涼と結ばれて[改]
涼の唇が首すじにおりてきて、制服のブラウスの上から胸に触れてきた。
ゆっくりと、優しく、胸にタッチされて、頭のなかがボウっとし始めた。
「涼……」
「沙都……イヤって言えよ」
耳元でそうささやかれて、首を横に振って涼の広い背中に腕を回した。
「涼……」
ブラウスのボタンを一つ一つ外しながら、涼はわたしにキスの雨を降らした。
「イヤって言わないと、俺……とまんねえぞ」
何も言わず涼の茶色掛った髪の中に指を入れて、恥ずかしさをまぎわらした。
からだ中が火照りだした。
涼によって、だんだん心が熱くなり、大きな息を漏らした。
イヤだと言えなかった。
涼の匂いがこんなに近くに感じられて大きな安心感に包まれているのが分かったから。
イヤだと、止めてくれと言えなかった。
きっかけなんて、こんなもんだ。
涼はずっと前から気付いてたんだ。
あんな風にわたしと見詰め合えば、こんな風に自分がなってしまうことを、涼は気付いてたんだ。
いつもそばにいた涼の体温がこんなに間近で感じて、イヤなどころか、身体中がもっと、もっとと叫んでいるように涼にしがみ付いた。
決定的な何かがなければ、わたしと涼はいつまでも平行線で、交わることなど無かったはず。
「涼……」
「沙都……沙都への思いは……中途半端な思いじゃないから」
涼の声に閉じていた目をゆっくり開いた。
お互い……何もまとわない、裸のままだった。
いつもそばにいて、兄妹のように育って来た。
一緒に、こんな風に裸になってお風呂に入ったことさえあった。
何年前だろう?
まだ、十六歳同士だけど……わたしたちはいつの間にか身体だけが大人になってた。
誕生日は涼の方が早かったけど、わたしのほうがいつも涼を引っ張って来たつもり。
泣き虫だった涼の身体は、サッカーをすることにより、筋肉質な身体になっていた。
それとは逆にわたしは胸がふくらんで来て、薄着で涼に近づくと、フイに目をそらしたりした涼に
「スケベ」
なんてからかってきたけど
今は、そんなこと言え無くて……
涼が、わたしを大事に思ってくれているのが伝わって来たから、何も言えず、ただ
涼の思うままに身体をゆっくり開いて……涼と一つになった。
「沙都……沙都……好きだ。俺、沙都が好きだ」
耳元でなんどもささやいて来た。
顔をしかめたわたしに、優しく何度もキスをしてくれた。
でも、とても幸せな時間だった。
涼の甘い吐息に頭がクラクラして何とも言えない掛け替えのない時間だった。
力強くて、優しい涼が愛しくて仕方がなかった。




