた。力尽きて飢え死を覚悟した時に導かれたんだ。『大いなる存在がやって来る。今は死する時期ではない』と……
何処からか現れた炎蝶が告げて天へ飛んで消えた。水蝶が弾けて俺の渇いた口に水を落として消えた。風蝶が俺の体を浮かせて消えた。気力で岩壁を登れたのは、妖蝶達のおかげだった」
トイの伏せた頭を優しく抱きしめて、
『今、トイが生きて私の側にいてくれるのは岩壁を乗り越えたトイ自身と、希望と力を与えてくれた妖蝶達のおかげね。私はトイが生きていてくれたらいいの』
トイはわざとムッとした顔つきをして、
「バカ。‘ずーっと側にいて’が抜けてるし!」
角度を変えて何度もキスをしながら舌を絡め取られる。
「大いなる存在とはヨウコの事だってわかってないだろ?」
恍惚な表情を浮かべるトイが卑猥な音を立てて耳や顔を舐めるのが恥ずかしい。恥ずかしいのに全身に流れる甘酸っぱい刺激に喘ぎ啼いている声がトイの吐息に混じり合っていく…
トイは自分の動きに反応して善がる洋子を愛おしく見ながら、全身で愛撫を繰り返した。




