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食料 お肉GET!

 ― リクルの森 サバイバル5日目 ―



 ピチョンッ


 朝、1滴の水が落ちる音が静寂とした森の中に響き渡る。泉の中に一人の人物が身に何も纏わず、産まれたままの姿で水浴びをしていた。

 彼女の銀色の髪は湿気を吸い、朝日の光に反射して艶がかり白銀に輝き、ずっと日を浴びていないかのような真っ白な肌に張り付いている。

 その成熟する途中にあるであろう少女の体は細く、だがしっかりと出るところは出ているのに全体のバランスを崩していない。

 頭から流れる滴がほんのり赤く染まった頬を伝い、顎からこぼれ落ちてまたピチョンッと響かせる。

 人形の様に整っている顔は少し俯き、宝石のような瞳を今は閉じていた。

 この場に誰かいたら女神と思わせそうな光景だ。

 その人物、ユキはそんな見た目とは裏腹に中はかなり羞恥心を感じていた。


 あぅ、誰も見ていないのはわかってるんだけど、それでも外に裸でいるのは恥ずかしいよね。

 いやだって、戦利品の服を洗ってたときにさすがにそろそろ体を洗わなくちゃいけないなって思ったんだよ。

 でもこの体女の子なんだよ~(泣)最初は気恥ずかしかったんだよ。だから服着けたままで洗えるとこは洗ってたんだけど限度があるからね。

 昨日の戦闘で汚れたし元々洗いたかったでボクは決断をしたんだ。で、脱いで脱いだ服も洗って、縛って胸が揺れたりするのを押さえてるスポーツシャツとトランクスを脱いで産まれたままの姿になったんだ。

 最初は恥ずかしいの他に興味もあったけど、いざ裸になっても欲情とかしないね。それも男としてどうかと思ったりするけど今はほら、女の子だし。自分の体だしね?

 まぁ服洗って他と同様に焚き火(〈火魔法〉でやった。便利です♪)の近くに干して泉の中に入ったんだ。

 やっぱり洗うときに女の子特有の柔らかさがしたり、いろいろ詳しくは言えないけど汚れは落とすことができました。

 恥ずかしくなって少し顔が熱くなったけど早くこの体に適応しなくては!と思ったよ。もうボクの体なんだからね。


 その後ユキは泉から上がってハンカチで水分を取り、早めに乾いた下着を着て、スポーツシャツを胸の下あたりで縛り、胸の揺れを押さえる感じに着た。

 後は乾き次第にYシャツと学生ズボンを着て胸当てをし、短剣を腰の後ろのベルトに装備して最後に外装のローブを羽織った。少しだぶってるので体の線は隠れて嫌な視線が少なくなることを願いたい。髪をローブの中に入れてフードを目深く被ると.....何かもう怪しい人にしか見えない見た目になった。


「ふぃ~、スッキリしたぁ~♪」


 それを本人は気にした様子も無いようだ。

 んー!っと体を伸ばしているとユキのお腹からくぅ~っと可愛らしい音が鳴った。


「そう言えば昨日から何も食べてないね。よっと!あむ、モグモグーー、ゴックン。う~ん.....ラノフの実以外の食べ物が無い。でも火は有るから後は肉!か魚を手に入れるだけだね」


 でも泉に魚いないし、後は肉だけど.....狼とかしか食えそうなの無いよ?ゴブリンもいるがとても食えそうには思えない!

 まぁ探すだけかな。


 ユキは焚き火を消して立ち上がると森の探索に出掛けた。昨日の狼の群れがこの辺にいるのか〈気配探知〉に結構な数が進んだ先で引っ掛かっていく。

 出会い頭に一閃、喉元あたりを狙い切る。飲血し次第〈アイテムボックス〉に入れていく。もしかしたら食べるかもしれないから。

 そんな風にどんどん殺っていき、奥へと進んで行くと少し大物?みたいな気配が近づいてくる。ユキは警戒して木を登って枝にて待機することにした。勿論〈隠密〉で気配は薄くなって臭いも無臭、準備万端で挑む。もしかしたら食える獲物かもしれないし逃げられないように一撃で仕留める。幸いにも真っ直ぐこちらに来てるようだ。


 さぁ来い魔物(夕飯かも)よ!あ、でも心の準備が。


 まぁ順調に進んで、猪もどきを短剣でぶっ刺して、念願のお肉GET!ですね。

 聴覚とか嗅覚とかの感覚が前より良くなってたのは薄々気付いてたよ?確証が無かったから言わなかっただけで。嗅覚が良くなってたからゴブ村の時は辛かったです。はい。

 ちなみに物思いに耽ってたのはお肉のことで頭の中いっぱいに考えてたからです。食い意地張っててすみません。

 だってさ、見た目はアウトな気がするけど日本じゃ猪の肉食えてたしね。ボクは食べたことないけど。

 それにこの猪もどきの種族がね。明らかに食べられそうな名前なんだよ。

 「デリシャスボア」って言うんだよ!これで不味かったら詐欺だよね?

