《魔法を》見せ合いましょう2
『あやかしの生け贄だと思われていた少年は、あやかしに幸せを祈られて転生しました!』を読んでくださっている方々、ポイント評価、お気に入り登録してくださった方々、本当にありがとうございます!
フラフラしているルートを支えながら、なるべく目立たない所へと移動すると、ルーカ様と離れていったと同時に真っ青だったルートの顔の血色が、徐々に戻っていく。
「香水……きついんだよな……ルーカ様は。それにキャラ濃いし」
そうため息をつきながら、そう言うルートの頭を撫でた。その瞬間、ルートはニコリと笑っていた。
ルートには悪いけど……僕がルートの頭を撫でた瞬間のルーカ様の視線が痛い。
そして、今も痛い。
面倒な事に巻き込まれているような気がするけど、僕の親友可愛いから許す。
「そ、そうだね……。それに嫉妬深いんだね…」
あ~、ストレス胃がキリキリいっているよ……。学園長の相手したあとのルーカ様の相手は正直辛い。
「そうなんだよ、ノハル……。ルーカ様と結婚したら、俺、気が狂っちゃいそうだよ……。だったら、結婚しなくて良いと思ったりするんだよな」
「僕もだよ。学園長みたいな人と結婚して、女性恐怖症になんてなりたくないからねぇ……。もう、いっそのこと『独身同盟』でも組んじゃう?」
ハ、ハハハ……と僕とルートは苦笑いをしながら同時にこう言った。
これは笑い事じゃないや、僕達の生死がかかっている問題だもの……。
「「うん、組もう」」
……即決だった……。
「でもさ、どうやってルートとルーカ様の婚約を切るかだけど……」
うんうんと唸りながら、僕が考えているといつの間にか涙目になっているルートがいた。
「……ノハル、あとで話があるから俺の話を聞いて欲しい。だから、ノハルの家に行ってもいいか?」
「う、うん。いいけど………?」
僕は暗い表情をしながら言うルートに戸惑いながら、そう言った。それからルートの目にたまる涙をハンカチで拭う。
「ノハル、ありがとう。さぁ!魔法を見せあおうぜ、ノハル!」
「うん」
仮面のような張り付いた笑顔をつくるルートに僕はまた、戸惑った。
そんな彼に僕はただ……、返事をすることしか出来なかったんだ。
……魔法もたくさん見せたし、ルートは僕に妖精を紹介してくれた。
でも、僕はルートが僕にしたい話の内容がつい、気になってしまった。
……もしも彼にとって一番辛い出来事の話なら……僕も、前世について話そうと決意した。
辛いことを僕に話してくれるほど、彼が僕のことを信頼しているのなら、僕は前世のことを話しても構わないと思えるんだ。
「次、ノハルの番だぞ?」
僕はルートの声でハッと気付き、ニコリと笑ってから魔法を見せることに集中した。
『《精霊魔法》、ウォーターカーテン!』
天井に向かって両手を掲げて呪文を言う。 人が喜びそうな魔法を選んでルートに見せ、彼もニコニコと笑いながら、手を叩いて喜んでいた。
でも、不意に彼の笑顔は何処か悲しそうに見える時もあることに、僕は気づいてしまった。
読んで頂きありがとうございます。次話も読んで頂けると、とても嬉しいです。




