オルタナのリア 後
「これでい~い? ちゃんと粉は測ったよ」
「おし、じゃあ水を入れて固まるまで混ぜといてくれ」
「……おぉ~、ねばねば~……!」
今日のリアは暇に任せて父親の作業部屋に押し入り、簡単な作業をやらせて貰っていた。
火薬なんてこねるくらいならクッキーの作り方でも覚えたらどうかと母親には突っ込まれるが、気分が全然違う。普段しない事で楽しいのが一番だがもう一つ、ちょっとは分かりやすい形で役に立ちたいのだ。
「あっ、髪にくっ付いちゃった」
ちょっと力を込めようと屈んだ拍子に、鉢の中のドロドロした妙な物体に髪が一房巻き込まれる。
「ところでリアはなんで髪伸ばしてるんだったか? いつも邪魔そうにしてるが……あー……な、嫌ならいいけど、切ってみたりはしないのか?」
リアは手で丁寧に髪を梳いてしまうと、その肩下までのオレンジ色の髪と父親の蒼い長髪を交互に見比べる。
「これね、今町で伸ばすのが流行ってるみたいなんだ! 女の子はみんな長いよ! それにお父さんだってボクとおんなじくらい長いじゃない」
「う、これはだな……まあ父さんの事はいいだろ、邪魔になったら切るさ」
リアは少し怪訝そうな顔をしたが、ふと父親の背後の棚に乗っているものに目がいった。
「ねえ、これなぁに? ぼや~って青ーく光ってない? なんかスゴいもの!?」
ちょっと手に取ってみようとした時、珍しく焦った様子で父親がその手をはたいた。
「待った! それには絶対触っちゃ駄目だ。別に危なくはないからほっとけ」
「えぇ~どうして~!? どんなものなの~!?」
「どうしてもだ!」
「教えてよ~、絶対ダメなんて言われたら触りたくなっちゃうよ~! ねえ、どうなっちゃうの~?」
部屋に入れるべきじゃなかったか、と父は溜め息をついてそれを手袋越しに掴み、リアの顔の近くまでもってくる。
「友達の誰にも言わないって約束できるな? まあ、知ってる奴は止めるし知らない奴は信じないだろうが……この石は触れた物や人を、イメージした時代に飛ばす事が出来るんだ。例えばそうだな……何十年も未来に行って、大人になった友達を見てみる事だってできる」
「ふ~ん……何回でも使えるの?」
「一回だけだ。同じもんがないともちろん帰って来れない。……でもな、そういう事が出来たら、先の事が知れてつまんないだろ? だからうんと昔にもっと沢山あったのをみんなで捨てたんだ。これはもしもの時のために一個だけとってあるんだよ」
「よく分かんないけど、ズルができちゃうって事かなぁ……そういう事なら、見てるだけにする」
自分で聞いておいてなんだが、リアは内容そのものには興味がなかった。ただ駄目と言われるとそれがどういうものなのか気になって仕方なくなったのをどうにかしたかっただけで、あまりいいものではないとだけ知るとリアの中でその石の存在は終わってしまって、それっきり単なる家の景色の一部と化してしまった。
「キャー、虫が出た~!」
「え~ウソでしょ!? 誰か何とかしてよ~!」
「……みんな、騒ぎ過ぎ」
ある日友達の家で遊んでいた時、部屋に小さな百足が一匹這い出した。リアは森で虫などいくらでも見ていて、どうしても嫌だと思った場合にはその場を離れればよかったからその時も特に何とも思わなかった。
「ちょっとリアちゃん虫大丈夫でしょ、殺しちゃって!」
「うん……え? 何でいきなり殺しちゃうの?」
「そこにいて欲しくないから! 当たり前じゃないの!」
「えぇ~……? うん……?」
何か腑に落ちなかったがとりあえずバシリと叩き潰してみる。ただそれだけ……誰も何も言わず、それまで通りの会話に戻っていった。
「っていう事があったんだけど、虫って殺して普通なの? 森にいる虫も殺しちゃった方がいいの?」
よりによって晩ご飯の時にリアは両親に訊ねてみた。しかし明確な答えは返ってこない。しかも何故だか父親の顔が一瞬暗くなったように見えた。
「どうだか、人によるけどな……俺はよっぽどの事じゃなきゃ殺さないが」
