ノハル、精霊と妖精に出会いました。
僕はとりあえず、しばらく眠ることにしたのだけど、家がなければ眠ることすらも出来ないからね。
右腕からゆっくりと毒が回ってくるような錯覚が起こりつつも、僕は右腕を左手で押さえながら僕は魔法を使って家の骨組みを作っていく。
完全に家が出来たのは、一番星を見つけることが出来るような時間帯だった。
流石に毒が体内に回っている影響か、いつもよりは完成するまでに時間が掛かってしまったけど、家があれば問題ない。魔物が来ても、今の状態では退治するのも苦痛なため、仕上げに僕は強力な結界を張った後、僕は自分で作った家に入ってすぐに鍵を閉める。
その後、少し……休憩してから魔法でベッドと布団を作り出し、僕はとりあえず回復するために眠りについた。
僕は久しぶりに海王様がいたあの空間にいた。僕は上半身の服だけを脱いで、心臓の上らへんに刻まれている魔方陣を撫でた後に、右腕の容体を確認をすればやはり右腕の半分くらいは皮膚が黒くなっていて。
僕はすぐに毒解除魔法をかけたが、黒くなっている半分くらいしか肌の色が戻ることはなく、他にも黒くなっていないかを確認すると、右腕以外は黒くなっていないことがわかったから一安心した。
その瞬間に右手に静電気のような痛みが走ったので、右手を確認すると爪の間から血がポタポタと垂れてきて。
「っつ!」
そんな症状で僕は、一つの結論にたどり着く。この毒は魔力が高ければ、高いほどゆっくりと身体中の神経に徐々に毒を回していく毒だと……。
本当、性格悪いな。……あの人。
痛みも時間がかかればかかるほど……、二乗三乗と痛みが増してくる毒であり、今は静電気程度の痛みで済んでいるが、時間が進むにつれて……動けなくなるような痛みに変わっていくそんな毒でもある。
稀な例だけど、この毒は空気から感染する場合があると聞いたことがある。
そんなことに気づいてしまった僕は、珍しく気が滅入ってしまった。
はぁ……もっと良く考えて、何かを持ってくるべきだったなと考えていた。
はぁ……一度、意識を戻そう。流石に痛い思いをするのも嫌だし……ここ山だからね。解除薬に必要な薬草も集まると思う。さっさと終わらせてしまいたいとは考えているんだけども、僕は毒を受けているからそんなには動くことは出来ない。
それにこの山には強い魔物もいるみたいだから、完全じゃない今の状態では倒せるかどうかがわからないし。
まあ、僕は瞬間移動も出来るし、行動範囲が広くなっても大丈夫だろうけど……と考えた後に僕は横になり、目を閉じてから直ぐに僕は意識を手放すと……しばらく経ってから、僕は重たいまぶたをゆっくりと開いた。
僕はゆっくりと上半身を起き上がってから右手を見ると、全部の指の間から血がポタポタとたれていた。僕は爪の間のところだけ、丁寧に回復魔法をかけた後に考えた。精霊や妖精に聞いてみればいいのではないかと……。
僕は両目に魔力をこめて、《霊眼》を発動させてみると……、僕の作った家の中に結構な数の精霊や妖精達がいて、ここまでいると流石に少し驚いた。
「うへっ……! こんなにたくさんいたとは、予想外だよ……。まあ、いいけどね」
『人間、その右手に居るその毒気はなんだ。凄く、悪意が感じられるぞ』
《そうなの~。悪意が感じられるの~。その毒気を治すためにここにきたの~?》
流石、精霊と妖精だな。目のつけどころが違うよ。ちなみに、上の会話が『精霊』で下の会話が《妖精》の会話だからね……まあ、その話はおいておいて……話がわかるような精霊や妖精で良かったよ……。無差別に攻撃されたら、どうしようかと一瞬思ったもん。
「僕はこの毒を解除するために、この山に来たんだ。精霊や妖精に攻撃などをされた時以外は、君達に危害を加えるは毛頭ないから信じて。僕は本当にこの山にはこの毒を解除するために来たんだよ」
『心配するな、知っておる。だか、君が考えている毒の解除ではちょっと無理があるな。妖精よ、説明してやれ』
《うん、オッケーなの~。任せてなの~。この毒を君につけた人達は相当、悪意がこもっているの~。ボク達もその悪意を祓うことは出来るけど……六年くらいは時間がかかっちゃうの~。それにこの毒を薬草で解除した場合は時間はあまりかからないけど……悪意が強すぎて、君に何らかの後遺症が残ってしまうの~。だから、時間をかけて治していった方が良いと思うの~》
確かに後遺症が残るのは……流石にちょっとね。精霊や妖精の言う通り、精霊や妖精達に悪意を祓ってもらうことにするかな。どうせやるなら、丁寧で確実に治せる方が絶対にいいよねと考えて、精霊や妖精達にこう言った。
「是非ともよろしくお願いします」
《その代わり、条件があるの~。一年後の今日、この山に魔力の高い雪のように美しい髪で、深海のような瞳を持つ男の子の赤ちゃんが来るの~。その一ヶ月後にはミニチュアドラゴンの卵が空から降ってくるの~。でも何個、降ってくるかわからないの~》
『その一年後に、新たな精霊が生まれる。しかもこの山のどの精霊よりも強力なんだ。私達は精霊はともかく、育て方がわからないから君に育て親になって欲しい。それにその精霊の育て親にもなって欲しいんだ。強力すぎて押さえ込む自信がないんだ』
ふ~ん……。赤ちゃんの男の子は僕の養子にすれば良いし、ミニチュアドラゴンは雄でも馬くらいの大きさにしかならないし、雌だとポニーくらいの大きさにしかならないから、いいかな。
それに体を大きくはなれないみたいだけど、意識的に小さくなれるようになるみたいだし、人懐っこいと聞いたことあるから……一番、人の手で育てやすいドラゴンと聞いたことがある。
でも何個、卵が降ってくるかわからないとか……怖すぎる。
精霊を育てるのは、聞いたこと無いから日記でも書いておこう。
「あ、うん。いいよ~。でも子育てとかも手伝ってよ?」
《勿論なの~! それまでは君は祓うことだけに集中して~。用意して欲しい物は何でも用意するの~》
妖精はそう言って、僕に紙を渡した。僕は思いつく限りのことを書いて妖精に渡すと、満足そうな顔をしてからその妖精は別の妖精達に渡した。別の妖精達はメモを渡されたと同時に何処かに消えていった。そんな様子を精霊達は微笑ましそうに見ていたのだった。




