召喚士ルートの強すぎる《霊眼》3
誤字訂正しました。年のため→念のため。
『僕の家のリビングに行きたいです』
そう声を出さずに願うと一瞬で景色が変わり、僕の家のリビングにつきました。
そこにはリビングを掃除するノーテルとノアがいて、勿論、家の中ですから狐耳を隠してはしませんでした。
あ、まずい……と思いましたが、ルートくんはノーテルとノアが掃除するところを見て、僕に飛びかかってきました。
「……お前……ッ!!狐族を奴隷のように、こき使っているのか?!
ふざけるな!狐族は立派な種族なんだぞ!
それなのに狐族を奴隷にするなんて!」
……そんな心配は必要なかったようですね、優しすぎる彼ですから……。
僕は今、とてつもなく驚いております。
この世界に狐族を「奴隷にするな」とかばう人を、早速見つけてしまったことに驚きと共に、戸惑いを感じています。
ルートくんはそう言ってくれるんじゃないかって、少しも期待していなかったと言えば嘘になりますけど、……まさかね。
狐族の味方をしてくれる人は何人かはいるんだろうとは思ってはいました。
こんなにも早くに見つけ出せるなんて、なんて僕は運がいいのでしょうか!
僕はあまりの驚きのあまり、……そしてあまりの嬉しさに突然、僕は笑いだしてしまいました。
「……な、なに笑ってんだ!笑い事じゃないんだぞ!奴隷はいけないことだ」
そう言いながら、顔を赤くしているルートくんに僕は抱きついて、「よしよし。」と言いながら彼の頭を撫でていました。
これこそギャップ萌えです。コワモテツンデレですね、ルートくんは!
「えっ!?えっ!?」
そう彼が軽く、パニックしているので僕は彼に抱きつくのをやめました。
僕は「狐族をかばうルートくん」を信じてみようと自分の直感を信じて、彼にこう聞きました。
「……君は一度でも、狐族の銀狐をみたいと思ったことはありますか?」
彼は僕の問いに、戸惑いながらもコクンと頷いてくれましたので、僕は自分がかぶっているフードを外して、同時に髪の毛の色を元に戻しました。
「「ノハル様?!」」
そうノーテルとノアは叫び、今度は二人がパニック状態になっていました。
ルートくんに至っては驚きを通りこして、口を開いてポッカーンとしばらく放心状態になっています。
ふふっ、僕は父さんの言うことを完全に聞くほど、僕は素直ないい子ではないのです。……僕は我が道を突き進んでいきます!
ポカーンと呆けているルートくん、……何かマヌケで可愛いですね!
「ルートくん、わかってくれましたか?
ノーテルとノアは奴隷ではありませんよ。れっきとした使用人なのです。
それよりも僕が何故、銀狐だと言うことを隠していることは説明しなくとも……わかりますよね?」
ルートくんは僕の声で気を取り戻したのか、しっかりと縦にコクンと頷いて、こう言いました。
「うん、わかってる。狐族は人間に捕まえられたら、奴隷か兵士にされてしまうことが多いからだろう?
しかも、大物で人数の少ない銀狐族。
ばれてしまえば、ノハルくんを狙うものも出てくるのは確実だからだろ?」
ルートくんは難しい表情をしながら僕の問いにこう答え、……さらにこう続けていきます。
「しかもノハルくんは銀目で魔力が高く、とても強い。
銀狐族はとても頭が良いと聞いているから、貴族達からしたら、いくら値段を払っても欲しがると思うから、銀狐族だとばれるのは危険だと思う!」
僕は百点満点の答えが貰えたことに、嬉しさを覚えつつ、リビングのソファーにルートくんを座らせてから、彼が座るソファーの向かいにあるソファーに僕は座り、無詠唱で元々してあった防音結界を強化しました。
「百点満点です。良くできました!!
が、こちらの情報を僕からしたとは言え、たくさんの情報を渡してしまったので君の目の術を解放して、術を掛けるのは、条件を付けましょう。
いいですね、ルートくん?」
彼は「最初からそのつもり」だと言っているかのように、コクンと縦に力強く頷いていました。
ああ、ルートくんは僕の癒しです。彼からはマイナスイオンが出てます。
内心そんなことを考えつつ、表情はポーカーフェイスを保ちながら、僕はニコニコと営業スマイルを浮かべています。
僕はその顔をキープしながら、ルートくんにとある条件を提示しました。
「僕が銀狐族だと言うことを隠すことに協力して下さい。これが一つ目の条件です。次に僕がけして誰にも銀狐族だと言うことを誰にも話さないで下さい。これが最後の条件です。いいですね」
僕がそう二つの条件を言い終わった後に、ルートくんはすぐにコクンと縦に頷いてくれました。
「僕はルートくんが裏切らないと信じています。絶対に君は僕を裏切らないと確信していますから」
僕はそう言ってルートくんが座っている方へと向かい、僕の目を見るようにと声を出さずに指示すると、その事に気づいたのか、彼は僕の目をずっと見つめていました。
『我、ノハル アルファーセルは汝、ルート パルフェの封印式を解き、封じられていた主の《霊眼》の力の六十五%の力を我が預かることを汝は了承するか?』
『はい、します』
『契約は完了した。
よって封印式は解かれ、お主の目には、三十五%の《霊眼》の力が戻るだろう。』
そう僕が言い終わると、ルートくんの《霊眼》の力の六十五%が僕の目に流れ込んできました。
結構、ルートくんの《霊眼》の力は強いなと考えながら、同時にこの力に慣れるのも今日丸々一日は掛かるなと考えながら、ルートくんを安心させるために彼に微笑みかけます。
ルートくんは心配性ですからね。……まあ、僕の血縁や使用人と比べれば、彼の心配性は可愛いので、寧ろ心配して下さい!
……心配して下さいと言うのは冗談ですけどね、ルートくんはコワモテですけど可愛いです、本当に。
念のために眼帯で、一日交代で眼帯で隠そうと考えて、ノーテルに頼もうと考えた瞬間にノーテルは何かを感じとったのか、僕に眼帯を渡してきました。……勘の鋭い使用人ですよ、全く。
僕はその眼帯を着けていると、心配そうな顔をしたルートくんが僕に話しかけてきました。
「大丈夫か?ノハルくん」
強い《霊眼》を預かって一日目なので完璧に大丈夫だとは言えないが学園に行けない訳では無さそうなので取り敢えず、コクンと頷いておきます。
その後に僕は、時計を見ると登校時間まであと三十分ありましたので、ルートくんにこんなお願いをしてみました。
「ルートくん、これはあくまでも僕からの個人的なお願いですので、別に断ってもかまいません。
……僕と友達になってくれませんか?」
僕はいいよと言ってくれるか心配でしたが、取り敢えずは出来ることをやろうと銀色の髪を青色の髪に染め直してフードを深くかぶりました。
その間にルートくんは考えがまとまったのか、僕にこう言いました。
「あぁ、よろしくな。ノハルくん!!」
そう彼は笑顔でそう言ってくれました。
《良かったのー》
《ルートに友達が出来たのー。良かったのー》
《初めてなのー。人間くんの友達はー》
《ルートが嬉しそうで、ボクらも嬉しいのー》
そう妖精だか精霊だかわからないが、人ならぬ者達である四つの光はルートの周りをくるくると回って喜んでいました。




