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学園長

誤字を訂正しました。アートさんな→アートさんに

 アートさんが向かった先には学園長室があり、アートさんはコンコンと学園長室をノックしました。


「どうぞ」


 そう言う女の人の声が聞こえました。

 アートさんは、その声を聞くとお構い無しに学園長室を勢い良く開け、僕が入るのを確認するとすばやく静かにドアを閉めました。


「ご苦労だったわ、ファル。

約束通り、ノハルを連れてきたため、ご褒美をあげます。何が欲しいですか?」


 あ、アートさんは学園長から貰えるご褒美のために僕をここに連れてきたのかと思い、逃げたそうとも考えたのだが、強く手を握られ、逃げることは出来ませんでした。


「では、自分の息子を自分で探すのではなく、生徒をご褒美でつらせて自分の息子を探す母親に、とてもいい子なノハルを貴方に任せてはおれません故。

サーバント大陸第一王子である僕がノハルの面倒を見させて頂きます。

けして僕は、彼を道具として欲しいのではなく、友人になって欲しいだけですから。

僕と同じく魔力を封じられている彼に」


 僕ってば第一王子と手を繋いじゃっているんですか? とても運がいいですね、しかも美少年!

 イケメンとか、美少年は僕にとっては観察対象なんですけどね~……、たまにはこう言うのもいいか!

 まぁ、僕がアートさんと手を繋いだところで、アルファーセル大陸の領主である僕とアートさんは、立場的にあまり変わらないので不敬罪にはならないのですがね。

 て言うか、学園長が僕の母親なのか……。たまに暑苦しくて鬱陶しいなって思うときもあるけど……まあ、父さんといる方が楽しいし、母親側に行くつもりはさらさらないです。


「それはだめ…「よろしくお願いします、アートさん!僕は貴方の方がいいです、学園長よりも」


 僕はフードを取り、アートの繋いでいた手を外してペコリとお辞儀をしました。


「なんでよ、ノハル!」


 そう叫ぶ学園長および母親にこう僕は、鋭く厳しい声色で彼女に告げました。


「……魔力の強すぎる僕を優先的に入れてくれたのは感謝しています」


「だ、だったら!」


「ですが、それは貴女のせいで女性恐怖症となった父様が必死に貴女を説得したからでしょう……?

それに僕が魔力が暴発した大変だった時、貴女は僕の側には居ませんでした。

その時の居てくれたのは父様でした……」


「そ、そうだけどね!ノハル!」


「それに、貴女は自分の息子である僕をまず、自分で探さずに真っ先に他人に任せっきりときた。

しかも、その人たちをご褒美でつらせてです。それが本当に息子を想う母親がやることでしょうか?」


「そ、そうよ!!なにが悪いのよ!!」


 そう開き直る母親に珍しく僕は怒りと呆れに近い感情が自分の中で、母親に対して芽生えてきました。


「悪いに決まっています。

息子を想っている母親なら、赤子を、七歳であったお兄様を父様の元へおいてい行くことなんてしないと思います。

自分の息子を自分では探さずに他人に任せるなど、絶対に父様であったらしませんし、父様の場合は血眼になって探すでしょう。

本当に想っている母親なら、出来るだけ自分の手で探して本当に見つからない時に他人に頼るのが本当に子供を想う親だと僕は思います!」


 学園長および母親は苦虫を噛んだような表情をしていました。母親は何も言えないようなので、僕はもう一度、アートさんにペコリとお辞儀をしました。


「アートさん、よろしくお願いします」


 そう言う僕にアートさんはにこりと優しく微笑んで学園長の方へと向きました。


「本人がそう希望しておりますし、良いですよね?

は、は、う、え?」


 アートさんが母上って呼ぶことは学園長は僕の母親でもあり、アートさんの母親でもあるってことですか?

 そう言うことは……、僕とは父親違いってことなのでしょうか……?


「はい……。ノハル ルーセルをファル アートに任せます……」


と言うことは、アートさんは僕のお兄さんとなると言うことなんですね!


「はい、お任せを…。母上」


 そう言ったアートさんの服の裾を掴むと僕の方へと振り返り、アートさんはコテンと首を傾げました。


「じゃ、じゃあ、アートさんのことお兄様って呼んでもいいんですか!?」


 僕が思わず声に出した言葉を聞くとアートさんは、とても慌てておりました。


「だめなんですか……?」


 そうショボーンと落ち込んでいるとアートさんはさっきより、慌てて……。


「良いよ、全然良いよ!!

僕は、むしろ嬉しいよ!?

僕は一人っ子だし、僕のお父様も君がと言うか…君のお兄さんも父親違いだと言えど可愛がるって言っていたし!ね?

そうだ!後で父上に挨拶しに行こうね?

入学式が終わったらさ、ね?」


 そうアートさんが言った瞬間に僕は珍しくテンションがあがってしまい、アートさんに抱きつきました。


「本当、本当?」


 サーバント大陸には当たり前だが、知り合いがノーテルとノアしかいなく、寂しいと感じていた僕は父親違いだとは言えど兄さんが出来たことを動じない僕でも流石に嬉しかったです。


「うん、もちろんだとも…。僕もノハルって呼び捨てしてもいいかい? もう君のことを呼び捨てしてしまっていたけれども……」


「はい、もちろんです。お兄様!」


「後で色々話そう。

お兄様がノハルのクラスまで案内してあげるからね~、ちゃんとノハルのクラスは確認してきたから」


 ニコニコと笑いながら、僕の手を取り、学園長室を後にしました。

 少し歩き、僕は兄さんに僕のことをどれだけ知っているか気になり始めました。


「お兄様は僕が……」


 顔だけ僕の方へと向けて、またニコッと笑いました。


「僕と父上だけが君の正体を知っている。

でもね、母上のところで言った通り、僕と父上は魔力が強いからね。

君を利用できるほどの余裕がないんだ。

あっても、利用しようとは考えないけど。

母上の目的を聞いたときは呆れたし、悲しくなったし、……呆れたよ?

父上も僕もアルファーセル大陸にいる僕の母上の子を僕は弟として、父上は自分の息子のように可愛がってあげたいと望んでいる。

もちろん、君の正体がばれたくないと願うなら、父上も僕も協力したいとは思っているから安心して。

まぁ、この話は置いておいて、さぁ教室に向かおうね、ノハル?」


 アートさん、改めてお兄さんは、この話を僕にしている間は第一王子としての顔になっていました。

 でも、話を終えるとにこりと優しい笑顔でいつも笑っている兄さんに戻りましたが、そのお兄さんの姿を見たら僕はこの人を信用出来るなと感じました。

 僕は何かに困ったら、この人に相談しようと考えつつ、狐耳を隠すためにフードを深くかぶりました。











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