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境界線の向こう側  作者: 柚子
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【2】

自分の記憶に誤りはないと思う。

沙織は今頃研修に参加してるのかな?それとも私が行方不明だって大騒ぎになってるのかな?


『どうしよう…』


ここでウジウジしても仕方ない。

近くに誰かいないか探そうと周りを見渡す。


岩壁の間に切り抜いたような空洞を見つけた。きっと外への出入口だろう。そこに麦わら帽子が落ちていた。軽く叩いて汚れを払って被り直した。


逸る気持ちを抑えつつ出入口をくぐった。




『ぅええええぇぇ!?』




目の前に飛び込んできた風景に絶叫する私。普段はそんな驚いたり叫んだりしないんだけど気持ちが着いて来れない感じ。だって…


手間には石畳の道に連なり家が並んでいる

左にはお城があり奥には森が広がっている。右には畑があり平坦でなだらかな丘になっている。

自動車や電車は走っていない。電信柱やコンクリートの道路や標識、看板もない。


行き交う人達はゲームのキャラみたいな服を着ていたし、スーツやジャージ姿の人はいない。

髪は金髪他、赤やら青やら緑やら。瞳も榛色水色翡翠色など様々だった。黒髪黒眼の人がいない。

頭に獣耳や尾、羽が見えるし着ぐるみが歩いているようにも見えていた。


ちなみに洋子の視力は裸眼で1.2のため、決して見間違いではない。


一人ツッコミくらい許して欲しいと見えない誰かに訴えつつ、人がたくさんいる方向へ歩き始めた。




ーーーーー




ここは異世界だ。時代背景は予想もできないけど、自分がいた世界とは全く異なる場所だと肌で感じていた。



キョロキョロしないよう平静を装い歩いていると、聞こえてくるのは雑音でも異国の言葉ではない。日本語じゃないのにスッと内容が入ってくるし文字も読める。

>>どういうこと?もぉいっぱいいっぱいなんだけど?


「どうした?迷子か?」

大きなお店の前で話しかけてきたのは、ベルバラの騎士をイメージした目立つ服を着た男性だ。


茶髪に蒼眼。コスプレイヤーみたいな姿が彼のイケメンぶりに拍車をかけていた。重厚な剣を腰に付けている。


「俺はシャイン国騎士の“ライト・スチュアート。怪しい者じゃない」

>>人が良さそうなコスプレイヤーに見える。


咄嗟に営業スマイルを浮かべながら思案した。

この世界の通貨は持っていないのでホテルに宿泊したくても無理だろう。野宿は嫌だし落ち着いて考えたい。ならば…


『私は、佐いえ、ヨウコ・サトウです。遠い田舎から出てきて、この街の事がまだわからないんです。これから生活していくため仕事が欲しいんです』


「仕事?ならキルドに行けばヨーコにもできるんじゃないか?」

『ギルド?』

>>ハロワみたいな?

頭上の?マークに気づかれたらしい。

「ギルドを知らないのか?そんな事でよく一人でここまで来れたな?」

>>ヤバッ!

『途中までは一人じゃなかったんです』

>>嘘ではないよね?沙織と一緒だったもん。


ギルドまで案内してくれることになったので、ライトさんと一緒に歩き出した。


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