夏休みになりました!
誤字報告があったので、訂正しました。
僕が学園に登校した後、すぐにキラの妹さんは無事に目を覚まされたみたいで、僕は休日などを使い、一から毒草や毒薬の恐ろしさや見分け方を、キラの妹さんがうんざりするほどに教えてあげました、こまかいところまで丁寧にね。
恐らく、もうこの行動で懲りて何の薬草かもわからないものを口に入れるのはもうやらないとは思うが、二度あることは三度あると言う諺もある訳だし、念のために薬草なんてもう嫌! と思わせるくらいの意気込みで僕は饒舌に薬草について語りましたよ、僕が満足するまでね。
まあ、語っている側である僕は楽しかったし、回復魔法などを専門に勉強しているキラと、学ぶことが好きなルートは嬉々として聞いていたし、逆に次の情報を早くくれと急かされていたくらいだ。……教えているのはキラの妹さんのはずなんだけどなぁと考えながらも、身内や友人に甘い僕は二人に急かされるまま薬草について詳しく説明していたのだけど。
早く情報をくれと急かす二人と違い、キラの妹さんは自分の知識量をオーバーしたのか、顔が青くなっているほどだった。
そんな彼女の表情を見て、流石にやりすぎたかと反省していた僕に何故か、キラのお母さんに婿に来ないかと言われてしまったのだが、恋愛ごとについては決められた相手ではなく、本当に心から好きだと思える相手とするべきだと僕はそう考えつつ、キラの母親には妹さんは妹さんが本当に好きになった人がなるべきです、とそう言って丁重にお断りした。
それに僕は女性が少し苦手で今はまだ、結婚するつもりはないとも言って断ると残念そうな顔をしながらも渋々と言ったような表情をしながら、一時間くらい説得してやっと諦めてくれた。……その説得の方が僕にとって苦痛でしかないのだけどね。
嘘は方便だ、僕は現世では全く結婚するつもりなどさらさらない。
恐らく、結婚するつもりはないと言っていれば押しに押され、婚約を結ばされていたような気がするし、キラの兄弟となるとはっきりとは断りづらいし。
キラの妹さんを治療してから、それから数ヶ月後が経った。今じゃ、妹さんからは何故か師匠と呼ばれるようになってしまった。師匠と呼ばれるほど、僕にとっては大したことは教えたつもりはないんだけどね……。だけど婿に誘われるよりは断然良いので、あえて僕は訂正しないことにする。師匠じゃないと訂正すれば、また面倒なことに巻き込まれそうな気がしたからだ
妹さんの話を少しだけするけど、流石はキラの兄弟だ。頭が良く、だがその才能に傲慢にならないところはそっくりだよね。彼女に合った教育をすれば、優秀な薬師になるのも夢じゃないくらい、かしこく観察眼がある。だから彼女にも努力をし続けるようには言っておいた。
キラから時折、彼女の話を耳にするが……僕の教えを素直に守り、薬学や回復魔法についての書物を読み漁りつつ、独学で学び続けているとそう話を聞いている。が、夢中になりすぎて食べることを忘れてしまうことが心配だ、とキラは苦笑しながらそう言っていた。
「師匠である誰かさんがそうだから、間接的に似ちゃったんじゃないの?」
と、カルトは不機嫌そうに珍しく嫌味っぽくそう言ったため、僕は思わず苦笑してしまったよ。心配かけすぎてごめん、とカルトに対して申し訳なさを覚えたけど……どうしても直せないんだよね、好きなことに夢中になりすぎてしまうことだけは。
話は夏休みについてに変えるが……無事、皆補習にもならずに夏休みを迎えることが出来ました。僕とルートは相変わらずに首席と次席です。気になるカルトの順位は三十位だった。
凄いな、後ろから数えた方が早かったのに今になっては、前から数えた方が早くなったよ。基本的、カルトは努力家なのでこうなるとは思っていたが、ここまでいい順位に上がるとは思っていなかったので、とても驚いた。ちなみにホルンは十五位で、キラは三位だったよ。
成績順が張り出される訳じゃないから、本人に聞かないと何位かわからないんだ。僕らも毎回、首席と次席の席に変わらず居座り続けていたのだけど、キラも三位の順位に居座っていたらしい。
……僕らの成績の話は興味がないだろうからおいといて、今日で夏休み一日目となった今、ホルンはルーテット大陸にいて、僕達はアルファーセル大陸にいる。
僕らがルーテット大陸に遊びに行った後からホルンはアルファーセル大陸に来る予定であるらしい。
ホルン以外の人の四人と使用人二人でアルファーセル大陸に行って、町を案内をしていたんだけど……速攻に僕は迷子になったんで、とりあえず八百屋のヤオさんのところに向かった。
僕はしばらく歩くと、たまたま歩いているヤオさんを見つけたので、僕は走ってヤオさんの元へ行って勢いよく抱きつく。
「ヤオさん! 久しぶりですね! 会いたかったです!」
「おっとっと……おう! ノハル様だったか! 久しぶりだな、ノハル様。俺も会いたかったよ。話し相手がいなくてなぁ~……つまらなかったぜ。それからノハル様ってば、俺のところに来たと言うことは早速迷子になったんだな? 毎回のことだけど、ノハル様のトラブルメーカー振りには驚かせられるぜ」
日焼けしたワイルド系のイケメンな方なおじさんなヤオさんは、ニカッと歯を見せた。なんで、皆は僕のトラブルメーカー振りを僕の前で話したがるんだろう? と頭の上に疑問符を浮かべながら、ヤオさんの話について疑問に思いながらも僕は苦笑いをしながらも、ヤオさんにこう言った。
「皆して僕のトラブルメーカーの体質について、話したがるから困っちゃうんだよね。きっと、夏休みが終わったらキラも僕のトラブルメーカーの話をことあることに話始めるんだ、きっとね?」
と、僕がそう言えば、
「あははっ! そりゃそうだ。ノハル様はそれだけ皆から愛されているってことさ。……それにな、どうしたら、真っ直ぐな道なのに迷子になる奴がいると言うんだよ」
