闇に堕ちた精霊
ルートに頼まれて修行をつけている時、アルファ山の方からゾワッと鳥肌が立つような気配がしたような気がした。僕は急いで、登山用の服に着替えて二人には屋敷に戻るように指示をした。それでも二人は、行くと言い張ったので僕はこう言った。
「もしかしたら精霊が闇に堕ちたかもしれない。そんな時に召喚士がいては事態を悪くするだけだよ。もしかしたら、君達は死んでしまうかもしれないんだ。ここで待っていることが僕の助けになると思って。もし、ここに一日、僕が帰ってこなければお父様に言ってくれ!」
嫌だ!と叫びまくるユーちゃんにニコリと笑いかけて、こう言った。
「ユキメ、召喚士は精霊が闇に堕ちた時……例え、契約を切っていても契約すらしていなくとも……闇に引きずられてしまうんだ。ユーちゃんは聖魔法を使えるからいいけど……ルートは使えないんだ。ルートが影響を受けなくさせるにはユーちゃんじゃないと駄目なんだよ! だから、ここにいて……。僕には切り札がまだまだ、あるんだから……。精霊ぐらいじゃ負けないよ。」
僕がそう真剣に言うとユーちゃんがしぶしぶ頷いてくれた。そんな彼の頭を優しく撫でてから、僕は自分の出しきれる限りの速さでアルファ山に走る。
アルファ山のてっぺんには黒い靄がかかっていて、僕はその黒い靄の範囲でどの精霊が闇に堕ちてのか判断がついてしまった。
「自分の力が強いと酔いしれすぎてユーちゃんに契約破棄をされた時、何かが切れたように闇に堕ちてのか……。まあ、どのみちあいつは闇に堕ちていた。英雄と呼ばれた流星の精霊の名がなくよ……」
僕がそう言った時と同時に僕はアルファ山の頂上についていた。そんな僕の足跡に気がついたのか、黒い靄は僕の方へと振り返った。
「私はあの流星の精霊なのよ!! 偉いのよ! それなのに……ユキメは私を捨てた! だから、復讐しに来たのよ!」
「あっそ、だから? 僕はね、君みたいな自分の立場に酔いしれている人が大嫌いなんだ。ユキメは君を捨てたんじゃない。ユキメは君を捨てたくなかったから、君を何度も説得した。でも君は聞かなかった。ユキメは君に裏切られたんだ! 裏切ったのはお前の方なんだよ! 助けて貰ったのにユキメに暴力を振るっていたんだろう! お前は何様だ? 流星の精霊様か? 違うだろう、お前はあの伝説の英雄である流星の精霊とは別人だ! 威張れる訳がないだろう! 闇に堕ちないと信じた僕がバカだった。僕は君を本気で倒すから! 覚悟しておいてよね?」
僕はそう言って無詠唱で氷魔法で棒術で使う棒をいつも以上の強度で造り上げ、僕は眼帯を右目に着けていたが、左目につけ直した。僕は彼女を睨み付けてから、全身の力を足にこめて勢い良く飛び出した。
僕は彼女の背後に回り、凄い強さで溝うちをした後にうなじらへんを攻撃した。彼女はその時、精霊魔法で攻撃をしていた。
が、僕は反射的に避けて、反射的に回し蹴りをしたが、流星の精霊は僕の蹴ったところを強化していたようで一メートル飛んだだけだった。
「腐っても流星の精霊の子孫なんだな。流星の精霊達もちゃんと、こいつを教育してからこの世界に連れてきて欲しかった、よ!」
危なっ!! 流星魔法のプチなのにこの破壊力か……。本気の一撃をしたらこの世界終わりだな、なんて考えながら彼女の攻撃を受け止めたり、避けたりと怪我をせずに戦いをしているとチッと流星の精霊は舌打ちをした。
怖っ!! これが噂のヤンデレって奴!? なら僕は彼女のことを心の中でだけ、ヤンデレ女子と呼びたいところだが、ヤンデレ女子予備軍って呼ぶことにする。
「腐ってねぇーよ!」
だから、怖いって! あぁ、もう! この世界の女子は本当にもう嫌!!




