プロローグ
「う~~」
朝、スマホにセットしたアラームが鳴り響いて夢の世界から強制的に起こされた。もぞもぞと布団の中から這い出る。
寝ぼけながら洗面所に向かい、まだ寝ている頭を起こすために冷たい水で顔を数回洗う。
タオルで顔を拭いながら洗面台の鏡を見れば、僕、小鳥遊 幸の顔が写っていた。
もう少し......そう、あと10センチは欲しい。なのに高校に入ってからミリ単位でしか伸びてない低い身長は成長期を忘れているに違いない。
「あ、髪が肩までかかってる。そろそろ切んなきゃ」
伸びた黒髪いじりつつ溜め息をついた。僕の顔は童顔なうえに中性的だから、髪が伸びると女の子に見える。
街や学校では男よりも女として認識されてる人の方が高いのは嫌になるね。こんな立派な男だというのに。一人暮らしをしてるから大人の男に間違われてもいいはずだ!
おっと、鏡とにらめっこしてる場合じゃなかった。今日は休日開けの月曜日で学校に行かなくちゃいけない。
僕は昨日の夕飯の残りを温めて食べ、制服に着替えて戸締まりの確認をする。
ピンポーン!
戸締まりを確認できた後、玄関の呼び鈴が鳴ったので急いで鞄を持って玄関を出ると世間一般ではイケメン呼ばれてる男が笑顔で待っていた。
「俺と付き合って下さい!」
幼馴染みの一人、大雅がいきなり告白してきやがったので、殴る。「がはっ!」と言いながら膝を地面につけて悶絶しているけど...自業自得だね。こんな立派な男に告白する方が悪い。
「おはよう大雅。ほら、早くいこうよ」
そう言いながらもう1人の幼馴染みを探がしたけど、大雅に気を取られていたのがよくなかった。
「ふー」
「ひゃう!」
な な な な 何!?
耳に生暖かい息を吹き掛けかけられて、思わず変な声を出してしまった。耳はやめてください。
「もーゆっくんたら相変わらずかわいいね~♪」
後ろを振り向くともう1人の幼馴染みの由香がボクのすぐ後ろでくすくすと面白そうに笑っていた。
「な、何すんの由香!変な声が出ちゃったじゃん!」
「いや~ごめんごめん。ゆっくん反応がいいからついやっちゃってね?「ひゃん!」ってかわいかったよ」
「「ひゃん!」なんて言ってない!「ひゃう!」だよ!どっちもどっちだけど!」
「それならいいじゃないか~。どっちもかわいいってね?」
はぁ~、まったくもうこの幼馴染み達は...よく飽きないで毎回やるよ。怒っても微笑ましそうな顔で見てくるだけで止めないし。
この二人はもう諦めるしないんだ。
朝から独特のコミュニケーションをとってくる二人は小学校以来の親友だ。幼馴染みの一人、拳が鳩尾に入って悶絶しているのが佐渡 大雅。
耳に息を吐いていたずらしてきたのが春木 由香だ。
佐渡 大雅は茶髪に意思の強そうな目で背も高く180くらいで結構上位のイケメンだ。その上性格も良く、女の子に優しく丁寧な対応をするのでもてる。
(けっ!)
下駄箱には毎日ラブレターが入っているほどモテモテなんだ。
ちなみに僕の下駄箱にもラブレターは来るよ?週に3枚は入ってる。他校のもあってさ。それはもう喜んで......相手が全員男からだと知って血の涙が出たよ。
話が逸れたね。
もう1人の幼馴染みは春木 由香。は長い黒髪をハーフアップにしており、目の色もボクと同じ黒だ。10人中9人が振り向くほどの美少女で身長は162くらい。
スタイル抜群のDカップほどで高校生では大きい方だとボクに自慢してきた。明るく接しやすい性格なので女子からのいじめはない。
大雅と同じくモテるが男子には高嶺の花と見えるらしく、そんなにラブレターは来ないらしい。
私も付き合っている人はいないよ~、と頬を赤らめながらチラチラと僕の顔を見てくるけど、その視線の意味に僕は気が付かず普通にそうなんだ、と返事を返した。
そのあと機嫌が悪くなって大変だった。なんせ意味が分からずに首を傾げるだけで答えることができなかった。
大雅にまで可哀想なものを見るような目で見つめてきたのでイラッとしたことはだけは覚えてる。結局わからないままだけど。
まぁ大雅と由香は家が近いということもあってよく遊ぶのでボクは二人のことを親友だと思ってる。二人も同じ気持ちだといいな~。
でも親友なら言われたくないことはわかってるはずだよね?
