10
翌日、小畑さんは保健室にいた。
「小畑さんおはよう」
「おはようございます」
「今朝のニュース、見た?」
「はい! 見ました。流れ星の話題で持ちきりでしたね」
そう。今日は朝からどこのテレビ局も、昨日の流れ星を報道していた。
奇跡だという人もいれば、不吉という人もいたけど、でもみんなが綺麗だといっていた。それを見て、ぼくは少し誇らしげになったのだ。
「あれ、本当に小畑さんじゃないの?」
「違いますよ。上級の上級の、そのまた上級の魔法なんですから」
「そっか……不思議だね」
「そういえば、金平糖、綺麗になくなってましたよ」
「え、そうなの?」
「蟻がもっていったのかな……」
だとしても、あんなに大量の金平糖、運べるものなのだろうか。
不思議なことって、続くんだな、と思う。
小畑さんが、『簡単魔道書~星~ 下』の表紙を撫で、
「私、必ずリベンジします」
「輝きを強くする魔法?」
「はい。偶然とか、奇跡とかじゃなくて、自分の力で、空に星を輝かせます。出来れば、昨日みたい
に、星を流れさ……」
不自然に、言葉が途切れた。
「あ、藍田くん!」
「なに?」
「この本、作者の名前!」
ばしばしと腕を叩かれ、何事かと思い、作者名を見た。
『簡単魔道書~星~ 下』
題名の右下に、小さく、
『ノエミ・シモン』
そうあった。まさか……
「紫門乃恵美……。紫門先生の、名前です」
ぼくたち二人は、職員室に駆け込んだ。
「紫門先生いらっしゃいますか!」
大きな声で叫んだものだから、入り口の先生に顔をしかめられた。
「紫門先生なら、昨日、家庭の都合で休職されたわよ」
コーヒーを淹れていた先生にそういわれ、ぼくたちは顔を見合わせた。