ヤオさんはそう言う。ぐっ、正論を言われてしまえばと何も言えなくなるじゃないか……と内心そう考え、黙り込んでいる僕に対して彼は気にせず、何ごともなかったかのように話を進めていく。
「お前の規格外さはアルファーセル大陸でも随一だ。それにお前の頭の良さと閃きもそうだし、魔法の使い方だって上手くこなす。アルファーセル大陸の領主の中でも三本指に入るくらいに凄い奴だと俺はそう思っている。だから、俺はお前がここの領地主になることを望んでる。だから、ノルファ様に冷たい態度で接しているんだ」
と、ヤオさんは真剣な声色でそう言った後、言葉を一旦詰まらせた。
確かに僕は規格外かもしれない、だからと言って領主の役目に向いているかと言われればそうではないと思う。……僕がアルファーセル大陸の領主になるべきなのは、ノルファお兄さんだからだ。
ノルファお兄さんが領主として学んできたと言う理由ではない、僕よりも彼の方が領主として向いているとそう思っているからである。
ヤオさんが沈黙している間に僕は領主にはならない、と否定をしようとしたがそれを遮るかのようにこう言う。
「でもさ、俺はわかっている。……ノハル様がノルファ様が領地主になるべきだと考えているからこそ、俺はノルファ様にそのことを宣言するつもりはないし、ノハル様に領主になってくれと必死に懇願するつもりはない。それにノハル様は一つの大陸に縛られるべき存在ではないとそう考えているから。……いや、誰も縛ることの出来ない存在と言った方が正しい気がするな。まあ、そんなノハル様だからこそ皆笑い話になるんだろうけど。規格外なノハル様だと言えど、一応は誘拐されんように気を付けんだぞ?」
と、そう言うヤオさんに対して僕は思わず苦笑を浮かべる。……規格外と言いつつも誘拐の心配をしてくれるのか、と表情とは噛み合わないが……僕はそのことが嬉しかった。
……前世ではここまで心配をされることがなかったから。人の思いやりの心は温かいんだ、と知ることが出来た。
僕は冷静さを保ちつつ、
「あ、うん。一応、気をつけておくよ。誘拐するような奴はだいたい目星がついているから、安心して? それにルートとカルトは他の大陸の兵士が束になって襲いかかっても、倒せるようにぐらいには成長してる。それに、僕は迷子になったら八百屋かお肉屋か駄菓子屋にいるし、誘拐されてもすぐわかると思うよ」
と、会話で長文を話すとなると疲れるな……と考えながらも、一旦深呼吸をした後に僕は続けてこう言った。
「まあ、僕は誘拐されてもなんとか出来るだろうけどルートとカルトとか僕の友人達が誘拐されたらその国は安全を保証出来るかわからないから。
それと、領地主ついての話だけど……僕は学園から卒業したら……アルファーセル大陸に学校を作ろうと考えているんだ。これが僕にとっての将来の夢でさ、絶対に叶えたい……ううん、絶対に叶えて見せる」
僕は口元を緩めながらそう話していたが、学校を作ると言う話をし始めたと同時に緩めていた口元を引き締め、真剣な声色で、表情でそう言った後……、相づちを打たせる暇も与えずにヤオさんにこう言う。
「だから、この夢を叶えるためにはここの領地主に僕はなることは出来ない。そうヤオさんが言ってくれるのは嬉しいんだけど……ごめんね、僕の知恵を教えられる限りを、子供達に教えてあげたいんだ。
それでも他の大陸の学園に行くことになるけど、アルファーセル大陸の子供達に多少の差別差を気にすることがなく、色々な場所で子供達の夢の可能性を広げてあげたいし、叶えられる夢を持たせてあげたい。……だから、僕はひたすらに研究を続けて、深いところまでを勉強をし続ける。
だから……剣術、弓術、斧術を教える時はヤオさん頼んでもいいかな? カルトにも頼むつもりだけどね。ルート曰く、僕のその三つの苦手さも規格外らしいからね。僕が教えると怪我人が出てしまいそうだし」
そう僕は遠い目で空を見ながら、そう言った。そのことをヤオさんに言い終わってから彼の方へと向いて、満面の笑みで笑う。そんな僕に目を見開いてから、すぐに涙目になりながらこう言った。
「そ、そうだな……。ノハル様は魔法実技は出来るのに実技は出来ないからな……。仕方ねぇーな、学校が出来たら手伝ってやんよ」
「そしたら、違う大陸の空気に合わない種族も勉強をすることが出来るよね?」
そう僕が彼に伝えると彼は目にためていた涙がブァーと効果音が出そうなほどに泣き始めて、崩れ落ちるようにヤオさんは座りこんだ。
そんなヤオさんを見て慌てて座りこんで背中を擦りつつ、僕は微笑む。
何故、彼がこんなにも泣いているかと言うと、魚人と猫又族はこの地から離れることが出来ない。そんな彼達は独学で勉強をしようが、どんなに時間を費やして勉強しようと、努力では補えなくなってくる限界があるだろう。……アルファーセル大陸の全体の学力をあげるためには、この大陸での学園の設備が必要となっている。
それをお父さんは知っていながらも、予算は集まっていても教える人材が人手不足で新たに学校を作ることは出来なかった。……対応をしようとしても問題点が多すぎて、頭を抱えて悩んでいたのを僕は知っている。
だから、僕はせめて転生させて貰い、幸せでいられることに対してお礼がしたいと思った。……学校に通えることでたくさんの人が希望を抱き、夢を叶えられるように。
僕が仲良くしてもらっているヤオさん達三人は地道に努力を重ねて、自分なりの戦い方を見つけることが出来たのだ。
ヤオさんは武術を、クヤさんは水魔法を、シヤさんは音魔法を使えさせれば大陸一番に強いと言われるようになった。
それは、この三人がひたすら努力をし続けていたからで、そんな三人の努力を無駄にしたくないから、僕は学校を作ろうと決意したもうひとつの理由だ。
初めは、確かに皆のためだったけど……今は自分の意思で学校を作りたいと思っているよ。そのことを誰よりも先にヤオさんに伝えたかったんだ。あとで、ルート達にもちゃんと伝える。ルート達が教えてくれなかったら拗ねそうなのでこの後、ちゃんと伝えるけどね?
