表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/10

プロローグ完結編

 僕の目に映るのは、無数の星。いや、無数の星のようなモノ。

 まるで、どこか、宇宙空間のような場所を旅しているかのようだ。浮かぶ、沈む、でも、何処かへと向かって行くのは分かる。でも、何処へ行く?


 何か、強烈な衝撃を感じて、僕の意識は覚醒した。

 水だ。口の中まで入ってくる。苦しい!!

 誰か、誰か助けてくれ!!

 必死で水をかき分け、何とか浮かび上がろうとするものの、僕は泳いだことなんてなかった。

 死ぬ? こんなところで?

 嫌だ、まだ死にたくない。ついさっき生きたいと願ったばかりじゃないか。こんなところで、死んでたまるか!!

 僕の願いに体は応えてくれなかった。自分の体が、水中深く沈んでいくのが分かる。

 生きたいと願う事は、罪なのだろうか? 僕がここで死ぬのは、当然の結果なのだろうか?


 何かに右腕をつかまれ、ひっぱりあげられる感触を感じながら、僕は意識を失った。






 この湖の周辺はモンスターもほとんど出ない。ピクニックには、もってこいだ。

 久しぶりに家族そろってピクニックだ。平和を取り戻しつつあるこの国でも、国境付近の辺境部にあたるレムリア領では、戦火が及ばなかったこともあり、昔から平和、らしい。よくわからないけど。

 私は、岸に腰かけ、足首だけ湖に入れて、向こう岸を見つめていた。

 後ろのほうでは、両親が仲良く微笑みながら私を見ているだろう。それとも、執事のアルフレッドが言うように「万年新婚夫婦」の両親はお互いを見ているのだろうか?


 そんなどうでもいいことを考えながら湖を見ていたら、いきなり水しぶきが上がった。

 数瞬後、一人の少年が顔を出した。私と同じくらいで、十歳くらいの少年だろうか?

 よく分からないけど、苦しそうにしている。溺れているのかな?

 そんなのんきな事を考えている場合ではなかった。

 

 「お父さん!!」


 「待ってろ!!」


 お父さんが上着を脱いで、少年の方まで泳いでいく。

 やがて、少年のもとまで辿り着いた父は、少年を抱きかかえながらこちらの方まで連れて来た。お父さんは、泳ぎも上手なんだなあ、そんな事を考え、また一つお父さんの事を好きになった。


 「意識を失っているようだ。息はしているので、もう少ししたら目を覚ますだろう」


 草の上に寝かせた少年を見る。

 白の上下に身を包んだ少年を見て、私の胸は高鳴った。

 黒髪、身長はだいたい私と同じくらいだろうか?

 優しそうな顔立ちをしていた。優しそうな、って、どんな感じだろう?


 「どうした? アリス、見惚れちゃったのかな?」


 からかうようなお父さんの声も気にならない。

 でも、何だろう? 何故か目を離せない。

 あ、目を覚ました。でも、目を覚ましちゃったら、この子はどうするんだろう? 近くに親がいるのかな? でも、岸から結構離れていた場所に落ちるなんて、普通あり得ないよね?

 薄目を開いた少年と、目があった。


 「天使……?」


 少年がそんな事を言った気がした。天使? 私が?

 でも、少年はまたすぐに目を閉じ、寝息を立て始めた。






 誰かに顔を叩かれる感覚がある。少し痛い。

 痛い、という事は、僕は死ななかったのだろうか? 生きていていいのだろうか?

 何とか、目は開けられるようだ。僕は、何とか目を開けて、周りを見ようとした。

 一人の女の子と目があった。

 肩までかかる金髪の蒼い目をした、綺麗な顔立ちの女の子だ。

 その時、僕には彼女が、まるで僕を迎えにきた天使のように見えた。


 「天使……?」


 ああ、天使が迎えに来たのなら、しょうがないかな。

 でも、最後にこんな綺麗な天使を見る事が出来たのなら、僕の人生も悪くなかったのかもな。

 僕は、もう一度意識を手放した。


とりあえず、これでプロローグは終了を予定しています。

ただ、しっくりこなかったら、またプロローグが追加されるかもしれません。

いい加減な作者で申し訳ありません。

ところで、十歳前後の子供って、あんなしっかりした考え、してますかね?



次話からは、数年経過した後の話にしようか、と考えています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