オスフィア学園編5
ノハルお父様は、非常にモカくんが気にいったようで、色々な魔法を僕が気絶している間に教えていたようで、モカくんは体力や魔力を枯渇寸前まで修行していたのか、生きた屍のようになっていた。モカくんだけかなっと思ったが、他の二人も生きた屍のようになって、保健室に入ってきた。
正直に言って、どんな修行をしたらこんな風になるのかは、僕には理解出来ないのだが、あえて聞かないでおこうと思ったのだが、モカくんがこう言ってきた。
「お、お前……こんな修行を毎日やっていたのか……」
どうやら、僕の修行メニューをノハルお父様はモカくん達にやらせていたようだ。でも何故、生きた屍のような状態になるのか理解出来なかった。
「そうだけど、何か?」
「何か、じゃねぇーよ! こんな修行メニューをしてたら、貧血に倒れるに決まってんじゃねぇーか!」
モカくんは、出来るだけ大きな声でそう叫んでいた。でも、僕にとってはあの修行メニューは準備運動のようなものなんだけどな……なんて言ったら、モカくん達に怒られるに決まっているし、黙っておこうかな?
「こんくらいの修行メニューで、泣き言を言ってたら、本来のユキメの修行メニューを出来ないよ? これはユキメにとって、準備運動程度の修行メニューなんだから!」
と、ニコニコとノハルお父様は優しい笑顔を見せたまま、モカくん達男子にそう言った。そんなノハルお父様の言葉に、モカくん達の顔色が真っ青になって行った。
まあ、ノハルお父様の修行メニューは絶対に僕にはこなせないけど、僕の修行メニューはお父様にとっては準備運動にもならないんじゃないかなとは思うけど……。
「なんで、ノハル様は僕らと一緒の修行メニューをこなしていたのに、そんなに元気なんですかぁ〜!」
「ん? あれくらいの運動じゃ、準備運動ですら物足りないと思うけど?」
と、キリカくんがノハルお父様にそう言うと、お父様は不思議そうにコテンと横に首を傾げた。そんなノハルお父様の反応に、僕とカエデさんは深いため息を同時についてしまった。僕はそんなお父様の反応には慣れっこなので、僕は何も言わないでおいたのだが、カエデさんはお父様の元担任だったと言うことがお父様を世話を焼きたくなるのかはわからないが、ノハルお父様にこう言った。
「ノハル、お前のレベルで物事を考えるんじゃない。それに、ユキメの修行メニューも普通じゃないから、ユキメのレベルでも物事を考えるんじゃないぞ!」
……え、僕も普通じゃないの……? 僕は、ノハルお父様よりは普通な人種に入ると思っていたのに、カエデさんってばひどいよ……と僕が考えているのがわかったのか、カエデさんはこう続けてこう言った。
「ユキメは、確かにノハルと比べてしまうと普通だなと感じてしまうかもしれないが、比べる相手が間違っているんだ。お前の同年代に百発百中に拳銃で敵を撃ち抜く奴がいるのか?とユキメと同年代と比べて考えてみろ!」
あ……確かにそうかも……比べる相手が悪かったかもしれない。相手は、人外の中でも一番に強いんじゃないかって思えるような種族だし、その種族の中でもトップなんじゃないかと思えるほどの強さのノハルお父様だ。
そう考えれば、ノハルお父様と比べていたのは間違っていたかもしれないな……。なんで、今まで気づかなかったんだろう?なんて考えていると、ノハルお父様がニコニコと優しい笑顔で、僕の心を読んだかのようにこう言った。
「そうだね、カエデさん。ユキメの周りの学生さんと比べれば、ユキメの力は普通じゃないね。学生さんで、ユキメのように拳銃で敵を百発百中に撃ち抜くことなんて出来る人なんていないね。でも、そのことに何故、ユキメは気付けなかったのかは、多分……ユキメには同年代の友達がいなかったからだろうね? ユキメ、修行ばっかりしてないで、友達をたくさん作りなさい。僕はそのために、君をこの学校に入れたのだから……」
と、ニコニコと優しい笑顔で、僕にノハルお父様は笑いかけながら、そう言った。そんなノハルお父様の様子に、僕は数秒ほど呆けた後にモカくん達の表情を伺っていると……モカくん達は疲れた表情を無理矢理、笑顔にしていた。
「ユキメは、俺達の友達だからね! 貧血の症状を抑えられる方法があるなら、俺達だって協力するよ」
と、モカくんの気遣いに僕は涙が出そうになった。そんな僕は、思わずノハルお父様の方へと顔をそむけると、ノハルお父様は僕の表情を嬉しそうに見ていた。




