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昼休み、食堂でパンを買い、君島と一緒に食べる。昼休みの教室は、女子でいっぱいなので、自然と男子は食堂に集まる。
「藍田って、パン一個で足りるの?」
「足りるよ」
「少食だなー。高校生男子なのに」
君島の前には、カツ丼の大盛りと、サンドイッチが並んでいた。
「お前はちょっと食べすぎじゃないのか」
「運動部に入ってたらこんなもんだよ」
そういえば君島は男子バレー部だったか。ちなみにぼくはパソコン部だった。
「お前も入ればいいのに」
「いやだよ」
「いいもんだぞ、空の下で汗かくのって」
おれ今かっこいいこといったよな! と浮かれ気味の君島に苦笑いを向けた。
ぼくが運動部に入らないのは、外にいるのに、空を見上げることが出来ないからだ。そこにあるのに
見られないのは、ちょっとした罰ゲームだ。
「ごちそうさま」
「え、もう喰い終わったの?」
パンの袋を丸めながら、立ち上がった。
「ちょっと図書室いってくる」
「待てよー」
「お前待ってたら昼休み終わるよ」
「ちぇ」
ごめんと繰り返し、図書室へ向かった。