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アルティアの街 お買い物♪~

 アルティアの街



 北に位置し、魔大陸から来る魔物や魔族の守りのために造られた防衛都市だがリクセング大陸と魔大陸との接地は厳しい山脈で魔族は過去100年以上越えられてはいない為、魔物を南下させないための街になり、迷宮が2番目に多いため冒険者に成り立てのルーキーから熟練の冒険者まで数多く存在する街に変わっていった。

 人口の3割は冒険者、7割は住民や商人等が暮らしている。


 そんな街の大通りをローブ姿の怪しい人が店の中を見ながら歩いていた。


「いろいろな店があるね~♪今買いたいのは替えの服かな?洗ってるとはいえ、毎日同じ服は嫌だからね」


 もちろんユキだった。

 冒険者ギルドから出たユキは店が多く立ち並ぶ大通りを歩いている。その姿で多くの視線を集めていて居心地は良くは無かったが、ユキはもうそんな視線に慣れ始めていた。


 ふっふっふ、自分の適応力の高さが恐いくらいだね♪

 まぁそれはいいとして、まずは服屋はどこかな~?あの場所かな。


 歩き始めて25分後、目的の場所に到着した。名前はエリアルスの服屋とあり、中に入ってみると見たこともないような服が何種類もあった。ほとんど女物で間違えた感と自分の見た目との場違い感がすごい。中には人が居らず、奥の扉の先から人の気配を感じ取った。ユキは「すみませ~ん」と声を掛ける。

 すると奥の方から「ちょっと待ってね~」と声が聞こえたかと思うとバタバタと騒がしい音が扉の奥から聞こえてくる。少し声がおかしいかな?と思いながら商品を見ながら待つと、そこまで時間がかからない内にバン!と勢い良く扉が開いた。


「ごめんなさぁい!ちょおっと外せない用事があって~♪......あら?珍しいお客さんね?」


 そこに現れたのはピンク一色のフリッフリの服を着た筋肉ムキムキのおじさ


 ドゴォ!


 御姉さんがいました♪


 心読まれたぁ!ヤバイんですけど、あのパンチ壁に亀裂を入れる処か壁に穴空いたんですけど!!

 怖いよ!笑顔なんだけど目が笑ってないよ!下手したらボク死んじゃうよ!!

 は!なるほど、だから人が見当たらないのかもしれない。けどここで逃げたらボクがあの壁のようになってる想像しか出てこない...


「それで?小さな可愛い死神ちゃんは何をお求めになるのかしら?何でも言ってね♪お・嬢・さ・ん♪」


 ......バレとる!けっこう自信あったのに、この人ホントに怖いわ~!!

 念のためステータスの確認を...


 名前 エリアルス

 種族 人間

 性別 心は乙女よ♪

 年齢 ヒ・ミ・ツ☆

 職業 装飾師

 Lv 26


 HP ???/???

 MP ???/???


 STR ???

 DEF ???

 AGI ???

 DEX ???

 INT  ???

 MDF ???


 〈特異スキル〉


 ???


 〈スキル〉


 ???

 

 〈 称号 〉


 ???


 〈 装備 〉


 装備‐体‐桃色のドレス

    


 ......おかしい。特に性別の“心は乙女”の欄がとにかくおかしすぎる。それって体は男ってことだよね?年齢なんて美人さんに言って貰いたい言葉だよ!

 ステータスなんて全部視えないからボクの〈鑑定視〉よりも〈隠蔽〉のスキルレベルが高いってことだからガッツ強そうだ~。

 この人ホントに怖いわ~!!目的の物買ったら早く出てお昼ご飯にしたい。


「し、下着3着と普段着に使える服を5セット、後はこのローブと同じ位の大きさを2着下さい」


「はいは~い♪色とかはこちらが決めて良いのかしら~?それとも希望はある?」


「黒か白でお願いします」


「わかったわ~♪これとこれ、後はこれなんかどうかしら?試着はあちらよ」


 ものすごい速さで選んだ服を渡されて、指差された場所に行く。扉が二つ並んでいて入ってみると服を置ける木製の箱二つあるだけの簡素な場所だった。


 早速着てみるべく渡された服を広げてみるとやはり女物だった。仕方ない、今のボクは女なのだから着るものが変わるのはすでに覚悟が決まっている。切り替えの速さがボクの良いところさ。服も仮面以外は脱いだしね。

 でも覚悟だけでは着たことのない物は着れない。......ブラとかね?これどうやって着けるんだろう?日本にあるのと同じように見えるけど...解らない。下は履くだけなのに~!てかサイズが解るとか怖い。普通分からないよね?ローブに隠してたし。


「どぉ~?私の見立てでは合ったサイズの筈なんだけどぉ~?」


 しまった悩みすぎた。でも付け方わからないし、聞いた方が良いよね?