「っ!! ……ありがとう……ノハル様っ!! やっぱり、お前が一番……領地主に向いてるよ……」
「違うよ、ヤオさん。もう、予算は元々あったんだ。今も使わずに学校予算としてとっといてあるんだよ。でも、人手が足りなかったんだよ。その予算を作ったのは……お兄様だよ」
「……お前ら兄弟、規格外すぎるだろ。流石、銀狐族ってことだな……」
僕はそう呟きながら泣いているからか、手を震わせている右手を僕は自分の小さな手で大きな彼の手を、僕は両手で包み込むように彼の手を握った。
実際は、彼の手は大きすぎてはみ出しているんだけどさと考えながら僕は彼に笑いかけているとまたまた、慌てた様子でお兄さんが僕に駆け寄ってきた。僕はヤオさんの手を離して、立ち上がり、ノルファお兄さんの方へと振り返った。
ノルファお兄さんってばヤオさん達、三人が自分を時期領主として認めていないことを知っていたから、あえて資金を集めているのは自分だと言うことはなかった、……ノルファお兄さんは自分の活動する姿を見て認めて欲しいと思っていたからだそうだ。
学園の創立をするため、資金を集めるなんてちゃんと時期領主らしいことは出来ていると言うのに、ノルファお兄さんは謙虚すぎる。だから今回、じれったくなって僕が言ってしまったのだけど。
「ど、どうしたんですか! ヤオさん!」
「お兄様がいつまで経っても、ヤオさんに予算が集まっていることを言わないので、僕が言ってやっただけです。僕の夢はアルファーセル大陸に学校を作ることで、お兄様がとっくの昔に予算を集めてくれていることの全てですが、何か?」
そう僕が言い終わると後ろからルート達が僕の元に駆け寄ってきて、嬉しそうに笑っていた。そんな彼らは僕が何かを言うのを待っているかのように、喋ることはなく無言で爽やかに笑っている。
この子達はもう、本当に健気なんだから。お兄さん、泣けてきちゃうよ。
「手伝ってくれるよね、ルート、カルト」
そう僕が言うと嬉しそうにコクンと頷く。そんな二人は嬉しそうにしていたがそんな中、キラだけは悲しそうな顔をしていた。
「キラも……手伝ってくれるの? だって、長男でしょ?」
そう僕の言葉にキラは嬉しそうに、ニッコリと僕に微笑みかけながら、コクンと頷いてこう言った。
「この前、行った時に放棄してきた。出来ないと言ってきた。ノハルの手伝いをしてやりたいと言ったら、喜びながら賛成してくれたよ、二人とも」
嬉々とした表情で珍しく、声を張って言うキラに自分の意思で僕の手伝いをしてくれるんだなと思い、嬉しくなってしまった。
「……ありがとう、キラ。これから、よろしくね」
僕は満面の笑みで、キラにそう伝えるといつの間にか泣き止んでいたのかわからないが、ヤオさんが話しかけてきた。
「……流石はノハル様だな。人を惹き付けるのが、得意なようだ。……俺も喜んで協力させて頂くよ」
「ありがとう、ヤオさん。キラは保険の先生だね。確か、高等部に言ったら医療系を選ぶって言ってたよね。生徒の治療と事務を頼んだよ。カルトはヤオさんと実技のことを教えてね。ルートは……まあ、高等部の選択次第だね。ルートが何を選択するのか今から楽しみだよ」
そう僕は言ってから、ニッコリと笑って歩き出す。彼らの答えを聞かずに、屋敷へと一人、さっさと足早に向かった。
背後からは彼らが何かを言っている声が聞こえてくるけど、僕は彼らの言葉を聞こえない振りをしながら足を動かし続ける。この夢を叶えるためには、学園長を……止めなければならない。鍵を持つものとして、僕は学園長を止めなければならない。
誰にでも、人には言えない秘密があるだろう。僕だって例外ではない。
恐らく、僕はこの世界で一番危険な秘密を持っている。世界の理でさえ、変えてしまうことが出来てしまうくらいの危険で、選ばれた人以外には誰にも知られてはならない秘密を。
この秘密を学園長に知られてしまえば、この世界は魔へと染まり、闇が広がっていくだろう。だから、僕が管理をしなければならないんだよ。僕はこの秘密を守り続けなければならない。
※※※※※※※※※※※
僕は弟を追おうとした。だけど、それを八百屋のヤオさんに止められる。
僕を止めた瞬間のヤオさんの顔は僕が知っている中でも一番だと言えるくらいに、真剣な顔をしていてその気迫に圧倒され、ノハルを追いかけることを諦めた。
そんな僕とは違って弟二人と弟達の友人の子は、呆然と立っていただけだった。……いつもと雰囲気の違うノハルに戸惑いを隠せないようだ。
……当たり前か、彼らにはその表情を隠し続け、笑顔を浮かべ続けていたのだからね。ノハルの愛想笑いの違いを見極めることなんて家族でも出来ないくらいだ、気づけなくても無理はない。……いや、もしかしたらルートくんだけは気づいていたのかも知れないが、あの子のことだから心配をかけたくなかったんだろうと分かっていてのことかもしれない。
あのノハルの表情は、数回だけだけど僕も見たことがある。いつもこの時期はずっとあんな表情でいることが多いし、元々から自ら外に出るようなタイプではないが、ノハルは家族の前ですらも姿を現すことが少なくなる。
