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実は、図書室で小畑さんにとあるお願いをしてみた。
「その魔法、習得してくれないかな」
そういったぼくに、小畑さんは首をかしげた。
「いきなりごめん。実はぼく、空が好きなんだ」
空が好きなこと。でも、夜空は星がないから苦手なこと。そんなことを、小畑さんに話した。
「都会には、たしかに星がないですね」
そういって、すっくと立ち上がり、
「わかりました。私、星の輝きを強くする魔法を習得します」
高らかに宣言した。
「任せてください。必ず、習得します」
ぼくたちは指切りをした。
毎日放課後に、図書館で待ち合わせて、小畑さんの手伝いをすることになった。もちろん部活はサボ
る。
午後の授業はとりあえずノートだけとって、先生の話は聞き流していた。
帰りのホームルーム終了とともに、教室を飛び出した。