いつものメンバーで
涼……今のわたしと青木クンを見たら、なんて思うだろう。
どうしよう……
涼とのことで浮かれている場合じゃないのに……
「沙都ちゃんの手、ちいさいね。俺の手、マメだらけでゴツゴツしてるだろ?」
野球のバッドを握るからなのか、確かに手のひらがゴツゴツしていた。
こんなこと言われたら、ますます手を離せなくなった。
次に、校門前に現れたのは、涼と、涼と同じサッカー部西本達樹だった。
「あっれ~。沙都、もうラブラブ見せつけてやんの」
達樹のその言葉と同時に涼と視線が絡み合った。
口を一文字に結んで、明らかに怒った様子だった。
思わず、青木クンの手を振り払おうかと躊躇したが、やはり青木クンのことを思うと実行に移せなかった。
涼と達樹の後を必死で追いかけて来た見られる吉村水華が
「なに?ラブラブしたいの?」
そう言いながら、達樹の腕に巻き付く。
水華は達樹の彼女だ。
剣道部の水華は、長い髪を女剣士らしくキリリとしめ上げ、女のわたしから見てもかなりかっこいい。
「沙都、稲本今日はパスだってさ」
稲本和也とは、水華と同じ剣道の男子部員だ。
「え~稲本パス?じゃあ、わたし、今日だけ涼の彼女になろっと」
あぶれていた真菜が涼の腕に巻き付いた。
ドッキン
真菜の行動に今日、一番の胸の高鳴りを感じた。
胸が大きく音を立てて、苦しくなった。
「今日だけじゃなく、ついでに付き合っちゃいなよ」
水華が、達樹の腕に巻き付いたまま切れ長の目をクリクリさせた。
「う~ん。でもなあ、涼は二、三年生の先輩たちに超、人気があるしなあ~。付き合うとなると厄介だな」
真菜がそう言いながら先輩たちがいないか、グラウンドの方をうかがう。
「畑野涼クン、サッカー部だよね。うちのクラスの女の子たちにも人気あるみたいだよ」
何も知らない青木クンが気兼ねなく涼にそう、話かけた。
「人気なんて無いし……真菜、俺にだって選ぶ権利あんだからな」
涼が不貞腐れた顔で、そう言ってプイと顔を横向け、スタスタ歩き出した。
そう言われた真菜はそれでも涼の腕を離そうとせず、後に続いた。
「俺らも急ごう」
達樹がわたしたちに向かってそう言い、わたしと青木クンも涼を追いかけるように歩き出した。