 まぁ〈鑑定視〉とか食べてみるとかすればわかることだし、この猪は〈アイテムボックス〉に入れといて~♪よし!帰ったら血抜きしなきゃね。


「ふんふんふ~ん♪5日振りのお肉だぁ~♪」


 思わず鼻歌を歌いながらユキは拠点に急いだ。

 道中にまた湧いた魔物は瞬殺、してスキルを貰ったら放置して帰り道を急ぎ数十分後には拠点に帰ることができた。

 泉から少し離れた所に土魔法の『アースウォール』で左右に壁を作り、『アーススパイク』を壁から横に出してもう1つの壁に着けて固定させる。高さは2m以上の少し高いくらいに。

 後は狼と猪の足をゴブ村から手に入れたロープで足を縛って上に吊るしていき、最後に洗った短剣で腹を切って内臓を取り、首を切って血を出させる。血抜きはこれで時間を少し置くだけだ。


 うぅ、内臓久し振りに取ったよ。グロいよ~。

 実は母方のお祖父さんの家が家畜やってるから遊びに行った時に経験させられたんだよね。

 鶏とか豚とか血抜きや解体する所を見せられて、“いいか幸。わしらは命奪って生きているんだ。だから感謝を込めて食べるんだぞ!”って言われたけど.....まだ小さいときなんて気絶してその後肉が食いたく無くなったりするんだけどね。

 その後はお祖母さんの店が出せるレベルの肉料理で出てくるからいい匂いにやられて食べたんだけどね。その時から解体し始めたらそれは食料だと思うようになったよ。

 だからグロさに耐性や血抜きとかのやり方とか覚えてるんだけどね~、っとそろそろかな?


 ユキは日本にいた頃の昔のことを思い出してる内に血抜きが終わった様なのでユキは降ろして狼はまた〈アイテムボックス〉に入れといてデリシャスボアを解体するようだ。

 まず毛皮を腹から剥がしていく。何時間かかけてすべて剥いで首を切り落とす。後は雑だけど骨と肉を分けて解体できた。額から流れた汗を拭い、泉に近づいて血を落とした。食べれそうに見えるが、一応〈鑑定視〉で視ておく。


【デリシャスボアの肉】


 レッドボアの変異種の肉。

 レッドボアの肉よりも柔らかく美味しい。


 いやったー!食える肉だぁー♪


 解体が終わったのは夕方でちょうどいいと肉を焼いて食べてみることにした。

 箸やフォークなどが無いので木の枝に刺しておき、焚き木に魔法で火を着ける。その周りに肉付き棒を刺して焼く準備は完了した。


 ジュ~ジュ~♪


 肉の焼けるいいにおいが鼻をくすぐり、これを待っていた!っとお腹が叫びだす。

 肉から滴り落ちる黄金色の油がどれ程の旨味があるのか想像して止まない。

 口からは涎が止めどなく湧き、ゴクリッと喉を鳴らしながら肉が焼けるのをじっ.....と待ち続ける。


.........そろそろかな?


 ユキは焼いてる1つの肉を取ると“いただきます”と呟いてよく冷ましてから久し振りの果物以外の食べ物をかじりついた。


 ふーっふーっ、パク!っっ!!!!


 う、う、う、うまい!かじりついた瞬間に口に広がるこの肉の旨味。噛もうとして顎に力を入れてみると豆腐のように柔らかく、歯が要らないほどだ。

 歯が通る度に肉汁が口を満たし、まるで肉が溶けるように口から無くなる。もはや考えられずに無心で肉にがっついた。

 手元の肉が無くなると次の肉へとどんどん食べていき、気づけば焚き火の周りには多めに刺しといた肉が消えていた。その事実に驚きながらも顔は笑顔になり、満腹になっていた。


「ごちそうさまでした。うわ~、久々のお肉凄く美味しかったなぁ。しかし、こんな美味しいお肉は食べたことないなぁ」


 ボクが食べたことがあるの最高の料理はお祖母ちゃんの料理だったからね。

 これに塩や胡椒があればさらに美味しくなるんだろうな~。じゅるりっ、満腹なのになぜか涎が。

 まぁお肉はまだまだ沢山あるし、これならしばらくは無くならないから食うに困らないね♪


 その後、食休みした後は火を消して拠点に入って出入り口を塞ぎ、中を『ライト』で明るくする。

 床に座ってから〈アイテムボックス〉から縦横30cm、厚さ2cmの木の板を取り出して腰から短剣を手に取り削り出した。時々自分の顔を触ったりその板を顔に着けたりをしてまた削り出す。

 木の板は次第にユキの顔にピッタリなサイズに削られていった。どうやら仮面を作っているようだ。

 短剣をうまく使いカクカクした所を丸くして全体的に良くなったら目と口の部分に穴を開け、横に紐を着けたら完成だ。完成した仮面は目と口の部分に三日月のような穴が開いてほとんどの白に近い色合いの仮面だった。

 ユキは満足げに頷いて試しに着けた。黒色ローブにフードを被って怪しい仮面がフードの中を見え隠れして、朝よりも怪しさがパワーアップした。


 ふっ、これでボクの見た目は怪しすぎる人になったけど目立つ容姿は隠せた筈だよ!もしフードを取られたとしても仮面あるしね。

 まぁ、街とかに行った時に悪い意味で目立ちそうだけどその内気にしなくなってくれるでしょ、たぶん。

 それにこういう仮面、着けてみたかったし。素顔を晒すのは怖い気持ちがあるからね。女性ならまだ見せられるよ。

 .....まぁこの森の広さがわからないから水のあるここからあまり離れたく無いけどさ。いつかは出るつもりだよ?うん。


 ユキはこの先の答えを曖昧にしながらローブ、胸当て、仮面を外して端に置き、固い土の上にゴロンッと寝転がった。仮面を作るのに時間がかかったのでもう夜も遅く、横になった途端に睡魔が襲いそのまま意識を眠りにつかせた。




次話、やっと別の人を出せます。

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