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涼の家で食事


着替えを終えて、階段を降りると、玄関先で涼のお母さんとはち合わせた。


「あら、沙都ちゃん。来てたの?」


「あっ……うん。ハハハ、今日の宿題どこだったかな?って涼に聞きに来たの」


多分、今までで一番顔が引きつっていたと思う。


冷や汗が出てきた。


「涼は部屋?」


「ううん。リビングにいると思うけど」


「そう。沙都ちゃん、夕飯食べる?ほら、ケンタッキー買ってきたの」


涼によく似たお母さんが二コリと笑ってフライドチキンの入ったレジ袋を見せた。


さすがに今夜はここに居たくない。


「イヤ……いいかな」


「あれ?珍しいなあ。沙都ちゃんが遠慮するなんて。ほら、食べてきな」


涼のお母さんに背中を押されて、リビングに入ると、ソファに座る涼と目が合った。


血が逆流。


顔が熱くなって沸騰しそうだった。


涼に……さっき、裸見られたんだ。


涼は平然とした顔で、目を逸らす。


「あれ? もしかして、二人ケンカでもした?」


涼のお母さんがわたしと涼の顔を交互に見る。


「ケンカなんかしてないよ。なあ?」


涼がチラリとこっちを見て、直ぐ目をそらす。


「うん。うん。ケンカなんかしてない」


「そう?ヤケによそよそしく見えたから」


涼がテーブルの上の新聞を手にして顔を隠して


「それより、俺、腹へった」


涼……お願い。そのままずっと顔を隠してて。



夕飯のしたくができて、涼と隣同士で椅子に座った。


わたしの目の前には涼のお父さんがニコニコした顔。


涼のお父さんはわたしがここに来るといつも上機嫌だ。


でも、今夜はなんか、ぎこちなくて、ソワソワしてしまう。


前も見れないし、隣の涼の顔も見れない。


モクモクとご飯を食べた。


「沙都ちゃん、元気ないね。どうかした?」


「いえ……なんもないです」


「いつもの食欲がないんじゃないのかい?」


涼のお父さんがニコリと笑う。


わたし、いつもそんなに食べてるのかな?


「ちょっと……ダイエット中で……」


「もしかして……沙都ちゃん彼氏出来たとか?」


「そ……そんなんじゃないです」


「沙都に……彼なんか、できるはずないじゃん」


涼がポツリと呟いた。


「あ~。わたし、友達から電話が掛って来るんだ~。携帯を家に置いて来たから、帰ろうかな」

そう大声を出して、立ち上がった。


「ごちそうさまでした」


「イエイエ。涼だって、沙都ちゃん家で、食べたりするんだし、また、夕飯食べに来てね」


涼のお母さんが、そう言って、お茶を飲んだ。


「俺、ちょっと……コンビニ行って来る」


わたしと同じように涼が立ち上がった。




涼と二人、玄関を出ると、フイに涼が腕を掴んできた。


「沙都……お前、意識しすぎ」


「当り前じゃんか」


「あのさ……もしかして、後悔してるのか?」


涼が顔を上げて、わたしをジッと見つめてきた。


下を向いて顔を横に振り


「ううん。後悔……してない」


「そっか。それなら良かった。沙都……明日、学校終わったら部屋に来いよ」


「部屋?」


「俺の部屋。明日も、母さん帰りが遅いし」


毎日通ってた涼の部屋。


前の日から来いだなんて、初めてだ。


涼は……わたしを呼んで、どうするつもりだろ?


「絶対に来いよ」


「明日……青木クンと一緒に帰る約束しているんだけど……」


「青木に断るんだろ?」


「うん。その時、青木クンに話そうかと思う」


「じゃあ……その後くればイイだろ? 俺、待ってるから」


「うん。分かった」


わたしの家の玄関前で、涼と別れた。




その夜、青木クンからメールがあった。


沙都ちゃんへ

これからはよろしくね。

友達に美味しいケーキの店聞き出したから

あした、学校の帰りにより道しよう。


そう、書かれていた。


青木クンがわたしのことを好きだってきもちがよく分かった。


あしたはなんて言おう。


「やっぱり、付き合えません」


そう言うしかなさそうだ。



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