ノハル、がんばっちゃいますよ? 7
皆さ、僕のことを規格外だと言うけどね、銀狐を筆頭に狐族は皆さ、チートだと思ってるから人の事言えないと思うよ。
規格外なのは僕だけじゃないのにさ。皆、僕のことを規格外だって言うんだよね……。僕だって欠点はあるんだよ?本当だよ?
「ほ、ほら、僕ってルートみたいに美少年じゃないしさ……。平凡顔だから、顔を隠すようにってことだよね。だって、お父様は危ないから、絶対に僕の顔は隠せって言われているし……。僕が平凡顔だと言うことは、決定事項なんだよね、きっと」
そう僕は三人に愚痴をこぼすように言うと、ルートとラセルはやれやれと言わんばかりに苦笑いをしていて、ノーテルは僕の言葉を聞いてから、ポカーンと呆けていた。
「はぁ……あなたってお人は……ちゃんと鏡を見たことがありますか? あなたはあの女似ではありませんからね。今のノハル様は、幼いロベル様にそっくりですよ。
まあ、昔からそう言って聞かせているんですけどね……ノハル様は容姿については「僕は平凡顔だけど、お兄様は凄く、美少年だよね」とそう言って聞く耳持たないんです。
だから、ノハル様にどんなに私が言い聞かせても、聞き耳持ちませんから私はもう、ノハル様の容姿についての説得は諦めようと心がけているのです。
そんなことより、何故、そう言う結論に至ったのかを理由をお聞かせくださいまし? ノハル様が結論からのべられたのも、理由の方が重要だと判断されたからですよね」
流石はラセル!僕が生まれてからずっと、僕の面倒を見ているだけあるね。
以心伝心なみに、僕の考えていることがわかっちゃうみたいで、凄すぎてある意味怖いよ~……。まあ、流石に僕の結論の理由の内容まではわからないみたいだけどね。
ラセルがいると説明が省けて嬉しいんだけど……僕の容姿についての話については、きっと親バカならぬ、使用人バカだから、そんな風に見えてるだけ。
ああ~……でも、ラセルの言う通り、この世界に来てからは鏡を見たことがないな~……。まあ、意図的に見ようとは思わないけどね。
勇気を振りしぼって、鏡を見たとしても、鏡をみた時に平凡顔だったらショックで立ち直れなくなりそう……。
だって……お父様やお兄様も平凡顔だったら、あまりショックだって受けないけど……お父様やお兄様は……凄く、イケメンなんだもの!!
「流石、ラセルだね~。勿論、結論についての説明はさせて頂くよ!」
「……そうか、わかったよ。でもさ……それより、お前は絶対に鏡を見た方が良いと思うぞ?
…………ノハルの容姿についての勘違いは、一生、とけないような気がするよ。俺もこのノハルの勘違いについては、訂正するのを諦めようかな……。その方が、面倒くさくないような気がする。
絶対、さっき、考えている時に自己完結しただろ……。俺にはわかる」
そう言うルートの呆れながら言う、ツッコミを今日はスルーをして、僕は先程、ラセルから聞かれた結論の理由について説明し始めようとして口を開く。
「まあ……僕の容姿についての話は置いておいて……何故、僕がこの出来事を引き起こした原因を『宗教』だと考えたと言うとね。
浅く考えれば、この出来事を引き起こした原因はルートだと考える人も出てくるだろうね?
でも、さっき、僕はルートを観察していたけれど、ルートは容姿に悪いイメージを持っていないし、そう言う風に見られる力を持っている訳でもないからね。
だから、僕は彼がこの出来事を引き起こした原因だとは考えられなかったと言うか、最初から考えていなかったが正しいかな?
彼の容姿を観察したのも念のためだし、何故、ルートが原因じゃないことをわざわざ、喋っているのは……皆にルートに原因があると勘違いさせないためだからね」
そう僕が一度、言葉を区切るとラセルとノーテルはコクりと頷いて聞いていて、ルートは僕に飛び付くように抱きついてきた。
僕はそんなルートの頭を撫でながら、僕は話を続けるために口を開く。
ルートは僕の親友なの、彼の笑顔は誰にも奪わせたりなんてしない。
「何故、『宗教』のせいで、この出来事を引き起こした原因だと考えたのは、所謂、消去法っていうヤツだね。でも、ちゃんとした理由はあるからね……。
まずは、僕が思い付いた一つの仮説を聞いてから理由を話したいと思っているよ。その仮説とはね、ルートが双子だと言う仮説だよ」
ラセルとノーテルは、ポカーンと呆けた顔をしていたが、ルートは思い当たる心当たりがあるのか、顎に手を当てながら何かを考えていた。




