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おまけ話5

誤字報告がありましたので、訂正しました。

 特別研究者の試験に合格したことをヒカゲ兄様に報告しに行くと、嬉しそうに笑いながら「おめでとう」と言ってくれた後、ヒカゲ兄様にこう言った。


「ヒカゲ兄様、嬉し涙はわかりますが……涙がにじんで手紙の内容が読めませんでしたが、何て書いてあったのですか?」


 と、ヒカリが淡々とそう言うと申し訳なさそうに頭を掻きながら、ヒカリにヒカゲはこう言った。


「今度は、ロベルひいじい様がお前を見合いさせようとしているんだよ……」


 ノハルの兄、ノルファは女の子二人、男の子を三人の子供が出来たものの……ノルファは不慮の事故で亡くなった。が、まだノルファの子供たちは修行中で、師匠からの許しを得られていないため、彼らの代わりにヒカゲが領地主をやっている。


 だから、ロベルも孫の顔が見たいのもわかるが……と考えながら、ヒカリは一度苦笑いをしながらこう言った。


「ヒカゲ兄様、僕は今は結婚をするつもりはないと言っておいて下さい。僕は自分が好きだと思える方と結婚をしたいのです。だから、僕はロベルひいじい様が選んだ相手と結婚をするつもりはない……とロベルひいじい様に伝えて下さい。僕はしばらくは、研究一本で行くつもりですから」


 と、満面の笑顔でそう言うとヒカゲの後ろの方から二人の父、ユキメが現れて苦笑いをしながらこう言っていた。


「アルファーセル学園の方はユカリとツムギが二人で継いでくれると言っているからね、ヒカリは好きに生きたらいいよ。それに最初から、見合い結婚をしないって言うくらいわかっていたと思うよ。だって、ヒカリはノハルお父様に僕以上にそっくりだもの。最初からわかっていたよ」


 と、ユキメはクスクスと笑いながらこう言った。そんなユキメの言葉にヒカリは、彼に勢いよく抱きついたのだった。


「ユキメお父様、ありがとう。やっぱり、ユキメお父様はわかってますね!」


 と、そう言ってしばらくユキメに抱きついていると、ルートが現れてヒカリを懐かしそうな光景を見るような、優しい目をしながらヒカリにこう言った。


「本当……ユキメ以上にヒカリは、ノハルに似ているよ。あいつ、良い年して嬉しいことがあるとすぐに抱きついていたからな〜……お前を見ると、ノハルのことを鮮明に思い出すよ」


 そう、つい最近にあったことのように語るルートの様子を見て、ユキメとヒカリは首をかしげているが、ヒカリはニヤニヤしながらこう言った。


「ルートさんは、本当にノハルお祖父様のことが大好きですからねっ!!」


「構うのはやめてくれ……ヒカリが言うと危ない発言のように聞こえるから。でも、ノハルのことは友人として好きに決まっているだろ、ホルンやキラも、カルトやカエデさんも……ノハルが友人として好きだからこそ、ホルン以外の奴らはここに住んでいるんだからな」


 と、ニヤニヤとしながらルートのことを構うヒカリに対して、恥ずかしいのかルートは頬を少しだけ赤くしながら否定した。


 だが、ルートが言っていることは事実である。ホルンは他の大陸の王なので今は住んでいないが、王の役職を子供に譲った後は王妃と共にアルファーセル大陸に来ると言っているらしいし、キラやカルト、カエデは永住すると言っているくらいだ。


 ノハルは、友人たちをまるで家族のように大切にしていたが、友人たちもまた、自分たちを大切にしてくれるノハルのことが大切だった。


 だから、彼らはノハルが亡くなった今も……このアルファーセル大陸に住み続けている訳である。


 この話はとりあえずおいといて、そのことを知っているヒカリはニヤニヤとしながら空を見上げてから、こう言った。


「良かったですね、ノハルお祖父様……」


 と、ヒカリが微笑みながら言うと、頬に暖かい風が伝ったのだった。


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