「あの、すいません。上の下着はどうやって付けるのでしょうか?」


「あら?初めてだったのかしら?それじゃあ」


 エリアルスさんは懇切丁寧に教えてくれたお陰でブラの付け方を覚えることが出来ました!

 でもやはりサイズがピッタリ...他のも着てみたけど全部ピッタリであの一瞬でスリーサイズとか全部分かるとかもう怖すぎるね。造りは丁寧でいいんだけどなぁ~。

 不満が有るとしたら普段着の下がスカートなとこかな。ミニスカートに近い丈の短さだしね。でもズボンは無いのか聞いたら無いと返ってきた。

 おかしいなぁ~、さっき見たと思ったのに。

 ん~、仕方無いとしてもスカートって防御力少ないと思わない?動くだけで見えちゃいそうだしさ。ローブで隠れるからいいか。

 ちなみに下着類は白で他は黒で統一しました。やっぱ黒って格好いいよね♪まぁボクが好きなだけだけど。


 全部確かめた後は元々着ていたのを着て試着室を出る。そこには腰をくねくねしながら待っていた御姉さんがいました。


「どうだったかしら?」


「はい、全部良かったです。全部下さい」


「まぁ!ありがとね♪本当は24200リルなんだけど、お嬢さん可愛いから銀貨2枚でいいわよ♪」


「ありがとうございます!えっと.....どうぞ!」


 ローブの中で手に銀貨2枚出してからローブの外に出して渡した。財布みたいなのが合った方が良いんだけどこっちの方が安心だしね。

 服が高い気がしたけど相場知らないなぁ~。まぁ買い物は始めたばかりだし楽しんでいこう♪


「はい、確認したわ。またいらっしゃい♪」


「よっと、ありがとうございました!」


 そう言うとユキは店の外に出る。変な店主だったがまた来ようと心に思う。

 お昼を食べる前に一旦路地裏に入って腕一杯の服を〈アイテムボックス〉入れてから大通りに戻った。

 きょろきょろと飯屋を探すと《肉厚亭》と言うなんとも肉厚なお肉が期待できる店を見付けて、ルンルン気分で入っていった。

 入った瞬間肉の焼ける匂いが胃を刺激して口に唾液が溜まり始める。中はカウンターとテーブルがあり、屈強な男達が昼間っから酒を飲んでいた。

 でもユキが視線をくぎ付けにしたのは豪快に食べていた肉だ。鉄板に置かれた肉はこの店の名に恥じない立方体の塊でユキの頭ほどの大きさだった。それを男達はナイフで切り分けずにかじりついて.....中々魅力的だった。

 もちろん他の男や女性客が食べているのは日本のステーキ店と同じようなステーキやハンバーグなどだが、やはりこの店の名物はあのデカサイコロステーキなのだろう。ユキは心に決めると空いていたカウンター席に座る。向かうときにいくつも視線があったが悪意は無く、無視できるものなので無いものと考えて肉に頭のほとんどを使う。

 その時、恰幅のいいおばさんがカウンターの向こう側から注文を取りに来た。


「いらっしゃい!注文は決まったかい?」


 人の良さそうな笑顔で話し掛けてきたので迷わずに頼む。メニューはラーメン屋みたいに壁の板に書いてあったからだ。


「黒耳牛の肉厚ステーキを一つ下さい!」


「黒耳牛のステーキだね。当店自慢の料理だから期待しときな!旦那!黒耳牛のステーキを一つだよ!」


 奥の厨房から了解の返事が来ると女将さんは別の客の方に行った。どうやらこの店は夫婦で経営しているようだ。

 それにしてもこの世界は食文化がボクの世界程ではないがそれなりに発展しているみたい。ボクのイメージでは黒パンに味の薄い野菜スープとかそんな感じの想像してたんだけどね。良いことだ♪

 テキトーに時間を潰していると目の前にドン!と頼んだ料理が置かれる。


「待たせたね!これが当店自慢のステーキさ!熱々だらゆっくりと食べなよ!」


 元気な女将さんはそう言うと去っていった。でも今のボクには目の前のお肉に視線がロックオンされている。デカイ、その一言につきる。肉と同じ色のソースが上にたっぷりと掛かっていてとても美味しそうだ。

 ナイフとフォークが有ったがユキは男達みたいに豪快に食べてみたくていざ食べようと口を肉に近づけようとしたが当たる直前で止まる。


 今仮面着けてるからかぶり付けないんだけどぉ~!


