【40】
全長30㎝位の三毛猫のぬいぐるみは、エメラルドの瞳で洋子をジィーッと見ている。その朱色のマントにフードを被った姿は…
>>ヤバいっ!可愛すぎるっ!顎の下や耳の後ろを撫でつつ、ギュウしちゃいそうっ!
「私はスペクトル・フライ。ギルド“鳳凰の舞”の長を勤めている。実は岩肌に棲む炎蝶の事で力を貸して欲しいにゃん。………あれれれ?ヨーコにゃん?」
>>かぁ〜わぁ〜いぃ〜いぃ〜!ねぇねぇ?にゃんって!にゃんって言ったよぉおお〜!
どうやら洋子の‘萌スイッチ’がONになってしまったようだ。
『スペクトルさ「ペクって呼んでにゃあ!!」
頑張って真面目な表情をして、
『ペクにゃん、炎蝶の事を詳しく教えて下さい』
>>しまったぁ〜!にゃんって言っちゃったよぉおお〜〜。
スペクトルは嬉しそうに洋子を見て、
「ヨーコにゃんは炎蝶に触れた者は幸せを呼ぶって聞いた事ある?悪徳商法が乱獲しているって情報があるけど、公にギルド長の私は手が出せないんだにゃ。ヨーコにゃんの力で一網打尽して欲しいにゃん」
スイッチONの洋子の代わりに説明すると、炎蝶とは別名精霊達の連絡係りとも言われる妖蝶の一種で、一度は見たことがあるポピュラーな魔虫である。
しかし触れることは困難極まりない。警戒心が強く儚い蝶の姿に触れる近距離には決して近付いてこないからだ。
「ヨーコにゃん、ド素人集団ではなくプロだにゃ。気をつけるのだにゃぁ〜!」
そこへ威嚇したシヴァが洋子の左肩に舞い降りた。
「くっ黒羽!?」
スペクトルの声色が真剣味を帯びた。
[儂は博識の白梟、黒魔女洋子の目と耳になる者。スペクトルとて容赦はしない。魔虫共は洋子の友。その話は真実か?]
>>シヴァったらギルド長とヤり合う気!?
スペクトルは朱色のマントを放り出した。
>>ぅぇえええっ!?ペクにゃんの背中に翼が生えているっ!!似合わない。しっくりこない。三毛猫と白梟が互いに空中で威嚇してる。
「この話は本当だっ!手口が奴隷制度廃止前に乱獲した一味と酷似してるんだっ、この私を疑うのか?」
ペクにゃんはプライドを傷つけられて激怒してるようだ。一方、シヴァは知り合いの自分が洋子の傍にいることを知りながら、不在時に事を進めていることに激怒しているようだ。
ーー暫く様子見しとこ。
巻き込まれたら大変だし。シヴァが劣ることは有り得ないから。
「ここで喧嘩は禁止ですっ!!」
アスランが一喝すると、ペクにゃんは渋々洋子の元に飛び降りた。
「まさか黒羽が進化するとは。ヨーコにゃんの影響か?」
一瞬で洋子の左肩に来て睨んだ。
[あぁ。洋子を侮辱するならば儂が赦さんぞ]
「そうか。黒羽、よかったな」
話はまとまり、極秘指名依頼として受理した。一つ気になる点は
『闇の魔石が反応してるって事は?』
[魔族が絡んでいるやもしれぬ]
〈わーいっ!儂の出番だぁー〉
ご機嫌な闇竜が浮かれていたが、
[デカブツは引っ込んでろ]
闇竜に対してブラックな上に不機嫌なシヴァが凄んだ。




