ノハル、お父様に報告を致しますよ?!
僕はラセルに挨拶してから、ニコニコと笑いながら、ソファーに座る。
ルートは僕の後を追うように僕の隣に座った。僕はルートが座ったのを確認し、彼の頭を撫でながら、ラセルとノーテルにこう話した。
「やっぱり、今回の出来事の原因は『宗教』だったよ。ルートの双子であるカルトくんは、確かに彼は両親にそう言われたとそう言っていた。子供、二人の証言が出ている。
お父様だって、動けるだろうと僕は思っている。でも、今回はお父様に力を貸して貰うのはただひとつ。ルートとカルトくんをお父様の養子にして欲しい。ただ、それだけ」
そうラセルに告げると、コクりと頷く。
他の貴族にルートやカルトくんを養子にするくらいなら、僕はお父様を時間をかけてでも説得する方を選ぶ。
幸い、ラセルは味方のようだし……なんとかなるかなとそう考えていると、ラセルはいつの間にか報告石を取り出していて、僕がそのことに気づいた時にはラセルは報告石に魔力をこめていて……。
『アルファーセル大陸領主、ロベル アルファーセルに報告する』
ラセル、敏腕すぎるよ……とそんなラセルの様子を見ながら、そう考えていると報告石から映像画面が出てきて、お父様の声が聞こえた。
『あ、今回はラセルか。ノハルは元気か?
ノハル、具合悪そうじゃないか。アイツに関して、ストレスで倒れそうになっていないか?
学校行きたくないって言っていないかい?友達、ルートくん以外出来てないの?
あっ!ルートくんの件、どうなったの?今回、報告しにきたのはこの件だね。さぁさぁ、言って、言って!俺は何をすればいいの!?』
……何故、本人に聞かない。お父様よ。
僕はどんなに質問攻めされたとしても、うざいなんて言わないのに……。
ちょっと、ショック受けちゃったかも。
「……ノハル様は相変わらず、元気ですよ。それよりもですね、あなたに頼みたいことがあるそうですよ」
『なに、なに!!』
そう言う、お父さんはきっと……目をキラキラさせながら、画面に顔がドアップに映っているんだろうな~。その証拠に、ラセルの顔がひきつってるもの。
「彼が暴力を受けていた原因はノハル様の話によると、『宗教』だそうです。あなたはルルーク教が、双子を不吉だと考えていることを知っていますね?」
『ああ、勿論だとも。そう言うと言うことは、ルートくんは双子だったんだね』
「はい、そうです。先程、ルート様の双子の兄であるカルト様に会って来て、この出来事の原因が『宗教』であることがカルト様はおっしゃっていました。
それにカルト様は孤塔に監禁されていたようですので、ここまで証拠が揃っていたのなら、サーバント大陸の王族も動けるのではないでしょうか?
