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境界線の向こう側  作者: 柚子
23/74

【23】

翌朝。洋子は顔を洗い身支度を整えながら昨夜の出来事を思い返して赤面していた。


>>どうしよう?あのままホッとして眠っちゃったよー。トイってば呆れてないかな?起きたら居なかった。ってゆーか朝だったし。


居間で朝食中のトイは戦闘服を着ていた。内心ドキドキしつつ『おはよう』と挨拶をして隣に座った。

「ヨーコ眠れたか?」と笑顔で訊ねた。

『トイのおかげ。眠「ほら、早く食えよ?」

トイが焦ったような感じでルナの手にあるプレートを指差した。


何となく周りの視線が柔らかい。皆、あたたかな瞳で私達をチラ見してる。


>>どうしたのかな?全員居間に揃っているのであからさまに感じる。


「行ってらっしゃい!」と皆で玄関で手を振り見送る姿にジィーンと目頭が熱くなる。

ライトが馬車で迎えに来た。

「『行ってきます」』

と手を振り返した。


「ヨーコ久しぶりだな。ほら、乗れよ?」

ライトが手を貸してくれるらしい。ニッコリしながら左手を差し出した。するとトイがすかさず洋子の右手を握ったまま馬車に乗り込んだ。


ライトは呆気に取られた表情だったが、肩を竦めて反対側の座席に座った。

「トイがわざわざ付き添わなくても、俺達が直々に護衛するんだが?」

「お前は皇子一筋だから心配なんだよ」


洋子は男性2人の会話よりも馬車を引くペガサスに夢中だった。先頭は白金の2頭で2列目は白銀の2頭の計4頭だった。

[シヴァ様お久しゅうございます]

>>ええっ!?シヴァはお知り合い?


[黒魔女洋子様、お初にお目にかかります]

[私達は城の専属馬でございます]

[本日は春の宴への送迎させて頂くことを誇りに思います]

[霊笛でお呼び下されば参じます]

>>真面目?律儀?恭しさが滲み出てる。もしかしたら私の存在を勘違いしてない?


《私は佐藤洋子です。名前を教えて下さい》

鈴蘭すずらん

梔子くちなし

紫苑しおん

山茶花さざんか

[月影が名付け親だ]

シヴァが付け加えた。

《鈴蘭、梔子、紫苑、山茶花、よろしくね》

四季の白い花を名付ける月影のセンスはなかなかだと思った。


城門をくぐると騎士団が整列して出迎えた。大々的な歓迎に馬車内でフリーズしたまま通り過ぎて、停車場に到着すると案内されるまま一室に落ち着いた。


「初めまして。私達はヨーコ様が滞在する間、従者としてお世話致します。左手からエル、エム、私はエスです」

三人官女は見事な一礼をみせた。


トイは部屋に残り、洋子はエスに着替えるよう隣室へ案内される。

目の前には3台のトルソーに着せられたドレスが3着あった。左側から深緑色、サーモンピンク、純白と違うタイプのデザインだった。


「左手から謁見の儀、晩餐会、春の宴で着用して頂くお召し物です」

『さっ3着とも着るのですか?それは王族の方々へ失礼のないようにですか?』

エスさんは冷ややかな視線を洋子に浴びせながら、

「いえ。第2皇子の趣味です」

不敵な微笑みで洋子を一撃した。


………えーん。これじゃ着せ替え人形だし。やっぱ憂鬱だよ。


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