あのノハルの表情は僕が小さい頃に、まだ生きていたひいじい様と同じような表情を弟がしていることに気がついた。僕がひいじい様なその表情を見たときは、ちょうどこの時期だった。
初めてノハルのその表情を見てから、わかってた。ノハルは……ひいじい様と同じ何かを抱えて生きている、と。
そう僕とお父様は気づいていながらも、……どんな言葉をノハルに掛けたらいいのかわからなかった。
何を悩んでいるかもわからない状態のまま、無闇に何かを言えばきっとあの子は傷ついてしまうことが想像出来てしまう。
今の期間中はノハルは、人と一線を引いていることにも気づいていたから……余計に、聞くことが出来なかった。
「あいつは、誰よりも幸せに生きて尚、何かに苦しんでいるんだ。人は皆、人には言えない一つは秘密を抱えている。ノハル様の秘密は、皆が隠している秘密より、重たい秘密を抱えているんだと思うぞ。大切な人だからこそ……言えない。だから、この期間には人と一線を引いているんじゃねぇーか?」
それはわかっている。そのことは僕が誰よりもわかっているつもりだ。
ある時から、ノハルは彼の部屋に入れなくなった。僕もお父様も、使用人でさえも部屋に入れることを常に拒否し、誰も部屋にいれようとはしない。無理矢理入ろうとすれば、鋭い目付きで睨み付けてくる。……あの優しいノハルがだ。
弟二人が出来てから、彼らだけはアルファーセル大陸のノハルの部屋にいれるんじゃないかと僕とお父様は期待した。が、余計に彼ら二人を部屋には寄りつかせようともしなかった。
彼らさえも部屋に入れることを拒否し、夏休みでもずっと引きこもっていた。
だが、ある時の夏休みのことだった。僕は調べものをするためにすっかりノハルの第二の部屋化をしている書庫に行った時、その時は書庫にあるソファーで弟は眠っていた。涙を流しながら、苦しそうな顔をして眠っていた。
いつもニコニコしていたノハルがだ……泣いていたんだよ。その時、僕は弟の涙を初めて見たんだ。
彼にとっては泣いていたことさえも気づかない無意識の涙なのだろうが、いつも笑顔を絶やすことのないノハルの涙を流す姿を初めて見たんだよ。
誰よりもいつも笑っている弟が泣いていた、当たり前の事実に驚かされて動けなくなっていた。そんな衝撃が自分の中に巡っていて……金縛りにあったかのように全く、身体を動かすことが出来なかったんだ。
そして、初めて知った。いつもニコニコと笑っているノハルにも涙が流れると言うことを……何故、当たり前なことを忘れてしまっていたんだろうと考えながら、僕は下をずっと向いていることしか出来なかった。
そのあと、起きたノハルの声を聞くまではずっと……下を向いてずっと呆然と立っていることしか出来なかったんだよな……と考えていると何故だろう? ずっと前のことなのに不思議と今、涙が流れてきた。
自分が領地主で良いんだろうかと言う内心では疑っている気持ち。
兄だからと言って領地主になるのが義務な訳じゃないのだから、基本的に規格外で、住民から慕われているノハルが領地主になるべきだと、僕だって一時期悩んでいた時期だってあったんだよ? 兄である僕よりもノハルを領地主として指示している住民がいることだって知っていた。
……天才すぎるノハルの才能が羨ましいと言う気持ち、幼い頃からその気持ちを見せないようにしてきたが、やっぱりノハルには隠し通すことは出来ても、自分自身には隠しきることが出来なかった。
こんなにノハルに頼って欲しいのに、彼は何でも一人でしてしまって頼ってもらえないと言う気持ちが混ざりあって、自分の心に渦巻いていることに悩んでいたことだってあった。
でもね、例えノハルに頼って貰えなくてもそんな中でも僕は……どんなことがあろうともノハルの味方でありたいと言う気持ちの方が強いんだって、成長すると共にそう気がつけた。
だから、ノハルに頼られるように強くなりたい……それは、僕の弟二人とノハルの友人の子も同じようだ。ノハルが連れてくる子達は僕から見ても、ノハルまでとは言えないが、人間の中でもトップクラスと言っていいほどの才能の塊ような子達だった。
ノハルが連れてくる子達は才能が全身から表れていて誰もが目を惹かれるような子達ばかりだ。しかも、謙虚で性格も良くて努力家ばかりで、何よりもこの人生を生き生きと、自分の興味を持つことに真剣に取り組んで生きている。
……ノハルは周りにいる友人達にも恵まれている。お願いだからノハルの心が壊れてしまわないように、彼らには支えて欲しいとそう願うばかりだ。
どうしてノハルを? と、本人がいない時に三人にそう聞いたんだ。
そう聞けば彼らは似たり寄ったりしたことを言う。声かけられていつの間にかずっと一緒にいるようになって、悩んでいることを解決して貰った。
でも、何処かノハルを放っておくことは出来ないっと言う理由もあるし、一緒にいると自然に笑顔になれるから、だから望んでノハルと一緒にいるです、とも言っていた。
彼ら三人は揃いも揃ってノハルが女の子だったら、絶対に惚れていたとも言っていたから、僕は思わず笑ってしまう。……弟がここまでモテモテだとは思っていなかったからね。
そんな僕の様子を不思議がりやがらも、彼らはノハルだからこそ助けたいんです。と皆……同じことを言っていた。誰も、ノハルの才能が凄いからと言う理由で一緒にいる子達はいなかった。