虐待も監禁も立派な犯罪でございますから、充分な証拠となるでしょう」
「ラセル、彼らは僕がルートを助けようとしていようとしていたことを知っていた。彼らもパルフェ家の不利になるような情報を持っているんじゃないかな?」
「だそうですよ? ロベル様。それでですね、ロベル様に頼みたいことはですね……ルート様とカルト様を養子にして欲しいそうですよ」
『あ~……。そう言うことなら、別に構わないよ。子供が増えるのは僕は嬉しいからね。早速、取りかかるよ。双子かぁ~…嬉しいなぁ。家族が増えるのか』
そうお父さんが言った。
多分、ニコニコと嬉しいそうに笑ってそういっているような気がする。
僕はそう考えながら、隣にいるルートを見ると……目を見開きながら、涙を流していた。
ルートの涙を止めるために僕は抱きしめながら、ルートの気持ちを落ち着かせるために優しく撫でる。
ルートはそんな僕の腕を両手で掴みながら、声を殺しながら……泣き続けていた。そんなルートの姿に僕は心が痛くなり、僕は思わず目を閉じた。
六年間も一人で、身体の痛みに、両親に対する恐怖に、一人と言う孤独にたえてきたと思うと凄く心が痛くなった。
ルートとカルトくんの心の傷は簡単にはなおらないかも知れないけど……僕が側に居ることで二人が笑顔になるのなら、心の傷が癒えるのなら……僕は、それでいいって思っているんだよ、ルート。
『ルートくん。君らはもう、俺の子供だ。遠慮なく、俺に甘えていいし……頼りにしていいんだ。ノハルだって家族だし、遠慮をする必要なんてない。
それとな、俺の家族なった特典は俺からの溺愛だ。ノハルには、兄さんもいてなぁー……あいつも受け入れてくれると思うぞ。あいつに間違えなく俺の血が流れてるしな。だから、申し訳ないなんて思うなよ。
さてと、仕事がたくさんあるし……今日のところは失礼するよ。じゃあね、ノハル、……ルート』
そうお父さんは言って、ブチリと報告石の通信を切った。ラセルは苦笑いをしながら、「流石です。」 とそう呟いていた。ノーテルは僕とルートの様子を生暖かい目線で見守っているような感じがした。
それでも僕は優しくルートの頭を撫で続けているとルートは僕の方へと向いて、涙を流しながらニコリと笑った。僕はそんなルートにニコリと笑い返した。
今まで甘えられなかった分、……たくさん二人は甘えればいいと思う。
不器用な甘え方でも良い、……依存したって良い。二人には幸せになって欲しいから、僕は君達と家族になることを選んだのだから、遠慮する必要なんて一ミリもない。
両親に受け入れられない苦しみはわかるけど、同情で家族になった訳じゃない。……ルート達の苦しんで流れた涙は見たくないから、僕は自分の意志で君の側にいるよ。
……ルート、君は気づいてないかもしれないけど、僕は使用人にも、家族にも依存することはなかったのに……、君だけには何故か依存してる。
僕には君が必要なんだよ……って、流石に恥ずかしくて言えないから言わないけど、君は一番大切な親友なのはわかって欲しいな。
※※※※※※※※※※※
ふぁーとあくびをすると、気がつけば朝になっていた。僕とルートはあれから、すぐにソファーで眠ってしまったようで、毛布がかけられていた。
なんで、ソファーで寝ているのだろうと考えたが、すぐに理由がわかった。 ルートが僕の右腕を掴んで寝ていたからだ。無理矢理、僕の右腕を掴む手をはずしてしまえば、ルートを起こしてしまうとラセルは考えたのだろう。
だから、仕方なく僕らをソファーで寝かせるはめになってしまったんだよね、きっと。なんて考えていると、後ろからラセルに声をかけられた。
「おはようございます、ノハル様。すみませんでした。ソファーで眠らせてしまいまして。ルート様がノハル様の腕を掴んでいましてですね……無理にはずしてしまって起こしてしまうのは……と思ってしまいまして……」
「うん、おはよう。気にしないで。全然、大丈夫だから。……理由が理由だしね、風邪をひいたらその時はその時だよ」
そうラセルと会話しているとルートがパチリと目を覚ました。
「おはよう、ルート。調子はどうかな?」
「んー……。おはよー……のはる。……調子は凄くいいよー……」
そう寝ぼけて目を擦りながら、ルートはそう僕の問いに答えた。
うん、寝ぼけてても美形は目の保養だね。ルートはツンデレさんだから、こんな姿もあまり頻繁には見えないし。
まあ、言ったら怒られて拗ねられるから言わないけど、心に留めておくけど。
「さてと……アートお兄様に報告しないといけないな。ラセル、報告石を」
そう僕が言うと、ラセルは僕の手に報告石をおいた。そのまま、報告石を握り、魔力をこめると相変わらずの王子様スマイルとキラキラオーラをまとって映像画面に現れたのだった。




