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初等科二年三組。

「ねぇ、絶対に癒された対象が間違っているよね。ホルンに癒される場面でしょー!!」


 そう僕は言ってから、ルートの方へと向くとニコニコと微笑んでいた。許したくなるからやめてー。僕は怒ってるんだよー。怒って……るんだ、よ?


「許して? ノハル」


 そう僕に言ってから、首をコテンと横に傾げながら、ニコニコと笑っていた。やばいぞ、やばい。ルートは僕が美形に弱いってことに気付いているよ!!

 ルートってば、たちが悪いなぁ~……。だから、ちょっと変わった女の子達に好かれちゃうんだよ?

 ルートのファンクラブを潰すのが一番大変なんだからね。何度も何度も潰しても、ルートのファンクラブはゾンビのように立ち上がってくるんだもの、いい加減にしてほしい。


 魔王ラセルと言う最強なイケメンさんとともに、勇者退治に行くのも疲れちゃったんだもんね……なんて僕は考えていた。

 勇者退治と言うよりはゾンビ退治の方が正しいかも~。……非公式なんだから、そろそろ諦めてほしいのだけど。


「し、仕方ないなぁ~。今回だけなんだからねっ!」


 ツンデレさん風に言ってみると、教室の周りにいた上級生の女子生徒達がキャーと奇声をあげて、何人か貧血で倒れたり、メモを片手に必死の表情で何かをメモっていたりしていた。

 なんで、ここに上級生の女子生徒がいるんだ? とコテンと右に首を傾げながら、その様子を僕は見ているとカエデ先生が般若みたいな末恐ろしい顔をして、メモを取っている女子生徒からメモを回収して、火の魔法で灰にしていた。そして、一言こう言った。


「今、メモを取っていた奴等は……俺のところに放課後、反省文三枚提出するように」


 そうカエデ先生が言った瞬間に僕は鳥肌がたった。カエデ先生は怖そうな顔をしてはいるけれど、こんなにも冷たい声色で話すような先生ではないのだ。

 僕でさえも鳥肌がたったのだ、上級生の女子達は大丈夫だっただろうか?

 相当、カエデ先生は上級生の女子生徒達に怒りがつもっていたのだろうね。殺気まで立てていて、カエデ先生の近くにいた上級生の女子生徒達は腰が抜けて、立てなくなって涙目になるほどなのだから。

 カエデ先生の近くにいた上級生の女子生徒達は、しばらくはカエデ先生の近くにいることは出来ないだろうね。

 カエデ先生に近づくのがトラウマになってしまうくらいで済めば、まだマシな方かも知れないね。彼は実力者だから。

 大丈夫かな~……カエデ先生ほどの実力者の殺気を浴びてしまえば、騎士とか魔法使いとかになりたい人がその中にいたのなら、トラウマが酷い女子生徒は騎士なら剣を、魔法使いなら杖を……確実に一生握れなくなってしまうね。


 それは流石に可哀想なので、僕は教室に響き渡るように、強めに拍手をするかのように、手を叩いた。

 そんな音に皆、ハッとして速やかにこの教室から上級生の女子生徒達は離れてく。僕の手を叩く音で、気を取り直したカエデ先生は、困ったような表情を浮かべながら、僕の方へ視線を向けていた。

 僕達より上級生の女子生徒達も勉強になっただろうね。

 いつかは、実力者の殺気を浴びるような出来事が起きるかも知れないし、幼いうちから経験しておけば自分より強い相手と模擬戦ではなくて、戦う時に負けそうと判断した時、逃げることの出来る可能性が高くなるのも間違えないのだから。

 後は彼女ら気持ちの持ち方次第と言うところかな? と僕はカエデ先生にニコニコと笑いながら、そう考えているとそんな僕に対してカエデ先生は、苦笑いを浮かべていた。

 まあ、僕はルート達さえ無事であれば構わないのだけど……それを言うと、ルートは悲しむだろうから言わないけどね、……僕の世界はそれほどルート達中心で回っているんだよ。

 ……取り敢えず、カエデ先生は落ち着いてきているようだし、ルートやカルト、ホルンに異常が出ていないか確かめようと彼らを見た。

 三人とも、苦笑いをしていたが、トラウマになりそうなほどではなさそうなので安心すると、ホルンが僕にこう話しかけてきた。


「これほど、凄い殺気を感じたのは初めてだよ。僕は座っていたから大丈夫だったけど……。ノハル達は立っていて、良く平気だったね?」

「「まあ、ノハルの方が殺気の強さと比べれば、たいしたことはないね」」


 そうルートとカルトは同時に一字一句違わずに、そう二人は言っていた。その後に続けて、ルートはこう言った。

 君達、少しは遠慮をしなさい。……僕も強気でそう言えるほど、遠慮をしたこてなんてないのだけど。

 むしろ、遠慮なんてしたこともないね。


「カエデ先生はあれでも、殺気を抑えていたようだけど……僕らみたいにノハルに鍛えられていなかったら、凄いトラウマになっていたと思うぞ。ホルン、お前……なかなかやるじゃないか。あれぐらい耐えられることが出来るなら、ノハルの側に居ても全然問題ないな」


