ノハル、新たな味方と出会うことが出来ました?!
『あやかしの生け贄だと思われていた少年は、あやかしに幸せを祈られて転生しました!』を読んでくださっている方々、ポイント評価、お気に入り登録してくださった方々、本当にありがとうございますm(._.)m
次の日になった。
僕の部屋に客用の毛布をしいて眠ていたルートの顔色が悪かったので、ルートだけは今日も休ませることにした。……本人は行くと言い張っていたけど、心配だからと何とか説得して渋々と言ったような様子だったけど。
二日連続で僕とルートが休むと僕がアルファーセル領主の息子だとばれてしまう可能性が出てくるので、わりと調子の良い僕は、ルックノット学園へと行くことになった。
今日はノーテルしかいないから、僕を学園まで迎えに来なくていいから、その代わりに体調の悪いルートを見ていて欲しいと頼んでおいたけど……。
凄く、ルートのことは心配だけど仕方ないよね。と考えながらも制服に着替えてから、ノーテルが作る朝食を食べた。
そのあとルックノット学園に行く準備をしてから、すぐに移動石に魔力をこめて自分の教室へと移動すると、自分の教室の前の廊下にいた。ちょうど僕の目の前にはルーカ イブ アルティメット様がいる。
「私とルート パルフェが婚約破棄となったのは、貴様のせいですわね。私とルート パルフェの恋を引き裂くなんて……不敬罪よ」
鬼の形相をしながらルーカ王女はそう言った。僕はそんなルーカ王女に、ハァと深いため息をついて僕は彼女にこう言った。
不敬罪の使い方が違うような気がすると感じたのは僕だけだろうかと考えながら、僕はこう言った。
「……僕が貴女とルートの仲を引き裂いたと? そんな事出来る訳がないじゃないですか。何を根拠にそんなことをおっしゃっているのです?
平民である僕に、そんな力がある訳がないじゃないですか。それに、ルートは貴女に恋などしておりませんよ。……逆にルートは貴女に苦手意識を持っているようですけど?
そんなにルートが好きならば、そんな匂いの強い香水をやめて、そして塗りたぐったその化粧をやめたらどうでしょうか?
今からそんなに厚化粧をしていたら、歳をとった時……どうするのですか?
それとも、自分の容姿に自信がなくて……偽りの自分をつくりあげているのですかね……。
この際、はっきりと申し上げますが……その香水、匂いが強すぎて、ルートが具合悪くなっていましたよ。それでも、貴女はその香水をつけますか?」
僕がそうはっきりと彼女にそう言うと、返す言葉がでないのか黙りこんでしまった。そんな彼女においうちをかけるような言葉をかけたのは、隣のクラスの担任だと思われる男の先生だった。
「それにだな、香水や化粧は校則違反だ。放課後、ノーテル先生に反省文三枚提出するんだな。位が高かろうが、低かろうが校則違反を犯したのなら反省文を提出するのは義務だ、抵抗せずに反省文を提出する事をオススメしよう」
そう先生がルーカ王女に言うと、彼女は大人しく五組の教室へと入っていってしまった。僕はその先生にお礼を言うために先生の近くに寄って頭をさげ、僕は彼にこう言った。
「先生、助けて頂きありがとうございました。ルーカ様には困っていたんです。僕はノハル ルーセルと言います。よろしければ、先生の名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
そう言って、男の先生の名前をたずねると表情を変えずにこう言った。
「カエデ ルーズだ。だいたい、初等科の生徒達は顔が強面だからか俺のことを怖がるんだがな……怖がらないなんて、ノハルは変わってるな」
そう苦笑いをしながら、言うカエデ先生に僕は満面の笑みでこう答えた。
「カエデ先生って、意外に可愛いもの好きでしょう。なんかそんな感じがします」
