魔法技術体育館1
ここの世界で、初めて同い年の友達が出来た僕は、ルートくんと共に学園へと向かいました。
一瞬で景色が変わり、学園の前の門へと着いたので校舎の入り口まで少し歩きます。僕達一年生の教室があるのは一階です。僕達のクラスである五組はその中でも一番奥の教室です。
なので、ルートくんと僕は話ながら歩いていたんですけど……、すぐに五組に着いてしまいました。
僕達は教室に入り、すぐに黒板をみると今日の日課が書いてありました。
一時間目《魔法》
二時間目《魔法》
三時間目《国語》の三時間授業です。一時間目と二時間目は《魔法》の授業ですので、魔法技術体育館へと体操服に着替えて来てください。
それと今日は朝のホームルームはありませんと、そう丁寧で綺麗な字で黒板に書いてありました。
僕らはその指示に従い、すぐに体操服に着替えて魔法技術体育館へと行く準備を整えました。
ちなみに僕は制服の上着を脱いで、ズボンを体操服のズボンに着替えただけなのです。狐族だとバレる訳にはいきませんからね。
「……昨日は猫で、今日は熊なんだな」
そうルートくんは呟いていました。
ルートくんの呟いているのは多分、僕のフードにプリントされている動物のことを言っているのでしょう。
「……明日は何にしようかな~♪」
そうスキップしながら僕は、教室から出て、魔法技術体育館へと向かいます。
「その服、……猫と熊の他にも種類があるのか……って待ってよ!」
そう慌てて、僕についてくるルートくんを見て僕は彼を構って遊ぶと面白いなと考えつつ、足を止めて待っていました。
※※※※※※※※※※
しばらく歩くとすぐに魔法技術体育館につき、ノートル先生がいたので僕達二人はすぐにノートル先生の側へと駆け寄りました。
「おはようございます。
ノハルくんとルートくんが一番乗りですね」
「「おはようございます、ノートル先生」」
僕らは同時にノートル先生に、朝の挨拶をします。何か、違和感を感じるのは僕の気のせいでしょうか?
「今日は君達が使える魔法を見せて貰おうと思っていたのですが、……授業開始五分前なのに他の皆さんは来ていませんね?
もしかしたら場所がわからなくて、迷っているのかもしれませんね。先生、見てきますね」
そう言って僕らを置いて、魔法技術体育館から出ていきました、……ノートル先生は出ていく直前にニヤリと笑って。
僕はノートル先生の不気味な笑顔に、見えなくしてある僕のしっぽが逆立っていました。
「嫌な……予感がする」
僕がそう言うとルートくんも同意するかのように、コクンと頷いていました。
僕とルートくんは背中と背中を合わせて周りの様子をうかがっていると、その数十秒後にゴブリンが数百匹、魔法技術体育館の壁から湧き出てくるように出てきます。
………これは学園長が仕掛けていると言うことでいいんですよね?
あーあ、ルートくんを巻き込んでしまいましたよ。どうしてくれるんですか、万が一彼が怪我する事態になったら……、僕は貴方を恨みます。
今もいい感情を理事長には抱いてませんけど、あの人は何がしたいんだか理解不能ですね、本当に。
「巻き込んで申し訳ないです。すみませんが、援護をお願い、ルートくん」
僕がルートくんにそう頼むと、彼は力強くコクンと頷いていました。
さっき言った通り、ルートくんに怪我をさせてしまったら、僕の気が狂ってしまいそうなので、怪我をさせないように結界を張りました。
『《火》結界』
『我、ルート・パルフェなり。汝、我の問いに答え、姿を現し、我に力を。
《火》の妖精・ランディーネ!!』
ルートくんが召喚文を唱えている間に《火》の魔法で剣を創りました。
『火炎造形・剣』
僕の剣が創り終わったと同時にルートくんの召喚文が唱え終わったので、僕は妖精を召喚したのを確認した後、すぐに剣を構えて、ゴブリンを殲滅させるために飛び出しました。
『挑発』
僕は魔物を挑発する魔法を自分にかけて、ゴブリンに僕だけの存在を注目させるように仕向けます。
「ぎゃ?ギャー!!!」
そう叫び声をあげているゴブリンは案の定、僕だけに襲いかかってきました。