ノハルは自分の能力に頼り過ぎずに、努力をし続ける。その努力は何時だって、誰かのための努力だった。
自分のことよりも誰かのことを優先にして行動する、それがノハルだった。
それはノハルだからこそ出来ること……とお父様は僕にそう言った。
そのあとお父様はこう言葉を続けた。
ノハルは自分のために努力は出来ないんだ。自分のために努力をすることを恐れているんだ、と。
まるでひいお祖父様のようだと、僕はそう考えていれば、絶対にお前はそうなるなとお父様は確かに悲しそうな顔でそう言っていた。
そんな顔を周りにさせていることを彼は気づいている。でもそれを直すことは出来ない。それが彼の生き方なのだと僕は気づいていたから、僕は何も言わない……いや、ノハルにそう言うことが出来ないと言った方が正しいだろうか。
これがノハルの生きる意味だと、そう弟は考えていると思うから。家族がその考えを否定してしまえば……、簡単にノハルの心が壊れてしまいそうで怖いんだ。
ノハルの笑顔を失ってはならない。彼の笑顔が周りを笑顔にさせているのは誰もが気がついていて、変えようがない事実なのだから。
「そんなの……ずっと前から気づいていますよ。彼は僕の大切な弟の一人なのですから。僕は自他共に認めるブラコンなのですからね」
僕はヤオに目を細めるように笑いながらそう言えば、……ヤオは驚いたように目を見開いていた。
僕はそんなヤオの表情に驚いていると、大きな声で大笑いをしていた。
そんなヤオに僕はムゥとむくれていると、ヤオは悪い悪いと言ってから、顔の前に両手を合わせながらこう言った。
「領地主に向いていないって言って悪かったな。お前に領地主は向いていないと言ったのは、お前には大きな欠点があったからだ」
そう僕はヤオに言われると、あのノハルでさえ苦手なものがあるんだから、僕に欠点があるのは当たり前じゃないかと思ったが素直に聞くことにした。
「笑顔だ。真顔をしすぎだよ、バーカ。小さい頃は表情がコロコロと変わっていたのにな。怖い顔しても国民はお前にはついては来ねぇーよ。一人で抱えることはねぇーよ。わからないなら、誰かに頼ればいい。誰かを頼ることは恥ずかしいことじゃない。この世の中でたった一人で生きていける完璧な人間はこの世にはいないのだから。今回のノハル様みたいに誰かを頼ったら良いんだ。ノハルに頼ったら、喜んで協力してくれる。それにな、忘れるな。規格外なのは、ノハル様だけじゃないぞ。気がついていないようだけど……お前もなんだぞ?」
そう困ったように僕に告げる彼に僕はただ、頭に疑問符を浮かべて、首を傾げているだけだった。
「そう言う無自覚なところと仕草はノハル様とノルファ様はそっくりだな」
そう言いながら、八百屋を閉店する準備を始めていた。そんなヤオをポカーンとした顔をしながら見つめていたのだった。
※※※※※※※※※※※
僕はアルファーセル大陸の自分の部屋に鍵をしっかりと閉めて引きこもっていた。僕は部屋着に着替えて、首もとにあるネックレスについている鍵を指先で突っついてしばらく遊んでから、僕は壁に並ぶ五個の本棚のうち五個目の本棚の前に立ち、右側にその本棚をずらした。
その本棚があった下に隠し扉があり、僕は鍵でその扉を開け、僕は扉の中に入り、扉を閉めた。僕は火魔法で灯りを作ってから、もし部屋に入られたとしてもこの扉を開けないように、鍵をかけてから僕は地下へと続く階段を一歩、一歩下に降りて行く。
しばらく、階段を降りて行くと階段は終わり、真っ直ぐな道になった。そんな道をしばらくの間、進んで行くと一つ目の扉につく。その扉の問題に一発で正解すると扉が開き、僕はその扉の奥に危険じゃないと知っているので、怯えることなく奥へと進んでいくのだった。
僕はその後、七つの扉の問題に答えて最後の扉の前に立ち、最後の問題を解くと、七つの扉と同じように開くので、僕は堂々とその扉の奥に入っていくと、広がるは高さは地下室の天井まであり、地下室中の壁に名一杯に引きつまる本棚だ。
僕は、散らばっている紙を拾いながら、種類ごとにまとめる。その作業を終えてから、僕は隠し扉の仕掛けがある本棚を探し、一冊の本を見つけた。
その本をペラペラとページをめくり、あるページにあるページぐらいの薄さの前にいた世界の言葉で表すと、電卓のようなものがあるページで止めて、僕はその電卓にある数字が書いてあるボタンでとある数字を押すば幻覚は消え、奥に続くドアが現れる。
僕は首元にあるネックレスについている鍵でそのドアを開けて、ドアの奥に続く廊下の中に入った後に僕は、そこのドアを閉めてから、奥へと進んでいく。
その後、また三つの扉を開くためにある問題を解いて、最後の扉にたどり着くと最後の扉の問題を難なく解いて、開いた扉の奥の部屋に入ると……相変わらず大きく魔力が強く感じる高さが天井まである大きな扉があるのだった。
「……いつ見ても、憎たらしい程にでかいな。『命の扉』よ。元気にしていましたか? 相変わらず、資料室を散らかしているようでしたから、元気なのはわかっていますが、一応、貴方は霊体なので聞いておいて差し上げますよ!