そう僕が言うと、カエデ先生はポカーンと呆けた後に顔を赤くして戸惑っているとカエデ先生の後ろからノートル先生がやって来た。
「あら? カエデくんではありませんか。そんなに戸惑ってどうかしたのですか? しかも、顔も赤いですよ」
「うふふ……僕が図星をついてしまったようですね。カエデ先生はとても戸惑っているのですよ?」
そうノートル先生に、ニコニコと微笑みながら何故、カエデ先生がこうなったのかを冷静にそう言った。
「あぁ~…。カエデくんの可愛いもの好きのことですか。ノハルくん、こんなカエデくんですが……仲良くしてやって下さい。貴方はルートくんとも仲良くなれたんですし……きっと、カエデくんとも仲良くなれますよ」
そうニコニコしながら、ノートル先生は五組の教室へと入っていってしまったのを見てから、視線をカエデ先生の方へと戻すと顔を林檎のように真っ赤にしながら、廊下にしゃがみこんでいるカエデ先生を見てしまったのだ。
なんかルートみたいなんだけど……この人。構いがいがあるな……なんて思ったりしてないんだからねっ……。平凡顔の僕がやっても可愛くないな。なんて考えながら、しゃがみこんでいるカエデ先生の頭を優しく撫でた。
茶色のクセのある髪に茶色の目。カエデ先生の顔はきつく見えるが、よく整っている。騎士服がよく似合いそうな顔つきだな、なんて考えていた。
全く関係のないことを考えながら、僕は撫で続けているとカエデ先生は勢い良く顔をあげるので、びっくりしてカエデ先生を頭を撫でるのをやめて、先生の顔を覗きこむと……カエデ先生は目を見開いていた。
「あ、あぁ~……。なるほど、な。お前が顔をフードで隠す理由がわかったわ~……」
この角度では、僕にはえている狐耳は見えることはないし……カエデ先生が言っていることは、僕の平凡すぎる顔のことだろうか!?
僕の顔があまりに平凡すぎて、目を見開くほどに驚いているんだろう……。そんなに僕は平凡すぎる顔をしているのだろうか……。
そう、ショックを受けているとカエデ先生は慌てて立ち上がり、僕の頭をフードの上から、フードがはずれない程度に撫でてくれた。
「ど、どうせ……僕は、カエデ先生やルートのように美形じゃないですよ~だ。」
そう僕がむくれていると、カエデ先生はポカーンと呆けながら、彼はこう言った。
「……ノハル、お前は一度、鏡を見なおした方が良いぞ。お前はとんでもない勘違いをしているぞ」
カエデ先生はそう苦笑いをしながら、ラセルと同じようなことを言った。そんなカエデ先生の言葉に首を傾げていると、ハァと深いため息をついてから、片手を振りながら四組の教室へと入っていった。
そんなカエデ先生が入っていく姿を僕は呆然としながら見ていた。僕はカエデ先生の姿が見えなくなってから数秒後にやっと、我を取り戻し、僕も自分の教室へと戻って行くことにした。
※※※※※※※※※※※
カエデ先生、初登場から四時間後……ホームルームが終わったので、僕は帰ろう廊下を歩いていたら……カエデ先生に捕まってしまった。
何故、捕まったのかはわからないけど、僕は現在……カエデ先生の右腕に座るように抱えられて何処かへと連行されている。そんなカエデ先生に何処へ連れられて行くのかを聞いてみようと思う。
カエデ先生ってば身長が高いから、抱っこされると結構高さがあって、高所恐怖症な人だったら結構怖いかも。
僕は違うけど。
高所でも今の調子で、高所を楽しんでいると思うけどね~、過保護な使用人や家族のお陰で少しでも高いところに登ろうとすると、怒られるんだけど……。
「カエデ先生……何処に行くんですか?」
「学園長室だよ。俺は今から、宣言しに行くんだ。
君が入学する一日前のことだ。学園長は俺ら教員にこう言ったんだ。『明日、私の息子が入ってくる。彼はきっと私と敵対してくるでしょうね。私を嫌いだと言うなら、彼の味方をしてくれても構わないから。それと、その子供は狐族だから。』と言ってきたんだよ。俺はお前に出会う前までは、彼女の味方をしようと思っていたんだよ。