 そう厳しい表情をしてそうホルンに言っていたが、そのことをホルンに伝え終わるといつものように歯を見せて、ニカッと笑みを浮かべていた。

 そんなルートの表情につられたのかわからないが、ホルンもニコリと微笑みを浮かべていて、そんな二人の様子を僕はしばらく観察していると……、ホームルームを知らせるチャイムが鳴る。


「先程は驚かせてしまい、申し訳なかった。三組の担任をさせて頂く、カエデ ルーズだ。よろしく頼む。

今日は、ホームルームをしたら下校だ。だから、取り敢えずは自己紹介を頼む」


 流石、カエデ先生。無表情が似合いすぎる……なんて考えているうちに、クラスの人の自己紹介を聞き流してしまっていたことに気づかされたのは、良く通るアルト声をした子の自己紹介を聞いた時だった。


「はじめまして、クローズ アルテジアだ。得意な魔法は雷魔法だ。一年間よろしくッ!!」


 おっ、後であの男の子に話しかけてみようかな。僕の周りには熱血系の男の子の友達がいないし、話してみたいなとは思うけど……なんか、やっぱり引っかかるから今日は話しかけないでしばらく、彼を観察してから彼がいい人だとわかったら話しかけることにしよっと。


「……アルリ ハルマートです。よろしくお願いします……」


 アルリ ハルマート……ね。ルートファンクラブを作っていたあの子かぁ……。皆の前では、大人しいキャラになりきっているんだね。僕、びっくりだよっ。要注意人物はっけーんしちゃった。


「私はケイト ガーデン。よろしく頼む」


 うわぁ……美少女なのにもったいないなぁ。でも、こう言う子は観察しているだけで満足って感じかな、僕にとってはだけど。

 この子は確か……ルートやカルト、カエデ先生のファンクラブを潰しに行った時は、見たことがないから、今のところは害はないから……気にする必要はないかな。


「メルリ ライトですぅ。よろしくお願いしますですぅ」


 メルリ ライト……僕の中では一番の要注意人物だ。めげずにルートやカルト、カエデ先生のファンクラブを立ち上げるヤツはいっつもこいつなんだ。何気にスペックが高いから気をつけなければ……。


 そうしばらく、聞き流していると……次に気になったのは、ホルンの前の男の子の時だった。


「……キラ アルト。……よろしく……」


 そう耳をすまさなければ聞こえないほど、小さな声でそう呟いて自己紹介をするその子が、なんか……面白そうだったので話しかける人のリストに彼を入れているとホルンの自己紹介は終わっていて、次は僕の番だった。


「ノハル ルーセルでーす。よろしくね~」


 気をつけないといけない相手が全員わかったことに安心していて、自分の自己紹介の内容をさっぱり考えていなかったので、あんな感じの自己紹介になってしまった。

 ルートもカルトも自己紹介を終えて、カエデ先生の話を聞き終わり、下校となったのだ。彼らが下校する前に取っ捕まえてしまおうとまずは、無口なキラ アルトを取っ捕まえることに成功した。


「ねぇ~。キラくん「……キラでいい」


 呼び捨てオッケーってことは、友人になってくれるのかな。キラと話してみたいんだよね……なんて考えていると、僕の近くにルートがやって来た。

 なんか、ルートが凄い不機嫌なんですけど。久しぶりに眉間にシワが寄っているルートをみたんですけど。


「ノハル、聞いてくれよ。あのクローズって奴な……酷いんだぞ。没落した貴族はこの学園に通う権利がないって言ってきたんだ。あいつらだけが悪いことしていたのに、なんで俺達まで……」


 そう言いながら、ルートはすぐに涙目になり始めて、僕に勢い良く抱きついてきた。そんな彼に対して僕はよしよしと呟きながら、ルートの背中をさすっているとキラがルートにこう言っていた。


「……ひがんでいるだけだ。気にすると、あいつは性格悪いから、余計に言ってくるから、気をつけて」


 そうキラが静かにそう呟いて言っていると、抱きついてきたルートの様子は落ち着いてきたように、僕には見えたので僕は彼の方を向いてニコリと微笑みながら、キラにこう言った。


「ありがとうね、キラ。これから、よろしくね?」


 僕がそうキラに言うと、彼は少し緩んだような表情をして、キラはコクリと頷いてくれたので、僕は再び、彼に微笑んでいるとカルトとホルンがこっちにやって来た。


「ノハル、そろそろ帰ろう。使用人達が心配するよ。ノハル……人の見る目が本当にあるね……。キラ、また明日からよろしくね」

「ノハル、また、明日ね。ノハルがキラって呼んでるなら、僕もいいよね。キラもまた明日ね。仲良くしてね」


 そう言う二人に目を見開いていたキラだったが、すぐに無表情に戻ってコクリと頷いてくれた。

 そんなカルトとホルンとキラのやり取りに僕は生暖かい目で見守りつつも、家に帰らないといけないので、ショックでフラフラのルートを支えながら、カルトに帰るよと目で伝えると彼はコクリと頷いていたので、僕はルートを支えていない方の手をホルンとキラに振りながら、教室から出たのだった。








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