「かわいいは男に言う台詞じゃないと思うけど」
「え~。ゆっくんはどこからどうみてもかわいいと思うけど?クラスの女子もかわいいとか、撫でててみたいとか、この間見つけたカワイイスカートを着て欲しいとか、お持ち帰りして首輪つけたらと思うと...ふふふっとかいっぱい言ってるよ」
「そんなまさか、いつも誰からも話しかけられてないんだよ?そもそもボクに対して言われてることでおかしいのまざってるよね!?」
最後の人はヤバイ!身の危険を感じる!
「まぁまぁ、そんなことよりそろそろ行かないと時間がないんじゃないかな、ほら大雅も起きて」
そんなことで済まないような内容だったけど...確かにもうそろそろ出ないと時間マズイ。
「くぅぅ~、いつも思うがかなり痛いなぁ。幸のどこにこんな力があるんだといつも思うぜ」
痛がっていたわりには笑いながら起き上がった。くそぉ~、かなり力込めて鞄で殴ったのにダメージが入ったようには思えないよ。
「そうには見えないんだけど......」
「いやマジで。ボクシングやってる友人と喧嘩したときの一発よりも効いたよ。だから幸は力強いくて男らしいと思うぜ」
「ゆっくんて見かけによらず力強いよね」
「え、そうかな」
や、ヤバイ...顔が赤くなってるかもしれない。男としてはかなり嬉しいな~♪男らしいなんて最高の褒め言葉だよ!
幸は少し赤くした頬を両手で隠しながら笑みを浮かべる。そんな幸に2人は数秒間固まってしまう。思わず見惚れるほどの破壊力がある良い笑顔だった。
「そ、それよりも早くいかないか?学校に遅刻しちまうぞ!」
「そ、そうだよゆっくん早く行こう?」
親友の2人から言われ幸は顔をまだ少し赤くしながら頷いた。
今何時になったんだろうか、と腕時計を見ると7:52で針は止まっていた。確かにこのままでは遅刻してしまう。
「よし!少し走っていこうぜ。時間無いし」
「う、ここから学校まで走りなの?歩きでもギリギリ間に合わない?」
「余裕を持って行動した方が良いよ?ゆっくん」
「そういうこった。行くぞ!」
「うぅ、わかったよ!」
大雅の提案に難色を示したが、二人の言葉で最後は肯定を返し、3人は走ってアパートから学校へ向かった。
― 学校 2 - B教室 ―
「ふ~、何とか間に合ったな」
「そうね~、でもHRの5分前に着けたよ」
「はぁ、はぁ、な...んで....ふたりは.....へ..いき....なの?」
この2人全然疲れて無い!あんなに走って息切れしてないし。ボクはもう瀕死だよ...酸素ちょうだい。
机に突っ伏しながら激しく酸素を取り込む幸を見て2人は苦笑いしている。
「いやいや、幸が体力無いだけだと思うぜ?」
「ゆっくんは昔からだよね。私よりも体力無いよ」
「ゴホッゴホッ、で..でも今日ので少しは体力つく...はずだよ」
うん..つくはずだ。これだけ苦しいんだもん、つかなきゃきっとボクの体がおかしいんだよ。1kmも走ったんだから。
机に突っ伏して体を休みながら教室を見渡す。ボク達のクラスは先生合わせ40人で男女比率は6 : 7と女子の方が人数的に多い。(ちなみに担任は女性)
このクラスは容姿が優れている人多く、他のクラスからは羨ましがられている。だからと言って性格もいい人ばかりとはいかない。その中で目立ってるのは後ろの方で喋りあってる宮田達だ。