 そう思い当たった。冒険者登録の前に買って食べた焼き鳥は仮面に開けた口に通るくらいの大きさだったので普通に食べられたが、このサイズは流石に入らない。ユキは少し迷ったが仮面を外した。どうしてもかぶり付きたかったからだ。

 森でも肉を食べたと思うが所詮は木の棒、目の前にある肉のおよそ1/7くらいで全然違う。言わば薄いハムではなくボンレスハムをって感じに違う、と思う。まぁ気分の問題だ。顔がバレるかもと心配になるけど、フードと言うバリケードがあるから大丈夫、そう考えてユキは肉の塊に噛み付いた。


 美味しい~!アメリカのお肉みたいに脂身が少ないから歯応えがあるけどボク的にはあったほうが肉らしさがあって美味しいと思う。

 ソースはスパイシー系で胡椒かなんかは分からないけど肉と絡み合って.....最高です。どうやってるのかは分からないけど中までしっかり火が通っててね~♪一発で心を撃ち抜かれました。何回も来たいね♪


 ユキは何度もかぶり付きながら「ん~♪」と喜びの声を口から漏らす。小さな口では含める量が少ないが食べる速度が尋常じゃない。その咀嚼音のはいったいいつ口に入れているのかわからないくらいに連続で聞こえてくる。

 近くにいた冒険者はその早い食い方に呆然とユキを見たりしているがフードに隠れて見えず咀嚼音が聞こえてくるだけだった。


「あんたいぃ食いっぷりだねぇ!そんな小さな体に良く入るもんだ!」


 丸々一つ平らげると女将さんが笑顔で話してきた。どうやら仕事が一時落ち着き、ユキの食いっぷりを見てに感心してたようだ。

 確かに普通は入らない量なのだが、今のユキの体はどんなに食べてもお腹一杯にはならなかった。口で味わって食べることはしてる、けど胃に入るとまるで無くなったかのように満腹にならない。不思議に思ったユキだったが好きなだけ食べられる!と考えただけだった。


 実際は吸血鬼の食事は血でエネルギーを摂り、人が食べるようなのでは本来摂れない。しかしユキは人間に近い吸血鬼なので人と同じ物でもエネルギーは摂れるのだが、量を食べても微々たるものだ。普通より3~4倍位は食わなきゃいけない。吸血鬼だから血を飲めばと思うが人間寄りのため味は良くなるが水を飲んでるのとあまり変わらなかった。なのでユキは転移前よりも大食いになっているのだ。


 その事を知らないユキは上機嫌で女将さんに話す。


「美味しかったです!また来ますね」


「...!そうかい!飯以外でも気楽に来なよ!夫はともかく私は大歓迎さね!」


 仮面を外したまま顔を挙げたため、女将さんに顔が見えてしまった。

 しかし驚きはしたものの、娘と同じくらいの歳のユキに優しい眼差しを向ける。娘と同い年なのにその見た目でどれだけ苦労しただろうかと、その格好でそう思った女将は何かしてあげたいとそう言ったのだった。実際に苦労したのは別の意味たが、これからなる可能性が高いのでこんな格好なのだ。

 そう思われてたのにも、そもそも見られたことにも気付かないユキは仮面を着けてお金(銅貨5枚)を払い、店を出る。まだまだ買っておきたいのはたくさんあるユキは店を回っていった。


 う~ん......先ずは調理器具かな?サバイバルで使いたかったし、冒険者ってよく野宿とかありそうだよね。後は食器も一応っと。冒険者セットなんてあるね~♪後は靴欲しい!ずっと上履きなんだもの!以外といろいろあるけど黒のブーツに決めたよ。だってカッコいいから。


 ユキはいろいろな店で買いたい物や必要と思ったものを買っていく。もちろんバレないようにすべて〈アイテムボックス〉の中に放り込んでいき満足して買い終わる頃には日が沈みかけていた。

 そこで重要な事を思い出す......今日泊まる宿を見付けて無いと。急いで探すが大通りはほとんどが埋まっていて、空いていてもこの見た目でお断りがほとんどだった。

 このままではマズイとそう思い始めていた時1軒の宿屋が目に入る。見た目はボロくてとても営業してるとは思えないが、もう大通りには無い。ここは泊まれるかな?と祈る気持ちで中に入って行った。





お読みいただき、ありがとうございます。


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