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序章 会合中な神々

 【龍玉】。

 それは人族やエルフ族、獣人族など様々な種族が暮らす、12神の龍神が作ったとされる世界。そこに住むすべての生き物は魔力を持っていおり、その中でもとりわけ魔力が強い者は、魔法を使う事ができた。

 その魔力の源である【魔素】を生み出す事ができる【龍神】はこの日、一ヵ所に集まり会合を開いていた。


「キサラギの奴また欠席かよ」

 空席になっている地の神の席を見て、金に近い色素の薄い茶髪をした少女――風の神はため息をついた。

「本当だよ。僕ですら出席しているのにさ」

「シワスの場合も、それは参加してるって言っていいのかよ」

「バカンナ。僕の事はシワスじゃなくてムツキって呼べって言ってるだろ? いつになったら覚えるんだよ。僕は光と闇なんて、2種類も任せられてるから、色々大変なんだよ」

 風の神――カンナを、ウサギの縫いぐるみがボタンでできた目で睨んだ。

 白色のウサギの縫いぐるみは、光と闇の神であるムツキが良く使う遠隔魔法で遠く離れた場所から動かしているに過ぎない傀儡。それでもその場の声も映像も光と闇の神であるムツキは知る事ができ、人形の言葉は間違いなくムツキの言葉だった。

「誰が馬鹿だ」

「はいはい、喧嘩しないで下さいな。でも確かに最近キサラギさんの姿を見かけていませんわね。ミナちゃんやフミヅキさんはどうですの?」

 喧嘩を始めそうなカンナとムツキを止めた、樹の神である深い茶色の髪の少女はおっとりと別の神に尋ねる。

「会ってないな」

「私も会ってないけれど……大丈夫かなぁ」

「そろそろ覚悟が必要かもしれませんわね。地の神であるキサラギさんは、私よりもずっと長くその役目を務めていますもの」


 この世界の神は、代替わりというものがあった。

 その期間に特に決まりはなく、ただ役目に耐えられなくなった神はやがて世界へと返り、また新しいモノがその役目を負う。

 ただしこの事を知っているのは神だけであり、また神になる事が出来るモノはかなり特殊な為、かつては十二柱居た神も六柱まで数を減らしていた。本来なら龍神がこの世界には必要であることを本当の意味で知っている王族に、次世代の神となりうるモノ達の保護をお願いするべきでもある状態だ。しかしかつて王族が神を政治的に利用しようとし、世界が滅びに向かいかけた過去があったが為に、神々はその方法を取る事ができなかった。

 とはいえ、過去を振り返れば、王族と龍神の取引で神を継いだモノが居ないわけではない。なので積極的に王族へ真実を話し、保護へ回っていないと言うのがある意味正しくもある。


「あそこ、後継者居るの? アイツ秘密主義だから全然分かんないんだけど。ちなみに、僕はもう2属性も請け負っているからこれ以上無理だからね。そもそも2属性だって本当はかなり無理があるんだから」

「キサラギさんが何も対策を立てていないとは思いませんが……水の神が世代交代する時は期間が少し開いてしまいましたからね」

「あの時、俺の黄の大地は結構酷かったぜ。ミナが見つかってギリギリ何とかなったけど、フミヅキの所の赤の大地も大変だったよな」

「ああ」

 風の神カンナが守護する黄の大地と火の神フミヅキが守護する赤の大地は、水の神が守護する青の大地と隣接しており、かつて水の神が不在が続いた時、色々な災害の余波をもろに受けた地域だった。その事を思い出し、カンナは苦い顔をする。

 

「白の大地と隣接しているのって、僕の所とフミヅキ兄ちゃんの所じゃん。災害とか、本気で耐えられないよ。そう言えば、ハヅキ姉ちゃんの所に一人、適応者を隠し持ってるんでしょ? ハヅキ姉ちゃんはまだ大丈夫なんだし、その子はどうなわけ?」

「別に隠してるわけではありませんけれど、彼女は地の属性は持ち合わせていませんから、少々荷が重いと思いますわ」

「えっと、適応者って龍神だれかの子供がいるの?」

 キョトンとした様子でミナは訊ねる。一番若く、神になったばかりともいえるミナは、まだ龍神としての自覚も薄く、世代交代などの知識もしっかりと確認できていない状況だった為、いまいち彼らの話についていけていなかった。

「ああ、ミナちゃんは特殊例でしたものね。ミナちゃんのように、親が龍神だったから龍神となるケースは本当に稀ですの。龍神は混ぜモノと呼ばれる、いくつもの種族の血を継いだ混血種がなるのが多いの。稀にカンナちゃんのように2種類の血の方も見えますけど」

「そうなんだよ。ただ、混ぜモノってこの世界では嫌われてるからさ。元々出生率も低いし、余計に数が少ないわけ」

 龍神となってから一番日の浅いミナはやはり実感が湧いた感じではなかったが、とりあえず説明にへぇと相槌を打つ。

「えっと。それで何で混ぜモノは嫌われているの?」

「混ぜモノは龍神以外で唯一魔素が作れる存在だから不安定なんだよ。その事に自覚もないから、感情が乱れて大きな災害を引き起こす事もあるんだよね。最近だとまだミナちゃんが生まれる前だけど、カンナの所で暴走があったんかな。それ以前だと、状況を知らないうちの所の馬鹿王が混ぜモノ狩りをして酷い状況にもなった事があったしで、結果忌み嫌われているわけ」

 混ぜモノという存在は危険だという認識が、この世界に住むヒトにはあった。その為忌み嫌われる。ただし、混ぜモノ狩りをした時に更なる被害が起こった事も言い伝わっている為に、積極的に混ぜモノに害をなそうというモノも居なかった。


「どちらにしろ、キサラギさんの状況次第で、急いで対策を立てる必要がありますわね。なのでフミヅキさん、キサラギさんの様子を見てきてもらえませんか?」

「了解した」

 これ以上この世界から地の神が居なくなるのは、さけなければならない事。

 またハヅキにとっては一番付き合いの長い相手でもあった為に、できるなら違っていて欲しいとそう願いながら、一番住む場所の近いフミヅキに確認を頼んだ。

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