毎回毎回、片付ける僕の身にもなって下さいよ。毎回言っても言うこと聞かないので、諦めていますが……一応、言っておきますよ」
そう声を張って言うと、フヨフヨと浮きながら僕の目の前に来た人(幽霊だけど、そう言わないと怒るからね。)は僕はこう言われた。
『久しぶりじゃの~。一年ぶりじゃな、我が曾孫よ。ワシの次を継ぐ転生者よ。ワシはまだまだ、幽霊になってしまったが、元気じゃよ。ノハルよ、時にじゃが、外にはこの危険な扉を狙う者はいたかのぅ?』
「今のところは、ここに前までいたお父様の嫁の人でしょうね。
今は僕が通う学園の学園長をしています。あいつは禁じられた魔術を使っているので、この扉を狙っている可能性があるとも考えられます。
それに探している生徒はいましたが、何とか僕の手で食い止めましたので、その者はもう注意人物ではありません。今は僕の友人として力を貸してくれています。キラはとてもイイヤツです。後、他にもホルンと言う友人が出来ました」
そう僕が言うと、最初の方の学園長の話は深刻そうな顔をしていたが、最後の方の僕が新しい友人が出来たことを言うと、ひい祖父さんは嬉しそうにニコニコと笑いながら、聞いていてくれた。
来れるとしても僕しか来れないので、毎回嬉しそうに僕の話を嬉しそうにニコニコと笑いながら聞いていてくれるのだ。多分、彼は僕から聞いた話を全部覚えているような気がするのだと考えながら、僕はこう告げる。
「今度は一週間後に来ますね。ホルンはルーテット大陸の第一王子らしくて、ルーテット大陸に遊びに行くんですよ。帰ってきたらどうなっているかを話してあげますね。明日、朝が早いので今日は帰ります」
そう僕が言うとひい祖父様は寂しそうな顔をしながらも、そうか……と呟いていたので少し罪悪感を感じたが、寝坊するといけないので仕方のないことなのだよ、ひい祖父さん。
「楽しんで来るんだぞ、ノハル。土産話……楽しみにしているぞ。どう変わっているか楽しみじゃ!」
そう少し寂しそうな顔をしながらも、ニカリと歯を出してひい祖父さんは笑っていたので僕も満面の笑みで笑い返してから、行きののように時間を掛けて帰る必要もなく移動石を使って、自分の部屋へと戻る。
何故か、帰りだけは移動石で移動できるんだよなと考えながら、ずらした本棚を元の場所に戻した後に部屋から出て、ウロウロと廊下から出ると心配そうな顔をした三人が僕がいる場所に向かってはや歩きをして僕の元へと駆け寄ってきた。
「部屋から出てこないから心配したんだぞ?」
「……具合悪いなら、明日ルーテット大陸に行くのをやめるか……?」
「もう、引きこもるなら引きこもるって言ってよね!」
そう上からルート、キラ、カルトの会話文だよ。そんな彼らの話に僕は満面の笑みでこう答える。
「ごめんね、皆。大丈夫だよ、具合悪くないから明日ルーテット大陸には行けるよ。引きこもる時に、引きこもるよって叫んだら、おかしいでしょ、カルト」
僕がそう三人にそう答えていると、お兄さんがやって来て僕に話しかけてきた。
「……ノハル、お前が抱えている秘密は……ひい祖父様と同じ秘密なんだろう? もしそうだったとしたのなら、それだけは答えてくれないか? それ以上は聞かないと約束する。お願いだよ、ノハル。それだけは答えてくれ!」
そう僕の肩を掴んで、涙を浮かべながらそう言った。普段、弱味を見せないお兄さんが涙を浮かべて僕に聞いている……それぐらいの質問を聞かれるのは想定していた。でも、身内や友人に弱い僕はそう言われると……答えるしかないじゃないか……。
「……本当にそれ以上は聞かないと約束しますか?」
「ああ!」
「わかりました……。そうです、お兄様の言う通り確かに僕の秘密はひい祖父様と同じ秘密を抱えています」
お兄さんはやっぱり、そうか……と呟いてそれ以上は僕とひい祖父さんの秘密については聞かなかったのだが、僕は何故、ひい祖父さんと僕の秘密が同じだと言うのがわかったのかが気になって僕は、お兄さんに聞いてみた。
「お兄様……なんで、僕の秘密がひい祖父さんと同じだとわかったのですか?」
「ノハルがひい祖父様と同じ表情をしていたからだよ。憂いの表情がひい祖父様にそっくりだ。まだ、幼かった僕にもわかるほどそっくりなんだ」
そう寂しそうな顔をしながら、そう言うお兄さんに僕は戸惑いつつもお兄さんにこう質問をする。
「そんなにそっくりでしたか……。僕は見たことないのでわかりませんけど……それよりも、もし……もし、ですよ? ひい祖父様に会えるとしたら、何と言いたいですか?」
「ひい祖父様、お元気でしたか? と聞きたいね。僕が見ていたのは、苦しそうなひい祖父様ばかりだったから……」