「どっちにしてもいけない事じゃないわね。迷惑だと思ったら一匹や二匹はいいんじゃない? そのくらいは自分で自由に決めていいと思う。でも自然の中にいるのをわざわざ殺しに行くのは感心しないな」
結局リアは上手く飲み込めず、今まで通り出来れば殺さないというようにしたが、場合によっては殺しても問題ないという例もあるという事だけ頭に留めた。
それを元に何日か考えて、リアの結論としては自分で考えて納得した対処を選べばよくて、知らず知らずのうちに殺していたかもしれない分に関して気にする必要はほとんどないという、ごく一般的なものだった。
「あっ、イクト~、久しぶり~!」
「……今日はリア、来たんだ。これで私、抜けられる……」
「おうリア、あれからちゃんと練習してたかぁ? ちょっと蹴ってみろよ」
「うん! せーの……!」
森に行くようになってからずいぶん経った。時々町にも遊びに来るものの男子グループと日が合う事はあまりなかったが、それでもリアは飽きもせずに森の中で不規則に跳ね回るサッカーボールを追う事もよくしていた。そういえば男子はどれくらい強いシュートをしていたか、あまりはっきり覚えていない。
受け取ったボールをゴール前で待ち構えるイクトに向かって思いっきり蹴った時、脚がボッと爆発したような感覚を覚えた。
(ありゃ……?)
ドガァァ……ン。
「……リア、すごすぎ」
いつもの友達は男女問わず静まり返った。リアの蹴った球はゴールを突き破り、その先にある家の壁にめり込んで落ちて来なかったから。
「リ……ア? お前今、何やった……? 大人でもそんなのムリだぞ……?」
「ボクにも分かんないんだけど……強く蹴る練習なんてしなかったよ……?」
今まで木に向かって軽く蹴っていた時はそんな威力はもちろんなかった。では森でしていた自由な振る舞いのうちの何かによる副次的なものか?
脚力がつきそうな事……走り回っての移動、高い位置の枝に跳び付くためのジャンプ、水場を見付けては泳いだ事、ちょくちょく木から落ちては足を痺れさせて……どれもリアの頭の中で強いキックには結びつかなかった。
――強い、キック? もしかしたらボクはケンカしたら強いんじゃ? 蹴りたい相手がいた訳でもないが、試しに近くにあった比較的細い街路樹を蹴りつけてみる。
……折れた。芯からぽっきりと。それを見て自分が誰かに怒っていて肩慣らしでもしたと思ったのか、今まで仲良くしていた子供達はリアが狐につままれたような顔で振り返るのと同時に、蟻の巣を突ついたようにバラバラと逃げ出した。
「助けてー、殺される!」
「嫌ぁ! 何なのよあいつ!」
(……何? 何って? ただのリアだよ、ただの友達でしょ?)
イクトだけはその場に留まったが、状況が掴めず目を虚ろにして歩み寄るリアとは一定の距離を保とうと少しずつ後退していく。
「イクトォ……ボクもみんなもどうしちゃったのかな? なんでみんな怖がるの? ほら、こんなにスゴくなってる。いい事じゃないの?」
リアはその場で石道を強く踏みつけて見せる。さすがにビクともしないが、普通の子供がそうしたようなタシッという音とは明らかに違う、全力を込めた右足からはズアァッという、何かが巻き上がるような音が響く。
力を見せて怖がらせたいなどとはこれっぽっちも思ってなかった。ただ、絶対答えて欲しくて必死に、ムキになってやった。足を上げると、靴には派手な穴が開いていた。
「リア……お前、おかしいよ……!」
「え……っ!?」
半泣きになったイクトの絞り出した言葉は、リアの頭の中で大きく反響し彼女を支配した。おかしい、おかしい……!? 混乱したリアにはその意味をこうとしかとれなかった。
――お前は、「リアは」オレ達とは違うんだから、もう関わらないでくれ。
「わあああぁぁぁーーー!!!?」
「えっ!? 待てよ、リアー!」
弾かれたように……両親の所まで、一直線に。駆け出した足が自分の意思では止められなかった。
家まで一時間かからないくらい。いつも通り最初から最後まで全力疾走だ。
(自分だけで森を独り占めしたからだ、バチが当たったんだ!)
