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小畑さんが図書室にこなかった次の日の昼休み、ぼくは保健室の前にいた。
紫門先生が、小畑さんが体調を崩して、保健室にいると教えてくれたからだった。
「失礼します」
清潔な薬品の匂いにつつまれた保健室。ちょうど先生は不在だった。
手前のベッドのカーテンが開く。
「あ、藍田くん」
「紫門先生に聞いて……大丈夫?」
「大丈夫ですよ。ただの風邪なので」
「風邪?」
「えへ……お風呂上りに、外で、本物の星で実験してて」
「そっか。良か……良くはないけど、大きな病気じゃなくてよかった」
「そうだ、藍田くん。今日、夜の八時くらいに学校に来てもらえますか?」
「いいけど……。体調は大丈夫なの?」
「大丈夫ですって」
「……わかった。八時に学校ね」
「はい。お願いしますね」