お前と出会って直ぐにわかったよ。俺が味方すべきなのは、ノハルなんだって。安心しろ、ノートルも味方だ」
彼はそう言いながら学園長室へと向かってしばらく歩くと学園長室へとつき、学園長室前でノートル先生と合流して、ドアを叩いた。
「はい、どうぞ」
彼らはそう学園長から許可を貰うと、学園長室のドアを開けて中へと入ると学園長はソファーに足をくんで座っていた。
「見てわかるように、私……カエデ ルーズとハールント ノートルはノハル アルファーセルの味方をすることを貴女に報告します、以上です」
カエデ先生は僕を抱えたまま、そう言って学園長の返事も聞かずに二人とも、学園長室から出て行こうとドアノブを手にとって、学園長室から出ていってしまった。
「あ、あのぉ~……理事長にクビにされたりしませんか、二人とも……」
そう僕はカエデ先生の顔を覗きこみながら、そう言うとカエデ先生は僕にニコリと爽やかな笑顔を見せてこう言った。
「この学園は、俺ら教員によって成り立っているんだ。一気に二人もクビにしてしまえば……この学園はすぐに廃校になる。それくらいはあの理事長だって理解出来ていると思う。
だから、俺らをクビにしたくてもあの人はクビにすることが出来ないんだ。だから、安心してくれ」
そう僕に微笑みながら、カエデ先生はそう言った。そんなカエデ先生の表情に、男の子である僕でさえ、ギャップ萌えとやらを感じてしまった……。
いや、勘違いしないでね。けして僕はホモじゃないんだからね……。
それだけはちゃんとわかってくれていると嬉しいんだけど……、なんて考えているうちに、カエデ先生は廊下へとしゃがみこむと、やっと僕をおろし、それと同時にノートル先生はこう言った。
「だから、安心して下さいね。まあ、私達は別にあの人にクビにされたとしても王宮の魔法軍に雇って貰えるのでクビにされたところで、役職に困ったりはしないんですけどね」
そうニコニコしながら、ノートル先生はそう言葉にしたのだった。
……ノートル先生はニコニコと笑顔で末恐ろしいことを、サラリと言っていたような気がするんですが……このことを質問してしまえば、もっと恐ろしいことをノートル先生は言いそうなので、聞かなかったことにしたいと思う。
「今日のところは失礼します。今日はありがとうございました。それでは」
僕はそう言いながら、制服のポケットから移動石を取り出して、カエデ先生とノートル先生が僕の側から離れたことを確認してから魔力を込め、僕の家のリビングに行くようにと願うと景色は一瞬で変わり、僕は自分の家のリビングにあるソファーの前に立っていた。
ルートの様子を見に行こうとリビングのドアへと向かおうとすると、いきなりリビングのドアが開いて僕に誰かが飛びついてきた。
僕は誰が飛びついて来たのだろうかと思い、顔を確認すると……。
「……カルトくん!アートお兄様に助けて貰えたんだね。よかったぁ~…」
そう僕が言って、カルトくんを強く抱きしめるとリビングのドアの方から次々とが聞こえてきた。
「……おかえり。ノハル、なんでわかったんだ? 規格外なノハルでも絶対にわからないって思ってたのに……」
「おかえりなさいませ、ノハル様。流石、ノハル様でございますね。一卵性双生児であるルート様とカルト様を一発で見わけてしまうとは……」
「おかえりなさいませ、ノハル様。ルート様とカルト様を一発で見わけてしまうとは……ノーテル、感服いたしました!」
「おかえりなさい、ノハルくん。凄いですね。僕ら自身もたまにわからなくなりそうと思っていたのに……僕らを見わけてしまうなんて……」
そう僕は四人の言葉を聞いて、クスリと笑ってしまったのだった。