名前はリーダーが宮田 壮二、取り巻きが林野 陸、霧雨 武志が性格最悪とわかるやつらだ。悪口、パシリは当たり前で暴力や犯罪まがいのことまでしてると噂があるかかわりたくない奴等だ。
宮田なんか由香にしつこく言い寄り告白して玉砕され、今じゃ逆恨みでボクと大雅を恨んできて検討違いもいいところだ。
ボクなんか見た目弱っちく見えるから1人でいるときなんかは結構絡んできた。面倒ごとは嫌だから今はおとなしくしてるけど、いつかやり返したい。奴の見下した顔にデンプシーロールをお見舞いしてやりたい。
まぁ他にも自己中なやつとかいろいろ少しいるが省略。
「HR始めますから席についてください」
休んで考えてる内に委員長が前に立ってそう言った。
あれ?先生は?
「あれ、また菊島さんがやるの?先生は?」
「またいつもの寝坊で遅れて来るそうです。あの人も先生としてしっかりしてほしいですね」
ボクが聞きたかったことを由香が先に聞いてくれた。
なるほど、あの先生はよくやるよね。それでよく先生をクビにならないのか不思議。
HRが始まりクラスの皆は席に着いてる。このまま滞りなく終わると思っていたとき、それは起こった。
「お、おい!何か床が光ってないか!?」
ははは、そんなまっさか~。あるわけないよそんなこと。たしかに段々が床が光だして足がくっついたように動かないけどリアルじゃ有り得ないだろう?ゲームのやり過ぎじゃない?
...
........
................. おいぃぃぃ!本当に光ってるんだけど!!
いつから光る床板にしたの学校!よく見ると丸い円によくわからない文字が書かれた魔法陣みたいなのが床で輝いてるんだけどー!!芸が細かいよ学校!
お、落ち着くんだボク!こう言うときこそ落ち着かなくてどうする!まずは状況を確認するんだ!!
もはや真っ白い光で見えない床
動かない足
叫びまくる者や怒声と困惑を混ぜた声で問いかけてる者、考えに耽ってる者.....といろいろ
ボクや大雅に必死に呼び掛ける由香
必死に考えかえこむ大雅(目が忙しなく動いてる)
周りを見渡しながら混乱するボク
.....う~ん、カオスな状況だね。逆に冷静になっちゃったよ。
まず整理しよう。この床は学校が用意したイタズラである。のはあり得ない。LEDよりも眩しい光だし、床に貼り付いたように動かない足の説明がつかない。やる意味も無いし。
う~ん...思い出した。魔法陣っぽいのが最初見えたけど、もしかしたら小説とかで在るような勇者召喚?ってやつかもしれないね。
このまま行くとしたら異世界?だと予測出来るけど本当に在るのかねぇ~。回避するには...不可能だね。
足が動かないもん。どうしろと。
...........いやだぁーーー!!国によってはほぼ死亡フラグの召喚なんてギャンブルよりもたちが悪いよ!やりたいことがまだいろいろあるのにーーー!!!
まだ彼女いないし、彼女いない歴=年齢なのにぃーーー!!!
う、動けボクの足よ!お前なら出来る!!!!家で抹茶プリンが待ってるんだ!
うぉおおおおお!!
....うん!無理でした♪これぞ無駄な努力。
ひぃぃぃい!光がぁ!全身にぃーー!!!
...この光...以外と暖かい。
そこでボクの意識は途切れた。
初めて書いた小説です。
続きの掲載は遅くなると思いますが頑張りたいと思ってます。