僕はその一言を聞いて、僕の心がズキンと痛くなった。会わせてあげたい、でも……そしたら、地下の秘密もばれてしまう。そしたら、あの扉のある場所が公になってしまう。
そしたら、また、たくさんの人が戦争で苦しんで亡くなってしまう。それだけは嫌だ。戦争の生け贄に人々になって欲しくない。苦しんで欲しくない、悲しんで欲しくないから……僕は生きている限り、この扉を隠し通さなければいけないんだ。
お兄さん、ごめんね……。僕は絶対に、ひい祖父さんにその聞きたいことについて伝えるから……。こんな嘘つきな僕を許して下さい……。これ以上、この扉のせいで犠牲者が出てほしくないんです……。前世の僕のように……後悔してまま、たくさんの人々が亡くなるのは嫌なんだ。
ごめんね……お兄さん、お父さん、ルート、カルト、キラ、ホルン……ごめんね……。本当に、ごめんね……大切な皆に秘密があるのは本当に辛いよとそう考えた瞬間、片方の目から一筋の涙が僕の目から流れた。
そんな僕の様子にノルファ兄さんは慌てて、一度僕を掴んでいた肩を離してから、僕のことを優しく抱きしめる。
そのあとお兄さんが僕のことを優しく頭を撫でるとプツンと涙を止めていた理性がきれて、僕は声を上げて泣いてしまった。僕はその時に初めて気づいた。僕の背負っていた秘密がどれだけ僕に重くのしかかっていたことに今さら、気づいたのだ。
そんな僕にお兄さんは優しく微笑んで、僕が泣いている間も、泣き止んだ後も何も聞かずに僕をしばらく、抱きしめていてくれた。
そんなお兄さんや皆の優しさが心に染みた。僕はそれでも、誰にもこのことは言わず、生きていこうと決意した。このことで、苦しむのは僕だけでいい。 たまに、彼らを頼ってこの苦しみを除いて貰えれば……僕の大切な人達は誰も傷つかずに生きていける。
それだけで、僕は充分だ……。言えなくて、ごめんね……皆……このことが皆に言えれば、どんなに楽だったのかな……? 聞かずに居てくれて嬉しいのに、何処か寂しかった。
どうして……僕ばかり……と思えたら、どんなに楽だったろうか……。皆に伝えて、逃げることが出来たなら……どんなに楽だったろうか……? こんなに強い力を持ってきてしまったが上の……運命なのだろうか。
でも僕だけが傷つくのなら、僕が耐えなければならない。でも、本当は……皆に話してしまいたかった。隠し事なんてしたくない。
でも、皆を護るには僕の心の奥の片隅にこの『命の扉』に関する情報を隠しておかないと皆が……死んでしまうかもしれない。僕が護れれば良いんだけど、僕だって何でも完璧に出来る訳じゃない。
攻撃魔法だって出来ない訳ではないが、躊躇ってしまう。僕は人を傷つけたくないんだ。だから……耐えるしかない! 皆のことを護るには耐えるしか……方法がないんだ……。
「ごめんなさい、お兄様。言えなくて、ごめんなさい。お兄様が頼りないから頼らない訳ではないんです! お兄様は凄く、頼りにしています。それから、お父様もルートもカルトもキラもホルンも使用人の皆も、カエデ先生もノートル先生も頼りないから、頼らない訳ではないんです。でも……この秘密は頼りようがないんです。僕が……抱え込むしか方法がないんです! でも、苦しい時は我慢せずに、一人で泣かずに皆を頼るようにします……。頼りにしています……」
そんな僕の言葉に、お兄さんはコクンと頷いて、僕のことをさっきより僕が苦しくない程度に強く抱きしめた。そんなお兄さんの懐で顔を深く埋めて、僕は自分のさっきの言葉が恥ずかしくて顔を赤くしているのを皆から隠した。
そんな僕の様子に気づいていたのはお兄さんだけのような気がした。
お兄さんがブラコンなのは、流石の僕でも気づいているけどね……。 もちろん、ルートとカルトも僕と同じように凄い勢いで可愛がっている。
僕はそんな二人の様子を見て……ああ、僕もこんな風に他の人たちに見られていたのかと恥ずかしくなったほどだ。
なので、ブラコンすぎて絶対に僕の仕草の癖を全部見抜いてそうなので、絶対に僕が照れていると言うことにお兄さんは気づいていると思う。
僕はお兄さんの懐に顔を埋めていて、しばらく経つと僕は自分の頬の熱さが取れたのを確認するとお兄さんは嬉々とした表情で顔を上げた僕の顔を見ていた。
そんなお兄さんの表情を見た瞬間に僕が照れ隠しに懐に顔を埋めていたことに気づいていると僕は気づいてしまったし、やっぱり、 僕から見てもお兄さんのブラコン度の高さには驚いてしまった。
そんな僕の呆け顔を見ても、アートお兄さん以上の王子スマイルをしていて、この人は結婚が出来るのか弟ポジションの僕には心配で心配でたまりません!
