東京で会った人
この前はじめて会った人、東京で会った人。
あった瞬間
思わず声が出てしまいそうだった。
新入社員説明会で東京に行った。
新入社員の数は少ない。
各々の自己紹介。
斜め向に座っているあの人の名前をじっと見つめる。
何度も繰り返し見るが名前の書かれたプレートはかわらない。
やっぱり違う。
あたりまえか・・
6年前初めて付き合った人。
あなたのおかげであの時の私は変われた。
そう言っても言いすぎじゃない。
初恋なのかは定かではないが、恋に慣れない私はただがむしゃらだった。
そんなあなたとまったく同じ顔の人が現れて
動揺する私がいるのは当然だ。
説明会後の飲み会にあの人が欠席でよかった。
用事があったらしい。
あの人は私の顔なんて初めてだろうが、
私にとってあの人の顔は、あの時のあなた。見慣れた顔のまま。
胸がおかしくなるに決まってる。
だからあの人が欠席でよかった。
飲み会で最近はやりのSNSで少し盛り上がった。
コミュニティー型ウエブサイト。
帰ったらお互い友達に登録しようと。
しかし、そのコミュニティーでもあの人を見つけてしまった。
世の中って狭い。
もしかしたら、あなたも登録してるんじゃないかな。
あのひとに軽い感じにメッセージを出してみる。
いきなり友達登録なんて勇気はない
まだ喋った事はない。
だけど同期になる者同士。
何に対しての勇気かはわからないが、勇気を出してメッセージをだしてみたんだ。
メッセージの内容ちょっと軽すぎたかな
変な心配をする。
まるで中高生のような気持ち。
もうこんな気持ちもてると思ってなかったけどな。
あの人から友達登録のメッセージが来たのに気づいたのは翌朝。
素直に目覚めのいい朝だと思った。
あれから別に何も変わらない日々を送ってる。
日記に対してメッセージがあるわけでもないし。
私があの人に恋をするということもない。
ただ、日記に訪れたという足跡が残る仕組みなのだが、
あの人の足跡を見るたびに少しうれしい。
ただ、あの人の日記にあった写真を見てて楽しい。
あの人の姿のある写真はじっとはみてられない。
だけど、あの人が撮ったのだろう、きれいな夕焼けの空はすごくきれい。
6年前のあなたをひきずっているわけではない。
ただ、6年前のあのころを思い出して
恋のせつなさと痛さを思い出した。
あの人に恋をしているわけじゃない。
ただ、忘れていた恋したあの頃の、
心をぎゅっとしめつけられる苦しさを思い出したんだ。
ただ、あのころの恋に対する素直な心の苦しさを
大切にしなくてはならないと思ったんだ。
東京で会ったあの人。逃げていた恋の苦しさ、せつなさ、痛みを思い出させてくれて、その思いは大切にしなくてはならないと気付かせてくれた。
もしかしたらそれは、あの人と話す機会がなかったからこそなのかもしれません。