今日のような事は初めてではなかった。一度目はいつだったか皆で何処かに行こうとして一斉に長距離を走った時、リアは男子の五倍以上の距離息が持った。いつも家までは遅れるせいもあって走って帰っていたし、森に行くようになってからは走る場所も意味無く走っても奇異の目で見られない時間も、無限にあった。だから体力がついていたのだろう。しかし、冗談交じりにこう言われた。
「リアはきっと化け物なんだよ」
もう一度は女の子友達の家に一人で遊びに行った帰り。そこを出てすぐ忘れ物をした事に気付き、窓が開いていたので二階にあるその子の部屋まで当たり前のように跳び上がっていった。その子は腰を抜かしたが、別にリアにとってはいつもの事だった。地面に始まり枝から枝へ。どんどん高く一気に登っていきそこから風を切って跳び渡るのは慣れると最高の楽しみの一つだったし、窓から出入りが出来るのは単に時々面倒を省く事が出来て便利で、出来るのにしない理由もなかった。両親も最初は驚いていたが……。そうしたら、こう言われた。
「リア、私リアが怖いよ……」
それはついこの間、一昨日の事だった。何故おかしいのか自分には納得できていなかったが、凄いと言って貰えると思っていたのに立て続けに弾かれて、リアは自分が知らないうちに友達の輪に溶け込めなくなりつつある事に気付いた。
(ボク何にも考えないで遊んでただけなのに、森では人に見られてたらやりたくない事いっぱいできて、楽しかっただけなのに!)
その日はただひたすら両親に泣きついた。訳を聞かれても声が言葉にならないぐらい喉を歪めて、咳き込んで、吐いて、明け方気を失うように眠った。そうまでなっては家族も、その後何も聞くに聞けなかった。思い出させる勇気が出なかったのだ。
それきりリアはいつも行く広場に顔を出せずにいた。行ったら皆逃げるだろうから。だったら一人で森にいった方が楽しいだろうから。だがそんな理由で森へ行っても寂しいだけだった。
とりあえず、町を適当に歩いてみる。いつもは沢山の人が慌ただしく行き来しているのに、いつも通り出歩いているのは普段気にも留めないおじさん達が少しだけ。それ以外は道から綺麗に消え失せていた。
珍しい物や恐ろしい物を見たら、自分だって知り合いに多少言いふらす。泣いて走り去ったリアが何かの拍子で暴走したら……それが怖いんだろう。多少力がついたからといっても、丸腰の十歳の女の子ぐらいどうとでも抑えられるだろうに。
すれ違った一人がこっそりアメをくれたが、分かってない。食べたら負けな気がした。
「もう遅いから気を付けてねー?」
係のお姉さんが心配しているが、リアは聞いていなかった。
(ボクが明日から普通にしたら……? ううん、変わんないよね……ボクがどうしたって、もうみんなリアがヤなんだから)
リアは何冊か本を借りて、小さな図書館から出てきた。何かの施設でなら周りを気にせず時間が潰せると思ったのだ。
植物、動物、キノコの図鑑と、絵本が少し。まだ森に行く気なのかどうか自分でも分からなかったが、気が付いたら持っていた。しかし開いたっきり茫然として時間を過ごしていたらしい、全く進まないまま夜になっていた。
四回も五回も六回も貸出カードに「リア」と書かされて、また泣きそうになった。自分がリアな限り、みんな怖がったり笑ったりするのは想像できたから。……そういえば、自分の姓は何だったか。無駄でもそっちを名乗って暮らしてみるか。帰ったら聞いてみよう。
