少年は………三歳になる!
誤字の報告があったので、直しました。ゆういつ→唯一
いきなりですが僕、旧野口のはる(現、ノハル・アルファーセル)は三歳になりました!
イケメンのオッサン達が言っていることも理解出来るようになったし、文字も完璧に読めるようになりましたよ!
さて、僕がこの二年でわかったことはですね。ここも僕がいた世界のように、海に囲まれていて陸よりも海の面積が広い大陸となっています。
大陸は4つに別れていて、サーバント大陸、ルーテット大陸、アルティメット大陸、アルファーセル大陸の4つです。
皆さんは気付いているでしょうが、他の大陸は王族が大陸をまとめあげているが、アルファーセル大陸の領主であるのは、僕の父様にあたるロベル・アルファーセルがアルファーセル大陸をまとめています。
だけど、僕の母であるミシェルは二人の息子と夫をアルファーセル大陸に置いて、ミシェルの名前と印がある離婚届だけを置いて、姿を消してしまったらしい。
二人の息子と言ったが、僕には7つ上のお兄さんがいて、ノルファと言う。
彼は僕のことを可愛がってくれるとても、優しいお兄さんである。
お父さんには領主の仕事が忙しいらしく、まだ一度もあったことがないが、使用人の噂ではヘタレであるらしい。
次にここの住民の特徴は、住んでいる人の全てが人外であると言うことと他の国と貿易を行わない、所謂、鎖国であるということです。
現代的な言葉で言えば、引きこもり体質である人が多いと言うことだ。
アルファーセル大陸に住む人外の種類だけれど、僕の家族は狐族で他にも竜人、魚人、獣人、エルフ、猫又族などがこの国に住んでいる。
そして、僕ら狐族は魔力が他の種族の人外とは比べらるないくらいに、魔力が高くなりやすい者が多い。が、毛の色によって魔力が特化されやすいのと頭脳が特化されやすい体質が違う。
魔力が特化されやすい狐は赤狐に黒狐、白狐で、頭脳が特化されやすい狐は青狐に灰狐である。
だが、両方特化される事ができる例外が、我ら領主家の銀狐である。その代わり銀狐は平和を好む性質であり、絶対と言うか余程のこと(つまりはアルファーセル大陸の住民に被害があったとか)がない限り、戦はしない。
アルファーセル大陸で盛んなのは農業・鉱業が特に盛んだが、科学がまったく発達しておらず、本来なら弥生時代の生活になるのだが、しかしここに住んでいる人外達は比較的に魔力の高いので、魔法のおかげで他の大陸よりは少し劣っているものの、アルファーセル大陸も現代に近い生活で出来ているのだ。
ちなみにアルファーセル大陸は自然がたくさんあるので、林業や漁業も盛んであり、科学が発達しないのも自然破壊の恐れの可能性を消すためである。
それに肥料も科学物質が含まれていない、昔ながらの肥料を作っていて、特に農業はさかんだ。
以上が僕が二年間、使用人の噂に聞き耳たてて集めた情報である。
あと、ここの屋敷には女性が居らず(母のせいで父が女性恐怖症になったらしい。)ここには狐族のイケメンなオッサンな使用人しか居ないことが判明。
父様、ドンマイ!
これでは足りないのでもっと情報を集めるべく、使用人のイケメンのオッサン(キラキラオーラ、背中にしょっている)の目を盗んでは大量にある書庫で毎日のように入り浸り、本を大量に読み漁っています。
知識は宝だよね!
まあ、僕が暢気に本を読んでいる間、イケメンなオッサンの使用人達は必死になって僕のことを探しているんだろうけど……、僕のことを見つけられるのはアルファーセル家の使用人で、唯一の頭脳派の青狐のラセルさんぐらいなんだけどね?
何故かこの屋敷には頭脳が特化されている狐がラセルさんしかいないのだ!
何故なんだろう……?とそのことに興味を持ちつつも、分厚い歴史書を読みまくる僕なのである。
そんな僕をラセルさんは見つけると、歴史書を僕に読ませてたまま、数冊本を手に取った後、僕の部屋に足を向かわせる。
「んー、読み終わりましたぁ!」
ラセルさんが来る前に読み終わったので次の歴史書に手を伸ばすと………僕の小さい手が誰かに掴まれてしまいました!
「だめです、ノハル坊っちゃん………。」
この声は、青狐のラセルさんではありませんか!?
「どーしてですか?」
「だめだからです。」
「どうしても?」
「どうしてもです。」
「じゃあ、『メッ!です、ノハル!』って言ってくれれば、やめるぅ〜!」
「あ、主を呼び捨てにするなど………!」
ラセルさんに掴まれていない方の手で本を取ろうとする振りをする。
「わ、わかりました!メッ!です……ノ……ノハル……坊っちゃん!」
顔を赤くしながら、そう言うラセルさん。
イケメンなオッサンが顔を赤くしているシュールな絵ずら………。
「まあ、きゅうだいてん、かな?」
僕はそう言って両手を上げて『抱っこ』の合図をする。
帰りは自分の足で帰れないんだよね~、ほら!まだ三歳児の体力だし、僕の家無駄に広いしさ!と考えているとラセルさんは合図に気が付いたのか僕を抱っこする。
「行きしか歩いて帰れないなら書庫に来ないで下さいよ……、それから昼寝をしたら今私が持っている本だけなら、読んで良いですから我慢してください。
ノハル坊っちゃん……」
「え?ほんと、なら我慢するよ。ラセルさんにとっては僕なんか重さも感じないくらいに軽いでしょ!」
「重くないですけどね………もう少し周りの目を気にして下さいよ……」
「僕は別に気にしてないからかまわないよ。疲れないし、ラクだし」
僕がそう言うとはぁと溜め息をつくラセルさんです。
困った顔をしてもイケメンなオッサンはいつでもイケメンですね~~。
羨ましい限りです。
「………別にいいんですけどね!別に!」
そう言って僕の部屋に向かうラセルさんを見て思いつきました。
「昼寝するまえにぃ~、今日は、ラセルさんの仕事場にいく!!」
僕がそう断言をするとラセルさんは目を見開いて驚いていた。
「だ、だめですよ!!いけません!!」
「いけなくない!」
「いけません!」
「いけなくない!」
そう僕が叫んだ瞬間、僕らの近くにお兄さんが来たのを発見すると……。
ニヤリと僕は笑い、僕は勝利を確信した。……勝利の女神は僕の方に微笑んでくれているんだと。
「おにいさま~、僕ね~、ラセルさんの仕事場に行きたいのに~、ラセルってば頼んでも連れていってくれないの~」
そう言って後、上目遣いをしながら目をうるうるさせてお兄さんに訴える。
「……い、いいんじゃない?ノハルを連れていってあげなよ、ラセル」
そうお兄さんはニッコリと笑って言った。
「はい……」
勝利をした僕は、再びニヤリと笑った。