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ゴブリン王の配下は殲滅で


「よっこらせっと!」


 そんなかけ声を発しながら大剣を密集したゴブリン達の後ろに一閃。ユキの声に気付いて振り向く前に到達し、体を腰から上下に切り裂かれて臓物と血を撒き散らしながら地面に沈む。

 そのままの勢いで体を回転させ次のゴブリン達に叩き込んでいく。ほとんど隙間なく並んでいたゴブリン達は大剣の一振りで約10匹の命が地面に沈んでいき、ゴブリン達が迎撃体制を整えるまでに30匹以上の数を減らしていた。


「「ギィギャア!ギギ!!」」


 奇襲を仕掛けてきたユキに前面にいたゴブリンは威嚇する。下級が1割、中級が6割、上級が3割と構成された群れの奥には一際大きいゴブリンの気配がするのでそいつが統率者なのだろう。倒せばゴブリン達は散り散りに逃げるだろうが、迷惑になりそうなのでユキは全滅させようと考えていた。


「ふっふっふ~。ここでボクに会ったのが運の尽きだったね」


 ユキは口を歪ませて笑うと次の手に出た。大剣を構えて威嚇しながら上空に『ファイヤーボール』を6個ほど作り出すと3発放ち、残りは次の狙いを定める。新しく3個作り出すと、それと同時に狙いを定めたのを相手に放った。

 これを100発ほど繰り返すとほとんどがゴブリンの頭や体に当たって命を奪い取り、または重い火傷を負わせて行動不能にする。密集しているので避けたとしても後ろにいるゴブリンに当たってしまうのだ。なので運が良ければ一個につき二ゴブ倒せた。もちろん殺られっぱなしと言う訳じゃ無いがユキに突撃したゴブリンは大剣のもと葬られていく。

 順調に数を減らして500いたゴブリンは300以下になった。


 魔法を止めたユキにチャンスだと群がってくるゴブリンだったが自身の身長以上の剣を操って確実に同胞を殺していく姿に恐怖を覚えた。近づく者は次第に減っていき、終には一人もいなくなる。


「来ないの?だったらボクから行かなきゃね!」


 そんな言葉とともにその場からユキの姿が消える。唖然しているゴブリン達の耳に届いたのは仲間の断末魔。振り向けばちょうど仲間の上半身が地面に落ちる場面とそこに立っているユキの姿だった。


「ギギャアーー!!」


 仲間を殺られ、恐怖よりも憎悪に染まった瞳をユキに向けるゴブリン達にユキは仮面越しに冷めた眼で見返した。


「なんだい?お前達がこの先にいる人達にしようとしていたことをボクがお前達にしているだけだよ」


 そう話ながらも剣は動かし続ける。真っ白の刀身は紫の血で染まり、血に血を塗り込むように振るう。ユキの馬鹿力を止められる者はいないかと思われたが。


「はぁ、そろそろ疲れてきそう...うわっと!」


 順調に数を減らしていたユキに頭上から急に襲ってきた殺気。即座に反応して切り上げた大剣を防御に回す。

 その直後、ガァン!!っと金属同士がぶつかり合う音が周囲に広がった。


「これはまた、隊長さんかな?」


 ぶつかった相手の剣を横に流し、後ろに下がったユキ。目の前にいたのはガリガリのゴブリンでは無く、程よく筋肉がついた180cmぐらいのゴブリンだった。〈鑑定視〉で視る。


 名前 イアラマタム

 種族 ゴブリンジェネラル

 性別 オス

 危険度 C

 Lv 21


 HP 707/710

 MP 142/142


 STR 354

 DEF 190

 AGI 247

 DEX 182

 INT 240

 MDF 159



 〈 スキル 〉


 剣術 Lv 4

 棒術 Lv 2

 身体能力上昇 Lv 4

 統率 Lv 2

 回避 Lv 3


 〈 称号 〉


 ゴブリン王の配下


 〈 装備 〉


 武器‐風魔の剣



 ユキはその結果に驚くも負ける気がしなかった。ステータスはすべて勝っていたし、スキルも同レベル。急いで殲滅、その後討伐隊を抜かしてゴブリン王を討つ。それだけを考えながらユキは大剣を構え直した。


 先に動いたのはユキだった。全力の踏み込みにより加速したユキは一歩で10mを詰めて間合いに入ると、大剣を首に向けて左から右に振る。

 ゴブリンジェネラルはその早さに反応が遅れるが剣を斜めに構えて力を上に逃がしながら自信は屈んで避ける。が、避け終えた時に視界に写ったのは真っ白い手であった。

 ちょうどいい位置に頭が来たのでユキがアッパーを放ったのだ。

 