そのままとぼとぼ帰り道を歩いていると、突然知らない男の子が立ち塞がった。見るからに頭が悪そうで考えるより先に手が出るタイプの乱暴な少年に見える。
「……だれ。帰りたいのに……なに」
「お前、リアだろ! 俺と勝負しろ!」
「やだ」
「逃げようったってそうは問屋がおろさねー! 昨日今日出てきたばっかで有名になりやがって、俺を差し置いてこの町最強は名乗らせないっつーんだ!」
「じゃま」
ただの馬鹿か。どこかの馬鹿が馬鹿に馬鹿な伝え方をして……自分とは違う毛色のバカだ。リアは問答無用でタックルしてくる男の子の肩に、色々な鬱憤を蹴りにしてぶつけた。
「うグあぁっ!? まだまだ……!」
機嫌が最悪なリアによって彼は実に街灯七つ分は大通りを吹き飛ばされる。
「起きてこないで」
瞬時に追い付いたリアは起き上がろうとする彼の胸を踏み付ける。森で数え切れないくらいの小枝を踏み割ったのと同じような音がした。そしてリアはさっさと帰路につく。
「……お父さん……」
こういう時は父親に味方して貰うのが一番なのだが、いつからか父親は自分といるとなんだか元気がない。そうだ、今度その理由についてゆっくり相談しよう。今のままで外出しても何も楽しくないのだから。
「待ったぁ……!」
ふと我に返ると、いつの間にか彼が起きて、また立ち塞がっている。自分はこんな子どうでもいいのに。
「俺はまだ本気だしてねーんだぞ、そうだお前俺が怖いんだろ! だから帰りたがるんだ」
どうやら、痛みが一周して気付いてないらしい。リアは初めて人を本気で鬱陶しいと思った。迷惑だ。この夜道から早くいなくなって欲しい。
その条件はまるで……。
(あれ……あ、ボクこの子殺したいと思ってるのかな、これって。別にいいよね、ボクから何かしたんじゃないし)
リアは近くの屋根まで何段かに分けて跳び上がると屋根瓦を一枚持って帰ってきた。そしてもうロクに動けていない男の子を蹴り倒すと、入念にそれを打ち付けて頭やら腹を叩き割り、引き裂いた。その激しい打撃音に周囲の住人が遠巻きに様子を見に来る。
「あっ……!? おいあれ、例のリアが……!」
殺した事については、特に気にならなかった。自分が今まで聞いた話からすれば悪い事じゃないらしいから。みんな普通にする事みたいだから。むしろ、せっかく殺したのだから後で無駄に人を殺さないために、殺した時でないと出来ない事は今やっておくべきじゃないか? そうリアはよかれと思って考えた。
(そういえば……人の体って中身どうなってるのか、ボク全然知らないや)
「ああぁあっ! くそっ……!」
「や、やめなよ……そんな事したって何も変わらないよ」
シャルは日頃溜まったストレスをどうにか振り払おうと、壁を何度も殴りつける。この頃は特に酷い。リアのせい、いやルトのせいか、違う。今悩んでいるのは自分が勝手に後ろを振り返っているせいだ。
「リアが、何か言ったの? でもあの子は何も知らないんだし、似たタイプだからってルトと同じような事をしたとしても、リアには悪意は……」
「違うんだよ、俺はリアはリアとして愛せてる! だがあいつと俺は今と同じ、最高の家族の関係だった……リアがどんな見た目をしてようがどんな性格をしてようが関係ない、いざ向かい合った時に俺の前にいるのはあいつの姿で、あいつの声で話す何かなんだ。それをかい潜ってリアを見ようとしても、一度見え始めたものはもう消せなかった。離れて見守るぐらいが、リアとして感じられる限界で……。俺が未練がましいだけなんだよ」