まあ、僕が誰とも結婚しないからって言ってもお兄さん二人とお父さんが反対しないのは、確実だなと考えながらもお兄さんの気がすむまでずっと、抱きしめさせているとキラがこう言った。
「ノハル達、お兄様に大切にされてていいね」
そうキラが言った瞬間、僕は声には出さなかったが、こう思っていた。
貴方の妹さんのブラコン度もめちゃくちゃ高いですよ、キラ。
貴方に好きな人が出来たら、刺し違える覚悟が出来ているほどのヤンデレ妹さんですよ! それに僕は、貴方も結構なシスコンだとは思います。人のことは言えませんよぉ~?と考えているとルートとカルトは口を揃えてこう言った。
「「はっきり言って、自分で認めているけど……俺(僕)らもブラコンだから。ノハルが女の子だったら、絶対に嫁にはいかせないね。これは決定事項ね。それに、ルックノット学園の女子生徒には絶対に婿には行かせたくない。これも決定事項ね。本人も嫌がっているし、こっちとしても嬉しいんだけどね」」
そう双子二人は、一人称以外は一字一句違わずにそう言っていた。そんなルートとカルトの言葉に今まで、僕を抱きしめていたお兄さんは僕を離して、ルートとカルトを二人同時に抱きしめているのを僕は眺めながら、ルートとカルトの言っていたことにポカーンと呆けて表情をしながら、考えているとルートとカルトにお兄さんはこう言っていた。
「よし! 僕の可愛い弟達は貴族の娘どもには渡さんぞ!」
そう言うお兄さんに言えないけど、こう言ってやりたい。
読者の皆さんに勘違いされてしまうから、やめなさい。貴方のその一言でキラが僕達のことをゲイだと勘違いしてしまったら、どうするんですか!? 勘違いしないでよ、キラ!
僕は男の人に友情以上の感情を持ったりは、絶対にしないからね!! だから、安心して友人でいてね。それにね、ルートとカルト……平凡顔である僕を婿にするような変わったお嬢様はいないから安心してよ。それに、僕はファンクラブを潰しまくってきた男だよ? 女子にとっては敵に決まっているじゃないか!!
「「絶対に、ルックノット学園の女子生徒の魔の手から、ノハルを守って見せる」」
「……俺も、それには同意する。ノハルを俺もルックノット学園の女子生徒の魔の手から守って見せるから!!」
おいおいおい……そう言うことは好きな女の子がいじめられている時に、使う言葉だろう!? 今使ったら駄目でしょ!? それに、三人がかりで守られなくても自分の身ぐらい自分で守れますからぁ~!! それに初めて言った相手が男とか本当に君ら、ゲイと勘違いされますよぉ~……。そう言うカッコいいセリフは女の子に言ってあげて!
「僕……女の子じゃないのに、なんで男の子にカッコいいセリフを言われているんだろうね……」
「言われたくないんなら、いい加減、鏡を見ろ!! そしたら、理由がわかるから、取りあえずは鏡を見てみろよ!」
そうルートには言われたが、僕は顔を勢い良くブンブンと効果音がついてしまいそうなほどに横に振って、鏡を見ることを拒否した。どうしても見たくなかった。
自分だけが平凡顔であるのが、ショックだと言うことを表面上の理由にしてただ、母親である学園長の顔にそっくりな顔じゃないかと考えると鏡を見るのが怖かっただけなのだ。
それに、前世での恐怖が捨てきれない僕がいる。誤解だとはわかったが、また、生け贄にされてしまうのではないかと僕はたまに怖くなってしまうのだ。周りを信じていない訳ではないけれど、どうしても……学園長だけは信じることが出来ない。
だって、あの人なら……実の息子を生け贄にすることをしてしまいそうなほど、学園長は狂っている。そんなこと、学園長に会ったことのある人達なら気づけるはずだ。学園長の心はもう、狂っている。
もしかしたら、学園長の顔に似ている嫌悪感から僕も僕も狂ってしまうのではないかと考えると鏡を見るのが怖くて、怖くてたまらないんだ。
「……どうして?」
そうキラに心配そうな顔をされた瞬間に心の中で渦巻いていた、恐怖の気持ちを吐き出すかのように僕はこう皆に言った。自分の顔を見たくない本当の理由を……。
「学園長に……顔が似ているかもしれないと考えると自分の顔を見るのが、怖いんだ!! 学園長はもう、誰から見ても狂っている! そんな学園長に自分の顔が似ていたら、僕は狂ってしまいそうで怖いんだ」
そう自分の中で渦巻いていた恐怖の気持ちを、言葉に出すと体の震えが止まらなくなってしまった。 そんな僕をキラは優しく僕の震える両手を彼の両手で包みこむように、僕の手を握り、こう言った。
「自分が見たいと思えるまで、見なくていい。良く言えたな、ノハル」
そうキラは言った後に、ルートとカルトは僕にお兄さんに抱きしめられたまま、申し訳なさそうにこう言った。
「「……ごめん(ね)」」
そんな二人に、体の震えが止まり始めた僕は、彼らに微笑んでこう言った。
「気にしないで、本当の理由を離さないでいた僕も悪いんだし……」
そう言うと、ピタリと体の震えがおさまった。そんな僕の様子に気がついたのか……キラは僕の両手を包みこんでいた両手を離して、ルートとカルトの方を向いてニッコリと笑っていた。そんな僕とキラの様子に安心したのか、ルートとカルトの表情にも笑みがこぼれた。




