少年はあまりの出来事に…《前編》
僕は兄さんと会話した後、ラセルの部屋に行ったのだがラセルの部屋があまりに汚な過ぎて、驚きのあまり気絶し、次の日には知恵熱を出して僕は三日間寝込みました。
その時、……夢の中で僕は初めて海王様と会話をしたのです。
※※※※※※※
「…………わしのせいで本当にすまなかったな、心優しき少年よ……。
本来はわしの生け贄の印として、あの印を少年の体に刻んだ訳では無かったのだが……、わしにとって君の死を正当な死とは言えんのでな、異世界に転生させてもらったよ……」
海王様はそう言った。
そんな海王様の言葉を聞きながら、僕はここはどこなんだろうと考えた後、僕はキョロキョロと周りを見回していると、……海王様は水晶みたいな形をした大きな七つの氷の塊に囲まれていた。
「……ありがとうございます、海王様……。あの……、海王様の周りにあるのは………?」
海王様は下を向き、静かに口を開いた。
「……君や、わしの印を代々持っていた者のお墓だよ、わしのせいで死なせてしまったから。……せめてわしだけは……、君達の生きていたことを忘れないように、ここに墓を作った。
海王印について説明したいが、わしのような上級あやかしを見える強い霊能力者はもういないのだ」
「海王様………」
僕は悲しそうな表情を浮かべている海王様になんと声を掛けたらいいか、僕にはわからなかった。
苦しそうに悲しそうに言う海王様になんて声を掛けたらいいか……、僕は言葉が見つからなかった。
「君はわしを恨んでいないのかね?
………復讐したいとは思わないのか?」
「海王様……、貴方に恨みを抱くなどそれは筋違いだと僕は思います。
僕は転生して人生をもう一度手に入れることが出来ました。それは海王様にしか出来ないことだから、僕は直ぐに貴方に会えたことはとても幸運なことだったのだと思います。
それに海王様は、僕を温かい家族の元へ生まれさせてくださいました。
なので僕は逆に、海王様に感謝をしなければならない立場だと思っています。
本来なら死ぬ運命であった僕に、新しい人生をくれたのですから……」 海王様に復讐したいなんて、微塵足りとも僕は思ってなんかいなかった。
この出来事がなければ、兄さんやイケメンなオッサンの使用人、父さんは……まだ会ったことがないからなんとも言えないけど……、皆には絶対に出会うことが出来なかったから。
「なんて、聡明で優しい子なのだ……」
海王様はそう言って、僕を優しく抱き締めてくれた。……まあ、すぐに離してはくれたのだが……。
「君は今、幸せかい?」
「えぇ、勿論」
僕は海王様の問いにすぐにそう答えると海王様は悲しみの影のない、とても嬉しそうな顔で僕に向けて微笑んでくれた。
「心優しき少年よ……、大切な人を皆守るためには力が必要となる。
しかし、時には守るべきのための力が恐怖となるときもある。強すぎる力を妬む者も出てくるだろうし、時にはその力で戦をしなければならないといけない時が来るかもしれない。
だが、わしはお主は……それを乗り越えられることを信じておるぞ!」
「はい!」
「……たまにで良いのだか、老いぼれのわしと話してくれると嬉しいのだがな」
「はい、勿論です」
僕は海王様の申し出に笑顔でそう答えるのだった。
※※※※※※
僕はゆっくりと瞼を開いていくと……、イケメンなオッサンの使用人達が僕の側にいました。
「すみません、ノハル坊っちゃん……」
「大丈夫ですか、ノハル坊っちゃん……」
「目が覚めたようでなりよりです、ノハル坊っちゃん……」
「お腹……すきませんか、ノハル坊っちゃん……」
「ノハル坊っちゃん、もう一度お熱を計りましょうね?」
イケメンなオッサンの使用人の会話文、上から青狐・ラセル、正統派爽やかな系のイケメンな三十三歳です。
二人目は赤狐・ノーテル、ワイルド系のイケメン三十五歳。
三人目は赤狐・ノア、ダンディー系のイケメンな三十六歳。
四人目黒狐・ロゼ、真面目系のイケメンの三十四歳。
最後は、白狐・ファル、美人系のイケメンな三十二歳の計五人が僕の専属の執事(ラセルは家事できないのに、執事でいいのか?)兼ボディーガードらしい。
この五人は特に、二十代に見えなくもないから凄いと思う。
是非とも若さの秘訣を教えて欲しい。
なにもしてないとも言われそうだけども、一応ね。聞いておこうと思う。
「ははは……大丈夫だよ?
ただの知恵熱だから…。それよりね、ラセルは早くお嫁さんを見つけて来た方がいいと思うけどね。
でも、相手は絶対に青狐じゃない方がいいね。あの部屋が2乗4乗な状態になると考えると……、まさに地獄絵図だからね」
「すみません…」
ショボーンと項垂れているラセルは、耳も尻尾も項垂れていました…。
良い大人がやるのはどうかと思うが、何故か可愛く見えてしまうのは気のせいだろうか?
流石、イケメン!
ショボくれている顔の時もイケメンオーラを背おっているのだから、イケメンって羨ましいよねっ!