「でもあの時は止めなかったじゃない、納得出来てたんでしょ!?」
「ああ納得してた、あれが一番いい終わり方だって。けど「ルト」とはどんなに気持ちよく別れられても、それまでの事が全部美化される訳じゃない。リアを見てると、失敗続きだった自分の行動が蘇ってくる。外から働きかけられて思い出す事なんて悪かった所ばっか際立ってて、あの頃どうしてあんなに馬鹿だったんだろうって……そんな事してる間にもっとあいつに、してやれる事とかあったんじゃないかってさ……!」
シャルはまた、泣き崩れた。こんな事をいつまでも続けていても何も変わらない事は重々承知していたが、理屈で片づけられる事でもなかった。
「全部を後から後悔しないように動ける人なんて、誰もいないよ」
ミミルは彼に肩を貸して、外まで歩かせた。また遅くなっているリアを迎えに行くのだ。
「もう一回だけ頑張ってみて。リアと向かい合えさえすれば、きっとまだ前に進める」
オルタナの大通りの真ん中で、真夜中にも関わらず人だかりが出来ている。出来るだけ大きな円を描き、誰一人かける言葉を見付けられなかった。とうとう頭がやられてしまったのではないかと警戒する人、小さな子が狂気に走った事に涙する人、血溜まりの中で肉塊を掻き漁る少女の姿に恐怖する人。
「なんだ、この騒ぎ……っ!? おい、何やってんだ!?」
二人は図書館に向かう途中でそれに気付き、その中心にいる我が子に息を呑む。
「あ、お父さん、お母さん。見て、すっごくヤだったから殺してみたんだ。ちょっと前まで人を殺すなんてムリだったけど、けっこう簡単なんだね。これって成長かなぁ?」
「じゃあ何でそんな事してる……ッ!?」
リアは人の皮を裂いて、中の骨や内臓を掻き出しては綺麗に肉をこそげとって、そのパーツを小脇に並べていっている最中だった。
「何でって……う~ん……勉強? 見た事なかったから」
「リア……お母さんリアがうんと小さい頃から人を殺すのは絶対に駄目だって教えてあげたでしょう……?」
「そうだっけ……? そんな小さい時ただダメだって言われたって覚えてるわけないよ。それに……どうして虫はよくって人はダメなの? それが分かんないよ」
リアは顔色一つ変えずにそこまで言い切る。本人にとってこれは禁忌でも何でもないのだろう。自分が得た情報を自分なりに組み合わせて得た、答え合わせをする訳にいかない解答。
シャルはそれを聞いて、今まで自分を食い止めていたものが千切れた。無垢であるが故に、命を平等に考え過ぎるのはルトの最大の特異点だったから……。
気が付けば彼は、リアの頬を殴り飛ばしていた。
「え……なんで……?」
客観的に見ても、そうするしかなかった。子供のしでかした事を正せない親はそれを、人殺しを容認したと断定される。リアのためにも、なるべくきつい言葉をかけなければ。絶対に同じ事を繰り返さないようにするには……迷って、シャルは怒鳴る。
「……お前は……! お前なんてもう俺の娘なんかじゃない!! 何処へでも消えろ! 二度とうちに帰ってくるな!!」
「ちょっと、シャル……!」
「……グスッ……、ぅわあぁあああぁぁん……!!!」
リアは夜道に涙を落としながら、闇の中へ走り去っていってしまった……。
それから馬鹿正直なリアは、本当にいつまで経っても家へ戻ってくる事なく、行方知れずになってしまった。当然、我に返ったシャルは深く悔やんでひたすら探し続けたが、リアの行きそうな所を全て回っても、あの森を何ケ月探しても、娘が見つかる事は無かった……。




