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境界線の向こう側  作者: 柚子
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【4】

アイリスさんはギルドカードの儀装防止加工確認のため奥の部屋へ行った。


ライトさんは向かい側の壁にある本棚を指差して、

「この世界や理の本、魔獣図鑑、薬草や植物の本、スキルや魔法や称号を一覧表にした本など様々な本が自由に閲覧可能なんだ。」

と教えてくれた。


読書が趣味の洋子は本に惹かれて椅子から立ち上がった。現在の状況に思考回路がショートしつつあるのか、疲労感MAXなまま本棚の前に行った。何だかファンタジー小説のタイトルだと脳内ツッコミしつつ背表紙を目で追っていた。


アイリスさんが戻ってきてギルドカードと簡略された地図を貰った。今は情報が一番欲しい。

ギルドカードの内容はステータスどおり。魔法や称号は表示されないのは事実みたい。職業が冒険者になっていた。


「ヨーコ、あなたは今から冒険者よ。シャイン国、ギルド“鳳凰の翼”の一員として歓迎するわ。ヨーコの驚くべきことはレベル1なのに数値が高すぎることなのよ?」


ライトさんは私に目配せをした。別に構わないと思いギルドカードをライトさんへ見せたら、

「へえぇ~ヨーコ凄いな!レベル1だと通常はHPやMPは2桁なんだ。ギルドカードは信用している相手以外見せないほうがいい」

と真顔で言われた。

『わかりました、気をつけます』

「あと今夜の宿はまだよね?ギルドカードを鳳凰の翼で初発行してくれた特権よ。食堂の奥に宿泊施設があるから使用していいわ」

『本当ですか?ありがとうございます!!あと食堂って持ち込み可ですか?』

頷く2人へ一礼した。

『ライトさんアイリスさん、ご親切にありがとうございました』

ライトは何かあったらアイリスに言うよう諭して、帰っていった。




食堂で自作のお弁当を食べた。水筒のお茶を飲んでホッとひと息ついた。


掲示板はランク順に貼り出されていた。初心者なので左端を見ようとすると一番混雑している。


掲示板に戻って目を通した。Eランクの依頼は薬草集めや作業の手伝いが多かった。


目についた3つの依頼を手に受付に並んだ。アイリスさんは細かく教えてくれた。


①露草集め:12束


一度に12束まとめて必要。5000ギル。依頼主は薬師。常時募集しており同じ依頼を数枚貼ってあった。慌てなくても良さげ。


>>露草はさっきの本棚で調べてみよう。


②店舗【ゲイル】店番


朝から夕方まで。店主外出時の交代要員。不定期に継続して欲しい。1日4500ギル。冒険者御用達の剣や盾等装備品を扱っており初心者の私には不向きみたい。


>>残念。装備品を見に行くのもいいかも。


③宿舎【ヤドリギ】洗濯掃除の手伝い


早朝から夕方まで。住み込み可。まかない付。期間は5日間20000ギル。ご夫婦で営む宿泊施設で、魔法は魔導器(炊飯や風呂等様々に普及しているという)を使う程度で魔法は必要なし。


>>家事全般なら得意だから、失敗せず出来そう!


アイリスさんと顔を見合わせて微笑み合った。

③宿舎【ヤドリギ】洗濯掃除等の手伝い


『この依頼をお願いします』


そういえば私は異世界デビューだった。冒険者として生活する前に、この世界やシャイン国について知らなければ生きて行けない。


色んな人達と接することが必要不可欠だと思った。他の依頼の「魔獣討伐」なんてハードルが高すぎる!


「受注したわ。頑張ってね!はい、初依頼受注のお祝い金、2000ギルよ!」


優しく背中を押してくれたアイリスさんの気持ちが嬉しくて、表情筋が垂れ下がるのを必死で抑えつつ、渡された地図を片手に出発した。


洋子は貴重な1000ギルを買物に使った。残りの1000ギルは非常資金だ。


住み込みで朝夕ご飯が提供されるなら、最低限の着替えが必要だろう。


下着上下セットを2組300ギル、靴下2足で100ギル、パジャマを200ギル、ブラウス2枚300ギル、タオル2枚100ギル。合計1000ギル。


洋子プチ情報①1ギル1円、物価は昭和60年代を思い出してみてね。



ーーーーー



宿舎ヤドリギは冒険者が泊まるリーズナブルな宿舎で1泊朝食付で2500ギル。部屋や設備が整っており清潔で夕食も美味しいと評判だ。


料理を担う主人ザンフィルさんと配膳他給仕をする妻キャロルさんご夫婦で運営している。


今回は足を負傷したキャロルさんの代わりの補佐が必要となり急遽依頼したという。一人娘は近くに嫁ぎ、時々手伝いをするが、タイミング悪く遠方へ旅行中だとか。


「ヨーコ・サトーさんね、明日からよろしくね」


キャロルさんから鍵を貰って部屋を見にいった。


外の洗濯場兼井戸に一番近い部屋だ。ドアを開けると左には造り付けのベットがあり、右には棚と勉強机みたいな一人用の机と椅子一つ。


>>居心地良さそう。


リュックを置いてコートを脱いだ。仕事の邪魔になるから髪をシュシュで結んだ。


手渡されたのは割烹着に近いエプロン。見よう見まねで着用した。


部屋の鍵を首からかけてギルドカードとハンカチと財布をポケットへしまった。


明日から5日間だが、怪我をした奥様は顔色が良くなかった。きっと無理をしているだろう。今からお手伝いしたいと思った。


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