「ギグゥウウウ!!」


 ゴブリンジェネラルは苦悶の声を上げながら上体を浮かしたかと思えば、今度は体をくの字に曲げながら後方数m飛んだ後に倒れる。

 直ぐ起き上がろうと体を起こしたゴブリンジェネラルが最後に見たのは炎の塊が回避不可能な速さで飛んでくる所だった。


「ゴブリンジェネラルの丸焼きの~完成です!...まぁ食べないけどね。予想よりも早く倒しちゃったな~。こら!そこ!逃げるな!!」


 ユキが『ファイヤーボール』よりも上の2級『大火球』によって1mサイズの火の塊がゴブリンジェネラルに直撃し、倒したのだった。

 これにより案の定、我先にと逃げ出すゴブリン達。敵討ちだと来るのがいないのに、ユキはゴブリンジェネラルが少し哀れだと思った。だが可哀想とは思わない。


「薄情だね~。まぁ皆殺しは確定事項なので諦めてください」


 そう喋りつつも死んだ者達から血を取り、スキルを回収しながら次の獲物へと駆けていった。



―――――――――――――――――――



「ゴクン、と~これで最後かな?」


 最後の1匹の血を飲み込みながらユキは立ち上がる。ぐるっと見渡せば視界に入るのはゴブリンの遺骸で内臓を撒き散らした者、首だけの者、焼死体等が山のように転がっていた。ユキは苦笑いしながら考える。


 や、やり過ぎちゃったかな?

 討伐隊が帰って来る時に絶対見付かるよね。見つからない方がおかしいか。

 う~ん、でも討伐隊の手柄になるだろうし、別に放置でいいか。使える武器を回収したら進む、これだね!


 特になにもしないで放置と決まったユキはゴブリンジェネラルと上級から武器を貰うと、通行止めが解除された道を走り出だす。

 その速さは平均時速80kmで走行、もはや人外の域に達していた。今はもう人ではないが。


 そんな速度で走ればそう時間も経たない内に討伐隊に追い付く事が出来た。木々の生えてない空間で休憩を取っているようでゴブリン王には着いていなかったことに安堵する。

 今は軽食を食べているようなのでシエルとカリナが無事か確認してから、奥に続いている道をバレないように遠回りして走り抜けた。その時にユキは二人をチラッと見るとサンドイッチみたいなのを食べていて少し羨ましく思った。


 討伐隊が見えなくなる位置まで進むと道に出てからまた進む。ここまでほとんど走ってきたのに、体力が無限にあるかのように錯覚するほど疲れが来なかった。日本じゃ森の手前に来ることすら出来なかったかもしれない。そう言う点ではこの体に感謝しているユキだった。

 小腹も空いたので、この前買って【アイテム袋】に入れておいた干し肉を食べながら前に進んでいると〈気配探知〉に反応が出た。ゴブリンだ。


「おお、やっと見つけたかな?今の時間は太陽が上にあるからお昼頃って所か。早く帰ってゴロゴロしたいところだね...」


 やや愚痴を溢しながら先程使った大剣を握る。大群相手なら大剣のリーチは便利だったのでそのまま使うことにしたのだ。

 ユキは取り合えず木に登って敵の確認をした。その結果、今回は上手くいくか解らない戦いになりそうだった。

 何故ならゴブリンの数が1000体、しかもそのほとんどが上級ゴブリンやゴブリンメイジやゴブリンナイトなど質が大幅に違う。

 先の戦いでそれなりにレベルも上がったし、スキルも上がったり新しく手に入ったりして力は上がった。だが出来ればゴブリン王だけを倒したいとユキは思い、どの辺にいるのか辺りを見渡す。


「チッ、中心部とか暗殺は無理そうだよ。臆病な王様だね...チッ!」


 内心舌打ち、いや実際に舌打ちしながら中心にいるゴブリンを睨み付けた。

 見た目はまさに地球にいるゴリラに似ている。違いは頭部だけゴブリンの頭をくっ付けたような容姿で、見る者を気持ち悪くしそうな外見だ。ユキの場合は見慣れすぎた顔なので「あぁ、死なないかな」っと殺気しか沸かないようだが。


 しかしこのゴブリン王は驚いたことに武器を何も持っていないのだ。この体が武器だと言いたげに胸筋をピクピクと動かしている。はっきし言ってキモかったがステータスを見ればそれも頷けるスキル構成をしている。


「はぁ、面倒だな...」


 ユキは溜め息と共に相手のステータスを思い浮かべた。


 名前 ガンドウ

 種族 ゴブリンキング

 性別 オス

 危険度 B

 Lv 30


 HP ???/???

 MP ???/???


 STR ???

 DEF ???

 AGI ???

 DEX ???

 INT ???

 MDF ???


 〈特異スキル〉


 同種従属化


 〈 スキル 〉


 体術 Lv 5

 皮膚硬化 Lv 4

 腕力上昇 Lv 4

 身体能力上昇 Lv 5

 統率 Lv 4

 回避 Lv 4

 従属強化 Lv 3


 〈 称号 〉


 ゴブリン王



 さてさて、どう倒したらいいのやらと頭を悩ませるユキであった。



お読みいただき、ありがとうございます!



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